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ピエール瀧事件から考える作品回収の必要性 「犯罪商法」を生まない社会へ

投稿日:

2019年3月。
俳優/ミュージシャン等のピエール瀧さんがコカインの使用により逮捕され、大きな話題を呼んでいます。

活躍の幅が広かったピエール瀧さんの逮捕による影響は計り知れません。出演ドラマやアニメ、ゲームが販売停止や配信停止に追い込まれ、TVやラジオ番組は全て降板、自身が所属しているバンド「電気グルーヴ」はライブの出演辞退だけでなく、販売中のCDや音源についても全て回収&販売停止となりました。

こういった際にネットでにわかに話題に挙がるのが

「作品に罪はあるのか」

という問題。

麻薬を利用したことは絶対的に悪いことですが、彼の生み出した作品やエンターテインメントを全て回収、停止し「なかったことにする」必要があるのかには疑問が残るところ。様々な意見が溢れ返り、一枚岩になることは決してないと言わざるを得ないテーマです。

この記事では、表現の世界の片隅にいる1人である筆者が思う1つの意見をしたためて参ります。よろしければ1つの参考にして頂けると幸いです。

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「犯罪マーケティング」を成立させないための自主回収

まず私は作品関係の販売停止措置については「必要がある」と思っています。ただしこれは、作品の在り様を全否定すべきという意味ではありません。世にある作品を通じて犯罪者個人が連想されてしまう状況が生まれてしまうのがまずいと思うのです。

例えば回収を行わない場合、野次馬根性によって必ず「ピエール瀧が関わった何か」を求める人達が殺到します。関連作品は売れてしまいますし、伸びてしまうでしょう。

これは言ってしまえばそのまま1つのビジネスチャンスになりかねない事態です。誰かが犯罪を犯すことで、一応流通させていた過去の作品なども売れるようになる。回収を行わないことで、あるべきではないお金の流れが生まれてしまうということになります。

現在でも、回収が行われてしまったことでプレミア価格がついてしまっているアイテムがありますが、そうまでして今ピエール瀧が関わった何かを求める人達はいるのです。回収が行われなければ、これの何十倍も何百倍も大きな規模でこのお金の回転が発生します。

それに伴って、今までピエール瀧さんのことをよく知らなかった人達が、彼のことを知るようになります。もしかしたら電気グルーヴを初めて聴いてファンになる人もいるかもしれません。犯罪を機に、世間の多くの人が、彼の魅力を再認識することになるでしょう。そんなことは決して起こしてはならないのです。

犯罪事件の記事の中で例に挙げてしまうことは心苦しいですが、国民的アイドルであったSMAPの解散が決定した際、代表曲である「世界に一つだけの花」が再ブレイクしたことがありました。当然あれは(悲劇の)美談として語り継がれるべきお話ですが、犯罪で同じことが起こった場合はそうではありません。

もちろんこれは大袈裟に語っているところもありますが、少なからず起こり得るのは確実です。最悪の場合、犯罪を犯した人の一大ムーブメントが、その犯罪を機に起こってしまう可能性すらあります。炎上マーケティングなどと同じく、犯罪マーケティングが成立してしまう恐れがあるのです。

これは社会的に犯罪者を肯定する行為に繋がってしまいますし、犯罪者個人にも決して良い影響を与えないと断言できる状況です。やはり犯罪を犯した人間を想起させるものを社会に流通させておくということには問題があると思っています。

こういった状況を是正するためにも、有名人が犯罪者になった場合、一旦全ての関連作品を下げ、大衆の前から「なかったことにする」という制裁措置が絶対に必要だと考えられます。

これはエンターテインメントとして「作品に罪はない」などとは全く関係のない部分での話です。社会として、起こしてはならない状況なのです。それを消費者としてただ楽しんでいる我々には非常に残念で、手痛い状況にはなりますが、その感情が当人に向けられることも含めて必要な「罰」であると考えなければなりません。

これが私が考える、作品回収の必要性についてのお話です。

「作品に罪はない」からこそ今は待つべき

しかしながら、エンターテインメントとして「作品に罪はない」という価値観もまた全否定すべきではないと思っています。

仮にそれが麻薬の利用によって齎された良質さであったとしても「世に出て人を楽しませた」という事実が消えてなくなることはありません。それを否定することは、それを楽しんだ人達すらも間違いであったと言うようなもの。私はことエンタメに関して、そのようなことがあってはならないと考えます。

ですから、作品そのものを「なかったことにする」というのには賛同できません。当人が社会的制裁を受け、罪を償い、上記した犯罪マーケティングの可能性がほぼ0%になった段階で、彼の関わった作品は復活させるべきであると思います。

その時になって初めて、彼の関わった作品は多くの人達にとって「その遍歴を踏まえたエンターテインメント作品」として受け入れられるはずなのです。

ネットで挙げられているように、薬物中毒や犯罪を犯してなお良い創作物を打ち出し続け、評価されているアーティストやクリエイターは世界中に沢山います。ピエール瀧さんも(日本では)そういった人物と並べて語られるようになるかもしれません。しかし、それには果たすべき禊と時間がどうしても必要になるというわけです。

実際には薬物などで逮捕された後に更正して活動を再開し、今では多くの人から「そんなことあったんだ」と言われるまでに復活を果たした芸能人も少なからずいるはずです。犯罪から更正した人達にセカンドチャンスが与えられる土壌は、日本にも一応は存在しています。

我々は今はそれを待たなければならない段階です。社会を賑わすニュースとしてホットな状態にある現段階で彼の出演作品の是非を語るのは、大変難しいと言わざるを得ません。

もしピエール瀧さんが全てを終えて再出発を果たしにも関わらず、なお彼の出演している名作の多くが闇に葬られてしまうような状況があったとしたら、その時は声高に「作品に罪はない」と叫んでも良いでしょう。その作品や彼の演技で楽しんだ思い出を真っ向から否定する社会は、私も望むところではありません。

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おわりに

作品の一時的な抹消について「ここまでする必要があるのか?」と問われれば「エンターテインメント的にはない」と言うこともできますが、やはり「社会的にはある」と答えなければならないと思います。

一般社会に流通した大衆文化である以上「作品に罪がない」という表現の世界における基準だけで物事を語るのは、いささか以上に無理がありすぎる。

作品が世に残っていることで、当人の犯罪の印象が全く風化されずに持続してしまうとするならば、それは社会的に当人を永遠に許すことができない状況を生み出し、ピエール瀧さん個人の更正にも多大な悪影響を及ぼすことでしょう。

そういったことも含めて、ピエール瀧さんには自身が社会にどれほどの迷惑をかけてしまっているのかを自覚して頂きたいですし、こういう状況であっても自分の表現を求めてくれている人達がたくさんいること事実とも向き合ってほしいと思います。

それら全てを乗り越えて、彼がまた素晴らしい表現を魅せてくれる日が来るのであれば、それを待っても良いと思います。今はただ、1つでも多くの作品が世に残る未来であることを願って、この記事を締めさせて頂きます。お読み頂きありがとうございました。

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