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「質問箱」に匿名で身勝手な意見を送ることは、明確なハラスメント行為です

投稿日:2020年1月22日 更新日:

 

最近、執筆活動の中で「peing-質問箱-」を利用してメッセージを受け取ることが増えました。

匿名サービスというのは便利なものです。
個人が特定される形で「○○について教えて下さい!」や「応援しています!」などのメッセージを送るのは気恥ずかしいが、不特定多数の1人としてなら届けることができる。そんな人達からメッセージを受け取ることができますから。

僕もそういった方々からのメッセージを楽しみたくて解放しましたし、実際それにとても元気付けられています。いつもありがとうございます。

しかし、長く続けているとその匿名性を逆利用した人から意見やクレームも届くようになります。これは意識的にしろ無意識的にしろ悪意があるように見えるため、読んでいて気持ちの良いものではありません。読み手として受けるストレスは、個人から届くものの何倍にも及びます。

今回は匿名メッセージを日常的に受け取っている者の1人として、実体験を基に匿名で意見を送ることの是非について記して行こうと思います。

"不特定多数"の皮を被るということ

「質問箱」などを利用する際にまずご注意頂きたいのが、送る側にとっては"自分自身"であっても、受け取る側は全て"不特定多数の誰か"という1つの概念で考えるということです。

匿名サービスは「誰か分からないから送りやすい」のであり、その側面から同じ人が違う人物を装って何通ものメッセージを送ることも可能です。実際何人の人が何回メッセージを送ってくれているのか、受け取る側には分かりません。

極論、1人の人間が100通送ってくれている可能性さえゼロではなく、こちらは1通1通を完全な個人として見ることができません。

「質問箱」を通じてメッセージを送っている時点で、「"誰か"と同一人物と化している」という認識を持つ必要があると思います。自分の意見として述べた内容が、勝手に他の誰かの気持ちを代弁することに繋がったりするのです。少なくとも受ける側はその可能性を完全に捨てることはできません。

応援のメッセージや質問など、本来の用途に則したポジティブな内容であれば全く問題はありません。ですが1つでもネガティブ要素を含むメッセージを送るのであれば、その内容が無関係の誰かを巻き込んで送っていることを考えるべきでしょう。

余談ですが、執筆活動をしていると、この前まですごく自分を褒めてくれていた人が、1つの気に入らない発言で掌を返す・離れて行くことは珍しくないことです。何度も経験があります。それは発信者である以上避けられない不幸で、自業自得とは言え毎回心を痛めています。

ですから「質問箱」についても同様のリスクがあると考えて解放しています。この前「良かったです!」と送ってくれた誰かが「それは不快です」と送ってくる可能性は低くありません。

むしろ匿名サービスとは言え、メッセージを積極的に送ってくれる方は決して多数派ではないでしょう。それを踏まえると「このクレームは今まで送ってくれた方の中の誰かかもしれない」と憶測するのは至って自然なことだと思っています。

沢山のポジティブなメッセージが、たった1つのネガティブ表現のせいで濁ってしまうリスクがある。100%受信者(この場合は僕)を応援している人の楽しみさえ奪うことになる。不特定多数への疑心暗鬼を受信者に植え付けることになる。

匿名でネガティブな意見を送るというのはそういうことです。その上、他人を巻き込んで自分はその中に雲隠れし、直接言い返されない安全圏に身を置こうとしている。それを良いことにクレームを送るだけ送って溜飲を下げる。Twitterのいわゆる「クソリプ」の方がまだマシです。

どれだけ内容が正しかろうが、考慮すべき言葉だろうが、その行い自体が褒められたものではありません。内容以前の問題ですから、その受信者がその内容を受け入れるかどうかは、不躾な行いを糾弾した後に処理されることです。

「質問箱」などで意見を言えば良いと思っている人は、そのことについてよく考えてみてください。

文章からは感情も人柄も見えない

次に「質問箱」に届くメッセージは、通常の表現でもかなり尖って見えるということをお伝えしておこうと思います。

個人を特定できない状況では相手の顔(アイコン)を想像できず、感情や人柄を読み取ることができません。その状況で淡々と送られてくるメッセージは、悪意的でないにしてもかなり棘を持った内容に見えてしまいます。しかも「質問箱」の場合、その内容が画像の中心にデカデカと表示される都合上、目に入った時の威圧感が倍増します。

前から見ていますが、そういうところ良くないですよね。 直した方が良いと思いますよ。

例えば、これがメールを開いたらいきなり目の前に展開される恐ろしさを考えてみてほしい。「ウッ…!」とならないわけがありません(※この質問は自分で自分に送ったものです)

これらについて「この人は悪意を持っているわけではないのかもしれない…」と意識してもダメージを受けます。と言うか、そういう意識をしないといけない時点でダメージを受けています。

一言だけでも嫌な感じがしますが、長い意見となるとその不快感は半端ではありません。淡々と誰かも分からない第三者から詰め寄られることの恐怖は、体感してみないと分からないことだと思います。僕も本当の意味で理解できたのは最近です。

僕はそういった長文意見自体に否定的ではなく、むしろ積極的に取り入れたいと考える方です。自分と向き合ってくれるならば、その上でこちらも全力で「あなたの言い分も分かるが俺はこう思う」を伝えに行きます。

しかしながら上述したように、匿名で来たものに誠意を向けたいとは思いません。自分の意見を考慮してほしいならば、相応の誠意を見せるべきです。外野から飛んでくるものは褒め言葉なら全て"歓声"ですが、それ以外は"野次"です。野次は、どれだけ正しいことを言っていても野次です。発言する以上、然るべき場に立つ必要があります。

ただでさえクレームが混ざっている意見は不快なのに、それがより不快に見える形式でしかも匿名で飛んで来るなんて不快×不快×不快です。それを「しっかり受け止めろ」なんて言われるのは流石に困ります。

理路整然とした意見は一考の余地があるからこそ、送り方や表現1つで凶器になり得ます。匿名での意見(クレーム)の送信は紛れもなく凶器に該当する行いなので、どうしても行わなければならない場合は表現に普段の2000倍は気を遣ってほしいと思います。「そんなつもりじゃなかった」では済まないこともありますから。

「反論の公開」か「泣き寝入り」悪魔の2択

最後に、匿名メッセージが持つ送信者の優位性についてお伝えします。これが最も大きな問題だと思います。

匿名メッセージは個人を特定できない都合上、そのメッセージに回答するためには不特定多数に公開する必要があります。送る側がそれを見てどこかで喜んでくれることを信じて、全体公開で回答を行います。

これはクレームなどに対しても同様です。
それに反論するためには、不特定多数への公開を強いられます。回答する側だけが多大なリスクを背負わされているのです。

何かに反論している人を見る…というのはあまり気持ちの良いものではありません。それを見るだけで「何か嫌だな…」と思って離れて行く人も必ずいます。それは答える側としては、やはり気になってしまいます。

だからそういうクレームを送る人はどこかでこう思っていると思います。「どうせ言い返されることなんてない」と。

言い返せば不利益を被るのは相手の方で、自分が誰かに叩かれることはない。公開されたことで内容を叩く人はいるかもしれないが、それが自分だなんて誰にも分からない。だから、何を言ったって別に問題ない。

ここまで極端に悪意を持っていなくとも、心の片隅には近しい甘えがあるはずです。そうだからこそ匿名サービスを利用していると考えます。

それを受ける僕達が取れる行動は2つしかありません。「リスクを承知で反論する」か「我慢して泣き寝入りする」か、です。どちらにせよマイナスの結果しか残らない選択肢しか与えられていません。

無かったことにして終わりにするのが手堅い選択ですが、反応しなければ似たようなメッセージが届き続けるかもしれません。同じ人が、別人の皮を被ってまた送ってくるかもしれません。その度に我々は傷付くことを受け入れて、誰にも言えずにひた隠しにし続けなければなりません。その苦悩を強いられます。

それを避けるためには言い返すしかありません。
それも中途半端に言い返してはいけない。こいつは面倒臭い奴なんだと思われるくらい、匿名でもクレームを送ったら思いっきり言い返されると思わせるくらいでなければ、相手を調子に乗せるだけだからです。

マイナスを相手に強要する加害行為

僕は先日、そういったメッセージの1つを公開して苦言を呈しました。

それは9割の正論の中に「自分の好きな作品についてそういう楽しみ方をされるのは不快」という1割のクレームが混じったものでした。そして僕はそれを「この"不快"という言葉を送りたくて9割の正論を捻出した」と捉えました。

そうでなかったかもしれませんが、それは個人とのやり取りが不可能な以上は確かめることもできません。匿名で意見をすること自体論外とは言え、途中まで良い内容だっただけに非常に残念でした。

そういった内容を匿名で意見をしてきたことに対し、心を鬼にして極めてきつめに「そういう人がコンテンツ愛を語らないで下さい」とTwitterで返答しました。

何故そんな言い方をしたかは、ここまでこの記事を読んで下さった方には分かて頂けると思います。僕は自分を応援してくれている匿名メッセージを大事にしているからこそ、その皮を被って、他人の存在を借りてそんなことを送ってきた人を許せなかった。内容についてではありません。行動についての苦言です。

第一、僕もその作品について半年以上しっかり楽しんできた1人のファンなのです。歴も触れ方も自分より深い方が数多いるとは言え、楽しんでいること自体を否定されるのは心外です。実質「楽しむな」とさえ映る匿名のメッセージには流石に反論したくもなります。

その反論によってTwitterのフォロワーが約2%減少しました。2%と言うとカッコ付けすぎですね。実際は20人くらいです。フォローしてくれている方の中に「その言い方はちょっと…」と思っている人がまだいることを含めれば、送られてきたクレームに対応しただけで多大な信頼を損失し、ネガティブイメージを残しています。

そこまでのリスクを犯して得られたものは特に何もありません。抱えていたストレスは発散できたものの、それによって新たなストレスが舞い込んできています。

それでもそういった返答を行ったのは「今後も匿名のメッセージに対して強く諫めることがある」ことを明確にしたかったからです。言わば予防線です。これで意見やクレームが届かなくなることを祈っています。

もちろん、反論することは選んだのは僕自身ですので、全てを他人のせいにする気はありません。でもその責任の一端は送ってきた人にもあります。意見メッセージが匿名で来なければ、こんなことにはなってないのは事実で、個人間でやり取りすれば済んだことです。匿名だったからこそ僕は悪魔の2択を強いられました。

だからこそ匿名で意見することは、これらを相手に強要する"加害行為"に他なりません。そこに悪意のあるなしは関係ない、明確なハラスメント行為です。

「こういうのはやめてほしいです。困っています」と優しく言えばやめてもらえたでしょうか?否、そう嗜めてもなおわざわざ届いたメッセージだから怒りました。

それに対して「言っていることは正論なんだから相手を傷付けるような返し方をするな」という意見も貰いました。僕の楽しみ方を否定した挙句、それを匿名で送ってきた人を傷付けない言い方まで、本当に僕が考えなければならないですか?

他人の楽しみ方に口を出すこと自体が良いことではないですが、少なくともそれを考えてほしいなら送り方を考えるべきです。誠意のない人に誠意を返すのは難しいです。

その僕の言葉によって傷付いてしまった不特定多数の無関係の方もいるでしょう。それは本当にごめんなさい。でもこちらにはそうせざるを得ない事情があった、ということも分かってもらえたら嬉しいです。これはそのために書いた記事なので。

おわりに

以上、僕が「質問箱」で届く意見やクレームについて思っていることを余すことなく書き連ねてきました。今後こういった匿名サービスで意見を言うつもりがある人は、参考にしてみてください。

最後になりますが、僕は現在特定の作品について依頼を受けたお仕事として書いている記事は1つもありませんし、今後その予定も今のところありません。このブログのアニメ関連の記事は全て個人の活動です。あくまで一私人の立場としてこの記事も執筆しています。仕事の募集はしていますが、Twitterに書いて仕事来るんだったら楽だなぁという感じではあります。

つまり個人の楽しみ方にとやかく言われなければならない人間ではありません。そこにクレームが来れば、当然1人の楽しむ者として対応します。

そして自分の活動について、ネガティブに思う人の存在やその意見を無視しているわけではありません。そういう人が現れるのも自然なことだと思っています。

まだまだ精進中の身なので、その人達とも可能なら真摯に向き合いたいと思っていますし、直接届けてくれるものを邪険にしたくはありません。ですが匿名の意見と建設的なやり取りをする気はありません。僕のことや作品のことを本当に思って言ってくれているのなら、そんなことは絶対にしないはずだからです。

本気でやり取りしたい方からは、TwitterのDMでメッセージが届いたこともあります。「質問箱」のメッセージで表現を誤ってしまったと感じた方から、改めて謝罪のDMが個人から届いたこともあります。

そうやって誠意を向けてくれる人がいる中で、匿名で言いたいことだけ言って「正論を言ったから考慮してください」という態度の人を尊重したいと思いません。意見があるなら是非個人で勝負しに来てください。可能な限りしっかり対応します(当然、悪意100%の内容はブロックします)

こういう話をしていると「もう質問箱閉じれば?」と言われてしまいそうですし、自分が第三者としてこの記事を読んだらきっとそうぼやいていると思います。

でも僕のようなまだまだネットの端っこを泳いでいるような書き手にとって、質問箱に届くメッセージは本当にありがたいものなのですよ。とてもとても大切に読ませて頂いています。

その楽しみを続けて行くために、今必要なこととしてこの記事を書きました。1人でも多くの方にご理解頂けたら幸いです。

お読み頂きありがとうございました。

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