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語彙力を鍛える8つの方法 日常生活の"気になる"から始める向上術

投稿日:2020年5月15日 更新日:

自分は語彙力がない。
そんな悩みを抱える方々は、日本に大勢いらっしゃるのではないでしょうか?

文章を書く仕事や喋る仕事に就いている(受け持っている)方々はもちろんのこと、SNSが発展して発信が容易になった現代では、ほぼ全ての人が直面する問題と言っても過言ではありません。

しかし語彙力というのは厄介なもので、覚えたからと言って実際に使えるわけではありません。記憶するだけではなく、実践力もつけなければ記問の学で終わってしまうのです。

この記事ではそんなあなたのために、机にかじりつくような勉強ではなく、実践力を伴った語彙力を鍛える方法をご紹介して行きます。

この記事に書かれたことを意識すれば、自然と使える語彙力は増えていくことでしょう。是非参考にしてみてください。

はじめに

まずは初歩的な心構えから。

今後は自分のことを「語彙力がない」と言ってはいけません。

「語彙力がない」などの発信は自分に対する言い訳=逃げ道です。その発信をすることによって甘えが出てしまいます。「自分は語彙力がないから仕方がない」と思ってしまい、学習意欲が削がれるのです。

これは想像しているよりもずっと重要なことです。

自分の語彙力を言い訳にできなくなると人間は、手持ちの語彙から適切な表現を選んで"自分の言葉"を成立させようと考えるようになります。

「語彙力がないから上手く言えない」で片付けてしまうと、そこから成長することはありません。ですので、この意識が転じて実践力を磨くことに繋がっていきます。

「語彙力がある」と宣言する必要はないですが、わざわざ「ない」と言う必要もありません。その言葉をグッと飲み込むことで「自分は今、語彙力を鍛える最中なんだ」と自分に言い聞かせる癖をつけましょう。

それでは意識を固定できたところで、語彙力を鍛える実用的な向上法を確認して行きましょう。

1.気になった言葉を1つでも覚える

人が語彙を学ぶことができる場面は、実は日常生活の至るところに転がっています。テレビを見る、本を読む、ラジオを聞く、人と喋るなどなど。そんな1つ1つの場面で、初めて聞く言葉や忘れていた言葉に出会います。

そのうちの9割の言葉は実際にあなたが気にも留めていないものでしょう。しかしその中でわずかに心に引っかかる言葉があるはずです。その気になった言葉こそ、今のあなたが実際に求めている言葉である可能性が高いのです。

何故ならば、人間の脳はその時その時で自分が最も求めている言葉に目が行くようになっているからです。

最近テレビや雑誌で知ったばかりの商品名や芸能人の名前を、街中でもよく見かけるようになったという経験は誰もにあると思います。これは脳が記憶したことで"目に留まるようになった"ことも大きく関係しています。

この現象は様々な心理テストにも用いられているロジックで、他にも「書店で最初に目に留まった本が自分が読みたい本」と言われたりするように、人間は今欲しているものが自然と目に留まる(気に留まる)ようになっています。

言葉についても同じことが言えます。
語彙力を鍛えたいと思っている方は、言葉に何かしらの問題を仕事や生活で抱えている方だと思います。そんな時に自分がハッとさせられるような言葉や言い回しは、その問題の解消に繋がっている可能性は非常に高いです。

その言葉を覚えておきましょう。
何なら書き留める癖をつけましょう。

「語彙力を鍛える」名目のテキストは世の中にいくつもありますが、そこに必ずしも自分が使いたい言葉が載っているとは限りません。もっと言えば難しい言葉を覚えたところで、正しく使いこなせなければ意味がありません。

だからこそ「自分が気になった言葉」を大事にして行くべきでしょう。特にそういった言葉は、誰かによって実際に利用されているのも大きいです。社会で効果的に機能する誰もに伝わる言い回しと、頭が良い人が使う一部の人にしか伝わらない言い回しもまた、違ったジャンルのものですから。

覚えた言葉はすぐに使う

自分が気になる言葉を見つけたら、その言葉を日常生活の中ですぐに使える場面を見つけましょう。

よく『覚えたての言葉を使いたいお年頃』などと揶揄されることもあり、上手く使えもしない言葉をすぐに利用することに抵抗を覚える方もいるかもしれません。特に語彙力がないと思っている分「自分がこんな言葉を急に使ってたら変なのでは…」とネガティブに考えてしまいがちです。

ですが、言葉は使わなければ頭には定着しません。なので覚えたら使います。そこで自分にはまだ早いと思っている限りは、永久にその場から動くことはできません。

そして新しく覚えた言葉を使っても、周りから変に思われることは実際には多くありません。それはあなたが気になった言葉を使っているからです。

確かにどこかで勉強した・誰かに教わって覚えた難しい言葉を使う場合は、自分が絶対に使うはずのない言葉であることも少なくありません。そのような語彙を急に多用し出してしまうと、周りにも妙な違和感を与えることがあるかもしれません。

しかしどこかから自主的に拾って覚えようと思った語彙は、多くの場合で自分の領域から外れません。せいぜい一段上がった程度のもので、無理に背伸びして飛び越えてしまうような言葉に人は興味を持てません(※ゲームや漫画のカッコイイ台詞などはその範疇ではありません)

なので新しく覚えた言葉を積極的に使っても、周りは何とも思いません。それを繰り返していると、緩やかな変化の中でその言葉を使うあなたが周りにとっても"当たり前"になっていくことでしょう。

その1つ1つをしっかり積み重ねていけば、自分でも気付かぬうちに高いレベルに昇華しているはずです。

2.語彙力とは表現のバリエーションのことである

語彙力を鍛えることは、簡単に言うと「必要ではない言葉」を覚えることです。「無くても(普段は)困っていないから今の語彙力である」が本質です。

もう少し分かりやすく説明します。
例えば英語の勉強をしていて、新たな語彙を覚える時は

学ぶ→learn
覚える→ memorize
思い出す→remember

といったそれぞれが「新しい意味の言葉」を覚えることになると思います。その意味を持つ言葉その物を知らないからですね。

ですが、日本語の場合は「学ぶ」「覚える」「思い出す」を知っている状態からスタートです。つまり語彙力を鍛えるというのは、「学ぶ」に類する言葉として

学習
修学
修習

というような8割方同じ意味を表す新しい「表現」を身につけることです。この言葉、3種とも見れば意味は分かると思いますが、違いを説明しろと言われると少し難しいですよね。

このように語彙力というのは、新しい言葉を覚えるというより「バリエーションを増やす」という意味合いが強いものです。

なので参考書などを読んで暗記しても、それを実際に使えるようにするのは非常に難しいです。咄嗟に出てくる言葉が「学習」1つでも会話も文章も成立しますから、覚えた言葉をあえて使う意味がないのです。日常生活で全く聞いたことがない言葉より、馴染み深い言葉が優先的に口から出るのは当然です。

当然、参考書が無意味とは言いません。
覚えたことはいつか思い出し、役に立ちます。しかし、やはり興味のあるものと結びつかない言葉は右から左へ逃げてしまうのも現実。覚えたとしても、使わなければ忘れて行きます。

日本語検定・漢字検定などを受けるために勉強し、その中で定着したものだけを選び使うという方法もあります。それは本当に素晴らしいことですが、皆が皆そこまで意識高くできるわけではありません。この記事を読んでいる方も、全ての方がそのレベルで学習を考えているわけではないでしょう。

だからこそ、身近にある「最近知った言葉」が重要になりますし、前項の「気になった言葉を使う」ことが重要になるのです。大人になると暗記力自体が落ち、覚えたことも子供の頃より抜け落ちることが多くなります。できる限り興味のあることと関連付けて学習する方が効率的でもあります。

参考書を使いたい場合は、自分の生活や語彙力に関連した言葉が載っているものがオススメ。以下の本は、日常生活に登場する言葉の範囲で、新しく使える語彙が分かりやすくまとめられていますよ。

語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング (光文社新書) [ 石黒圭 ]
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感情類語辞典【電子書籍】[ アンジェラ・アッカーマン ]
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3.ネットで「調べて使う」ことを実践する

日常生活で語彙力が必要な場面の多くは、人前で突発的に行わなければならないものではありません。会社のミーティングやプレゼンでは必要ですが、あちらは語彙力よりも話力のウェイトが大きいです。

文章を書く・SNSで発信するなどの場合、うろ覚えの知識でも十分に活用することができます。

そして我々にはインターネットという強い味方が存在します。ネットの海は無限の広さで、画面越しに世界中の叡智が使いたい放題です。しかも無料で。

僕はこの手の記事を書く際には、同じような表現が重複しないようになるべく気を付けています。ただ、同じようなことを言いたい箇所が1つの記事内で多発してしまうことは珍しくなく、そこをどう繋いで読みやすくするかにいつも頭を悩ませています。

そんな折には、困りながらGoogleのトップページを開くことも少なくありません。そしてこう入力するのです。

「○○ 同義語」「○○ 言い換え」
「○○ 難しい言い回し」「○○ カッコイイ感じの表現」

すると、自分がその時に抱えている問題点を解決してくれる言い回しを、1つは見つけることができます。それをそのまま記事に落とし込むようにしています。これを繰り返しているうちに、使用した言葉の多くは自分の扱える語彙力となって定着し、検索する必要も少なくなって行きます。

実戦の中で知った言葉は定着しやすい

このように検索した言葉を使うことで、ネット上や文書作成では豊富な語彙力を偽装することができます。僕はTwitterの投稿などでも困ったらこれを必ずやっています。見栄を張るのが得意です。

実際、プロの作家さんなどでも感情類語辞典難読漢字選び辞典 (ことば選び辞典)を利用して表現(語彙)のバリエーションを増やしている方は少なくなく、誰しも自分の頭の中にはない言葉=武器を振るうのは極めて普通なことです。プロ級の執筆活動などをしていない方であれば、ネットの力を使えば十分と言えるでしょう。

営業のお仕事などでも、何の資料も持たずにお客様に自分の商品を売り込むのは難しいことです。自分の記憶のみではなく、目の前にある資料と知識を利用するのは社会人の常識です。学生まではカンニングは悪ですが、大人の仕事は「資料持ち込み可」が当たり前ですからね。

上述の通り、こうして調べて使ってみた言葉が、正しい語彙力として自分のものになっていくことは非常に多いと言えます。僕自身も、かなりの語彙力をそれで振るえるようになりました。

ネットで「使おうと思って見つけた言葉」も「自分が気になった言葉」には違いなく、むしろ実戦の中で知れた語彙はより高い定着度を誇ります。

なるべく早く語彙力を鍛えたい人ほど、頭を悩ませるためにネットで調べて解決する癖をつけてみてほしいですね。

4.同義語・対義語を検索してみる

次にご紹介するのは

同じ意味を持つ言葉「同義語」を調べて使う。
反対の意味を持つ言葉「対義語」を調べて使う。

この2点です。

この2つの調べ方を熟知することで、より効率的にネットを利用して語彙力を鍛えることが可能になります。

今回は1つの例として「怒る」という言葉の同義語を調べることを実践してみようと思います。誰でも分かる簡単な語彙ですが、その分難しい言い回しも大量に存在する言葉です。

試しに「怒る 同義語」で検索すると出てくるページにアクセスしてみます。

このように出てきます。
「怒る」だと"似たような意味の言葉"として「叱る」なども出てきてしまっていますね。

ですが「怒る」と「叱る」は厳密には違う意味をもつ日本語です。簡単動詞や形容詞など「ひらがなを伴った単語」で検索をかけると、どうしても違う意味の言葉も出てきてしまいます。

語彙力=表現力を鍛える観点だとこれは少し好ましくありません。できれば「同じような意味を持つ違う言い回し」を知っていきたいからです。

ですので、この中から「漢字2文字以上の熟語」であり、「"怒る"と近しい意味を持つ語彙」を探します。

「立腹」辺りが分かりやすくてそれに該当するでしょうか。「譴責(けんせき)」という謎の言葉がありますが、これはどちらかと言うと叱るに近しい意味の言葉です。今回は除外しておきましょう。

この「立腹」が見つかった時点で第一目標は達成されていると言えます。ですが、「立腹」も日常使いでは「すごく怒る」を意味する言葉。「怒る」からは離れてしまっています。せっかくなのでもう少しバリエーションを拡げて行きたいですね。

というわけで今度はこの「立腹 同義語」で調べて行きましょう。

今度はかなりの数の言葉に出会うことができました。

「怒る」を意味する言葉としては「怒気」が分かりやすい言い回しで、「立腹」に近しいものでは「憤怒」も良い言葉です。「かんかん」や「お冠」も日本語らしい美しさがあり、ほとんどの人が聞いたことがある語彙のはずです。

その他では「憤懣」とか「忿怒(ふんぬ、ふんど)」のような常用外の難しい漢字や表現もありますが、基本的にはあまり使う機会がない言葉です。今回は除外で良いでしょう。

このように熟語での検索を挟むことで、数多の「怒る」に該当する表現を手に入れることができました。

これを必要に応じて対義語でも行えば、実践的に語彙力と表現のバリエーションを鍛え増やして行くことが可能です。

ネットでの検索方法は様々な方法がありますが、「同義語」「対義語」の活用は1つのテクニックとして覚えておくと使いやすいと思います。

5.うろ覚えの語彙をあえて文章に取り入れる

次に紹介するのは少し飛び道具的な方法ですが、非常に実践的な方法です。

それは間違っていても良いので頭に浮かんだ言葉を入れた文章をとりあえず書いてしまうというもの。

もちろん、投稿する前にその部分はチェックして正しい状態に直して完成させますが、まずは書いている時の勢いを優先して言葉を文中に記載してしまいます。

文章を書いていると、つい難しい語彙や言い回しを使いたくなるタイミングがやってきます。その時に頭に思う浮かぶ言葉は、何となく覚えている響きがそれらしい語彙であることがほとんどです。

ではここでも1つ、「示唆(しさ)」という言葉を例に出して考えて行きましょう。

この言葉は「それとなくほのめかす(そうなっていく感じがする)」という意味の言葉で、評論文や小説の地の文などでは割とよく使われる言葉です。正しく使うのであれば「この展開は、今後の主人公の行く末を示唆している」などの文章になるでしょう。

では本題です。
あなたは今「確実に○○である」という意味の単語を欲している書き手です。そして頭の中には何故かどこかで響きだけ覚えていた「示唆」が思い浮かんでいます。

この時、その「示唆」を間違っているかもしれないからと恐れて頭の中で引っ込めるのではなく、実際に書いている文章の中に組み込んでしまってください。

結果、間違った文章が出来上がってしまっても良いのです。書き切った上で、本当にそれが正しい意味なのかをしっかりと調べましょう。

それは当然、間違っています。
そして調べることでそれが間違った意味であることを知り、自分が間違った印象で頭の中に記憶していたことも分かります。これが大事なのです。

間違えた経験が新しい知識となっていく

自分の記憶の中から、自分で間違った言葉として文章に採用してしまった。その「間違いを犯した」という経験は、自分の中でだけしっかりと印象深く記憶として残ります。

これによってその「示唆」については、少なくとも「間違って使用した」という印象が頭に残ります。それが転じて、正しい意味を頭に記憶させることに繋がるかもしれません。そうすれば、その後からは「示唆」を正しく自分の言葉として利用できるようになるでしょう。

これを繰り返すことで、反射的に頭に浮かんだ間違った言葉も新しい語彙となって身に付くのです。そこで使用しなければ、その語彙は正しく使えるようにならないばかりか、頭の中からもすぐに消えて行ってしまうと思います。

もちろん、その後は本当に採用したかった言葉を探すことも忘れずに。これで一気に2つの言葉を覚える機会を得ることができます。一石二鳥、一挙両得の可能性が高まります。

ちなみに「確実に○○である」に該当する語彙は「明示されている」や「道破している」などでしょうか。調べておきました。こういう機会に鍛える意識も忘れずに持っておけると良いですね。

6.カタカナ言葉は多用しない

語彙力は「表現のバリエーション」です。
転じてそれは「言葉を言い換えることができる能力」のことを指すと言っても過言ではありません。

そのような語彙を確実に増やす手段として、「カタカナ言葉を身につける」のも1つの方法です。

カタカナ言葉は便利です。確実に「同じような意味の言葉で違った言い回し」であり、他にはない唯一性を持つ絶対的な"1つの語彙"であり、知っていれば「難しい言葉知ってるね」と言ってもらえる、できるビジネスマンとして見てもらえるなどなど。条件だけ見れば良いこと尽くめで、手を出したくなる気持ちは分かります。

ですがカタカナ言葉の暗記はオススメできません。

カタカナ言葉は覚えづらい

この記事では何度も言っている通り、語彙力は身近な言葉に関連した新しい語彙を調べたり使ったりすることで鍛えていきます。突拍子もないところから来る言葉はなかなか頭に入りません。

その点で言うと、カタカナ言葉はそれ1つでカッコよく言い換えることはできるのですが、他と関連付けて覚えることが難しいです。要するにその1つをそのまま暗記するしかありません。

例えば前項で出している「怒る」という言葉の言い換え。「怒気」「憤怒」などがありましたが、これらは漢字表記などから一度覚えてしまえば「怒る」と紐付けて引っ張り出すことができる語彙となります。

全く頭に浮かんでいなくても、頭文字を聞くと思い出すことができたりしますよね。それと同様に、日本語同士の語彙は関連付けて記憶することができます。咄嗟に思い出したり活用したりすることへのハードルが低いのです。

ですが、カタカナ言葉だとどうでしょうか。「怒る」を単純に英語にすると「アングリー」です。「怒る」から「アングリー」を引き出せるかは、暗記して覚えているかどうかが全てです。最初から関連付いている日本語同士の語彙とは違い、カタカナ言葉の活用には「暗記して紐付ける」という作業が別途必要です。

僕の知っている言葉にも

「社会思想」という意味を持つ「イデオロギー」
「自己存在証明」という意味を持つ「アイデンティティ」

などは幾つかありますが、当然覚えているだけです。そもそもビジネスや学問のシーンで利用されているカタカナ言葉は、日本語の意味を覚えるところからして難しいです。

そう考えて行くと、カタカナ言葉の記憶は労力負担が大きい割に利用できる機会も少なく(日常会話でカタカナ言葉を多用する人は嫌われがち)、優先度は高くないと言えます。その時間と労力で、日本語同士の語彙を増やした方が、長い目で見た活用シーンは多いはずです。

カタカナ言葉は拡がらない

僕の書いている語彙力を鍛える方法論は、基本的に身近にある気になったものから拡げて向上させていくことを旨としています。仕事人が勉強して使うというより、あくまで日常生活で使える言葉を増やすための向上術です。

そしてこの方法論とカタカナ言葉はあまり相性が良くありません。カタカナ言葉はそれ1つで拡がることなく完結してしまい、他の新しい言葉を知るキッカケにはなり得ないからです。

もちろんカタカナ言葉同士の発展や関連付けはありますが、それは業界用語やビジネス用語の範囲での話。自分が日常的に使いたい言葉や汎用性の高い日本語からはかけ離れている場合も少なくありません。

言葉とは日本語同士、近しい表現同士で発展させて拡げていくもの。日本語という1つの島を大きくするように周りに言葉をくっつけていくべきであり、小さい島をたくさん作って配置してもあまり意味がありません。その場合、別に橋を作って繋げてやるという大変面倒な作業が発生してしまいます。

よって、カタカナ言葉は新しい言葉を知ったという明確な成果と結果は得られますが、語彙力を鍛えるという観点ではあまり有効であるとは言えません。

ある程度多くの語彙を得ている状態で、難しい日本語の言い回しを一言で表現できる飛び道具として修得するべきです。文章だと漢字が多すぎても読みにくいので、適切にカタカナ言葉を取り入れることで見栄えをよくする効果もあります。最終的には習得を視野に入れましょう。

ちなみにですが日本語に的確に表す言葉がないものなどは、優先的に覚えておくと便利ですね。

「文句の声が大きいだけで実は少数派な人達」のことを「ノイジーマイノリティー」、「支持しているが声を上げない大勢の人達」のことを「サイレントマジョリティ」と言ったりしますが、これをよく見かけるようになったのは、同様の分かりやすい日本語の語彙が存在しないためだと思います。

カタカナ言葉は伝わらない

この項の最後として、カタカナ言葉はその言葉を知っている人にしか伝わりません。つまりカタカナ言葉は同レベルの語彙力の人との間でしか使えません。それ以外のところで使うと逆効果です。

周りで自分しか知り得ない単語を頑張って覚えても、語彙力として利用する機会は限られています。それは周りからすれば「あなたが作ったオリジナルの言葉」を使っているのと同じです。そうなると「気取っている」「うざい」と言われてしまうことも。

もちろん日本語であっても難しい言い回しは、通じない相手が多い場面では避けるべきなのは同じです。しかし日本語は会話の脈絡やイントネーション(音節)から何となく意味を想像できることもあり、その感覚と雰囲気で、相手が言葉を知らなくとも会話が滞りなく成立する場合も少なくありません。

残念ながらカタカナ言葉ではそれも起こり得ません。知らないカタカナ言葉の意味は、どれだけ日本語に堪能な人であっても想像することは不可能だと言っていいでしょう。

さらに語彙力が不足気味な人がカタカナ言葉だけを覚えてしまうと、そこを正しい日本語に言い換えるノウハウを持っていないこともあります。「それどういう意味?」と言われても他人に説明できないということです。そうなると会話が成立しなくなります。

それについて「相手が知らないのが悪い」というのは、正しい語彙力とは言えないのではないかと思います。言葉とは伝えることが本懐であり、知らない方に合わせるというのも1つの大事なスキルです。それを考えると、カタカナ言葉を優先的に覚えることはあまり意義があるとは思えません。

7.カタカナ言葉の効果的な使い方

とは言うものの、カタカナ言葉自体は便利なものであり、覚えているものや覚えられたものは上手く使っていくべきです。そのカタカナ言葉を適切な語彙力として振るうことについても、この項で考えて行きましょう。

カタカナ言葉には、使う人について「言葉をよく知っている」などの良い印象を与える力があります。他の部分の日本語に難しい言葉が無くても、1つ効果的にカタカナ言葉が入っているだけでそれらしく見えるものです。身近なところだと小池百合子知事などは、その辺りの言葉の力をものすごく効果的に使える方だと思います。

総じてカタカナ言葉が演出力の高い語彙であることは確固たる事実です。だからと言って多用してしまうと意味が分からなくなったり、うざいと言われたりしてしまいます。

なので、カタカナ言葉も当然、自分の言葉の中に「自然に存在させられる」レベルで活用する必要があります。カタカナが入っていることに違和感を抱かせないような、むしろそのカタカナ言葉が理知的に見えるような言葉回し。それが必要です。

つまりカタカナ言葉を文章中(会話中)で効果的に使うには、その言葉が悪目立ちしていない必要があるのです。

よって、文章中にカタカナ言葉を出す場合、その数を自分で制限しましょう。ツイート程度の短文であるならば「○○ション」や「○○リズム」のような言葉は、2つまでに収めておくことが無難です。

そして普通の文章の中に当たり前のように出すのです。どこかで気になって覚えたカタカナ言葉は、日本語と同じように臆せずナチュラルに入れましょう。

間違ってもカタカナ言葉で文章を締めくくったり、「いわゆる○○リズムである」のような自己主張の激しい立て方をするのはやめるべきです。そのような気取り方は周りにも伝わります。「こいつは有識者ぶりたいだけだ」と思われかねません。

難しい言葉ほど自然に振るえることになるのが理想です。決して特別なものと思わず、1つ1つを同じ言葉と思って使ってみてください。

カタカナ言葉にはネットで流行っている言葉やニュースでよく使われる言葉など、自分でも取り入れられた方が会話が楽になる場面はあります。そういった言葉に遭遇した際には、語彙力を鍛えるという意味でも意識して堂々と取り入れましょう。

ビジネスでは言ったもの勝ち

カタカナ言葉の多くはビジネス用語。
読んで字のごとく、ビジネスマンにとっては強い武器になることがあります。

自分の業界に関連しそうなカタカナ言葉で武装し、レベルが近い人との交渉を有利に立ち行かせるなど大きい効果を発揮します。

近しい相手には舐められたくないと思うのが人間ですので、何とか話を合わせようとして墓穴を掘らせたりするのに使えます。ビジネス的主導権を取る方法の一環として、こういう分かりづらい言葉で固めていくのには戦術的価値があります。

これも当然ながら、自分が自然に使えることが前提の方法論です。言葉の難しさに飲まれない、相応の語彙力と話術が求められる方法になるでしょう。

言葉の数を絞ってピンポイントで分かりにくい言葉をぶつけて行く。カタカナ言葉に思考のリソースを取られている間に、本当に伝えたいこと、勝ち取りたい内容を伝えていくのです。

ですが、難しい言葉とは記述した通り「武器」として扱われる類いのもの。日常生活は誰しもやっぱり丸腰で、普通に会話したいと思うものですよね。

その辺りを勘違いしてしまうと、意識高い系と呼ばれてうざがられたりしてしまうのだと思います。見せびらかさず、ひけらかさず。自然に語彙を振るえるところまで、自分を鍛えた上で使いましょうね。

8.話し言葉と書き言葉の違い

最後は本当の本当の実践編。
そして原点回帰でマインドに関わる部分です。

それは書き言葉と話し言葉で求められる語彙力が違うというお話です。

語彙力とは人に正しく自分の意思を伝えるためのものですから、伝わらない使い方をしてしまっては意味がありません。

僕自身の経験談ですが、日常生活で「たまに言っている言葉の意味が分からないことがある」と言われることがあります。

一応こうやって物書き業を営んでいる者ですから、自然に出てくる言葉の語彙が普通の人より多いようなのです。しかしテレビや本で見る、言葉の意味を答えるクイズなどが他の人に比べて桁違いによく解けることはありません。難しい問題は普通に「えー分からん。すごい」と言ってしまう普通の人間です。

それでもそのように言われてしまうことから、普段から読んだり書いたりする機会が少ない人達が使っている(覚えている)語彙は、想像以上に少ないものであると感じています。

また、たまに舌を巻くほどトークが上手なのに、ライティングの面では突っ込みどころしかない酷い文章を書く人に出会ったりします。最初はこういう人に出会う度に「なぜ?」と思ったものですが、これ極めて普通なことです。

トークの上手さと語彙の豊富さ(文章の巧みさ)は密接な関係があるようで、実はさほど大きな関係はありません。

むしろ、語彙力の引き出しを増やしすぎると頭の中でその語彙が錯綜してしまい、アドリブに弱くなったり上手く喋れないなんてことがあるくらい。

もちろん、突き詰めればトークと語彙力には切っても切り離せない関係があるのは間違いありません。語彙も豊富でトーク技術も一級品というクオリティを求められる場に立たなければならない方々は、全てを踏まえた上での会話力を磨かなければなりません。

しかし、日常生活で出会う会話シーンにおいては難しい言葉が必要とされるシーンはほとんどなく、喋りが上手い人でも語彙力が豊富なわけではありません。ですので、難しい言葉を身につけても、トークではそれを直接使わない技術の方が求められます。

語彙力=知識と想像力

では「語彙力を磨くのは基本的にあまり意味がないのか?」と言われると、決してそういうわけではありません。

そもそも語彙力とは言葉の意味を知っていることです。それは転じてそういう意味のもの(状況)を知っていることに繋がっていきます。

例えば、一時を境に一般的な言葉となって行った「忖度(そんたく)」という言葉があります。意味を検索すると「他人の気持ちを推し量ること」と表示されます。これは実際には「相手が何を求めているかを考えて、言われずとも喜ぶ行動を取っておく」といったもっと限定的な状況を指して使われていると思います。

この「忖度」、数年前までは一般人の9割は知らないような言葉でした。例えば、2015年くらいに会話の中で「あいつは忖度しているな」と言っていたら、言葉を知らない人だらけで伝わらなかったはずです。

しかしこの言葉を使わずに、「あいつはやれとは言われてないけど、上司がそれを望んでいると予想して動いたんだな」と言えば誰にでも伝わります。文章で書くと若干冗長ですが、会話で口に出すには全く問題ない長さです。

転じて「忖度」を知ったことは、この「やれとは言われてないけど、それを望んでいると予想して動く」状態を知識として知っていることに繋がります。世の中には、その状態を想像できない人もいるかもしれません。言われないと思いつかない人もいるかもしれません。

ですが事前に「忖度」という言葉を学んでいれば、その存在を知ることができます。「忖度」が一般化したことで、今の日本では「やれとは言われてないけど、それを望んでいると予想して動く」ことを想像できない人は少なくなったはずです。

つまり語彙力を鍛えることは、様々な言葉についてその違いや奥深さ、状況や物事を知ることと同義なのです。

これこそが語彙力を鍛えて蓄えている人が持つ「頭の良さ」の根源だと僕は思います。

難しい言葉を簡単に言い換える能力

例えば、頭の中で(これは忖度だな)と思っても、実際に口から出す言葉は誰にでも分かりやすいようにマイルドにしてみる。想像力がない人は、それだけで「この人は他にはない見方をしている人なんだな」と尊敬してくれるかもしれません。

それを繰り返すことによって「この人は言うことも分かりやすいし、何でも知っているな」という印象を周りに持ってもらうことができるのではないでしょうか?

頭の中に浮かんだ難しい言葉を、簡単な言葉に言い換える能力。これを持って語彙力を鍛える・実践して活用することは完成します。

「怒る」の言い換えでも「かんかん」と「お冠」と「立腹」と「激昂」と「怒髪天を衝く」と「はらわたが煮えくり返る」では怒り方にも違いがあるでしょう。それらは全て文章であれば適切に利用することができ表現です。しかしトークではわざわざ使う必要がないものもあります。

それを実際に使わなくても、その1つ1つを知っていればそれだけ想像力が豊かになります。その想像をはたからせて思いついたものを、周りに的確に伝えられるように努力すること。これが最も重要で大切なことです。

「取引先が激昂した」を口で説明する場合、極端な話「取引先がヤバいくらい物凄い勢いで怒っちまった」で十分ですし、その方が伝わりやすいこともあります。

そしてそれを正式な報告の中では「取引先担当が激昂してしまいまして」と言えたらより適切です。この使い分けこそが、本当の意味で語彙力が豊富な人のできることだと思います(※取引先を激昂させてはいけません)

語彙は覚えて終わりではなく、活用できるようになったところがゴールです。その活用方法もより実践的に考えて行ければそれがベストでしょう。

この語彙力向上術を呼んで、そんなところまで意識を向けてもらえれば嬉しいです。

おわりに

僕が日常的に実践している語彙力を鍛える向上術を紹介してきました。

当たり前ですが、これを最初から意識して文章を書くことを始めたのではなく、僕が"結果的に"実践していることをまとめたに過ぎません。つまり最初から全てを行おうと思っても上手く行くわけがないと思います。

この記事に書かれていることが段階を踏んで最後のレベルまで実践できるようになれば、日常生活ではまず困ることのない語彙力を得られます。

上の項から順に実践し、慣れてきたところでこの記事をまた読み直しにきてみてください。そうすればまた発見がある内容に仕上がっていると思います。

僕も今の自分の考えをより更新して行けるように努めて語彙力を鍛えて行こうと思います。この記事を読んだ方々が少しでもより良い日本語を使えるようになることを願って、この記事を締めさせて頂きます。

お読み頂きありがとうございました。また読みに来てくださいね。

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