今回は通い始めてだいたい7ヶ月目~9ヶ月目、3クール目に相当する内容です。
その1では悪いところを改善し、その2は自分のためでなく、人に聞かせる歌というのを考える話をしました。
この記事ではいよいよ人前で歌うことについて考えます。カラオケで人に聞いてもらうというのも大事ですが、ここで言う人前で歌うとはライブに出るということです。
僕はライブイベントを定期開催してくれているスクールに通っているので、そのチャンスは沢山ありました。ちなみにボイトレのスクールを選ぶ際にはこういったイベント関係が充実しているかはかなり重要なポイントになってくると思います。
入校する前にどういった催しが行われているかはチェックしておいた方が良さそうです。最初はそこまでの気がなくても、やりたい出たいと思った時にやれることが多い方が良いですからね。
ライブは自分の本当の力量を知る機会
ここまでを見て「え、でもライブなんて…自分はまだまだ…」と拒絶される方も多いでしょう。
実際、ライブというのは非常にハードルが高いもの。僕の通っているスクールでもライブに出演している人は2割もいないくらいではないかと聞いています。
前回書いた「人に聞かせる歌」とはまた違い、理想を言えばライブでは「人に聴いてもらう歌」を歌わなくてはなりません。そして歌を歌うだけでなく、ステージ上での振る舞いも見られているという都合上、歌に100%集中するのは難しい。
歌を習っているとは言え、ライブへの出演はなかなか勇気がいることかと思います。
ですが!
だからこそ自分の歌が更に上手くなるチャンスがボロボロ転がっています。
ライブは自分の習ってきた成果を披露するためだけの場所ではありません。
今の自分の「本当の力量」を知るための機会でもあるのです。
ここから僕がライブに出て上達した!と思う理由を書いて行きます!
1.練習していることが100%できないことを経験できる
まず手始めに1つ解説。
ライブとは人前で歌う1発勝負の場。しかも1人です。
当然緊張感は普段のレッスンやカラオケの比ではありません。
歌を歌うのに、緊張するという経験自体少ないものと思います。
しかも前述の通り身体の動きも見られているので、歌だけに集中できません。
身体のコンディションによって発声の質が左右されやすい歌では、練習の100%が発揮できなくて当たり前です。むしろ30%くらいのことしかできないくらいのイメージでいた方が良いのではというほどです。
ライブに出た後「普段のカラオケレベルかそれ以下の歌しか披露できなかったなぁ。これ習ってる意味あるのかなぁ」と思うこともあるかもしれません。
でもその気持ちを持つことこそが1つ上達のチャンスと言えるのです。
その理由は次の項へ。
2.自分の悪い癖を把握する
そもそも何故、そのレベルの歌しか披露できなかったのを考えてみましょう。その最も確実な理由は、レッスンでは指導などによって抑え込まれていた悪い癖が、様々な理由によって表に出てきてしまっているからです。
つまり、誤魔化しているだけで「本当は直っていないところ」が浮き彫りになるのです。
レッスンの間はできても、普段だと本当はよく分かっていない。コントロールできていない。そういうところがライブの歌唱には多大な悪影響を及ぼします。
上手くなった気になっていただけだった。
できるようになった気になっていただけだった。
そういう現実と向き合う機会が、上達には必要です。辛いですけどね。
こういった完全に定着していない部分を見詰め直すには、極度の緊張状態に自分を置くのが一番手っ取り早いです。つまりライブなどに出演して始めて、本当の意味で弱点を実感することができるのです。
前記事で書いた「講師が何を言っているのか分からない」という状況。これを理解し打破するキッカケになると言えます。
あぁ、言われたことがこんなにできていないから、上手く行かなかったんだ。だから講師はあの練習をした方が良いって教えてくれたんだ。
ライブ出演はこういう気付きに至るチャンスになります。
これは普通に練習していてもいつかは辿り着けるでしょう。
しかしライブに挑戦することはこの気付きに至るまでのペースを明らかに早めてくれます。できない自分を把握することで、新しい弱点を探し出すのです。
ちなみにこれは、基本的にプロの講師の指摘というのは間違っていませんし、疑うべきではないという前提です。合う合わないはあると思いますが、指摘は正しいものとして受け入れて考えましょうね。
3.「今の自分のベスト」を把握できる
ライブでは練習している30%程度の力しか発揮できません。
でもこれは最初のうちは、の話。
この精度をどんどん上げて行き、自分の思っている100%が常に発揮できる状態に近付けていくことが、本当の意味での「歌唱力向上」と言えるでしょう。ライブで普段100%がそのまま100%出せるような歌い手になったら、カラオケではヒーロー間違いなし!
しかし、何だかんだ言って、拙いながらもやはり人前ではカッコよく歌を歌いたい。恥ずかしい思いはしたくない。これも当然の想いだと思いますし、実現する必要があるものだと思います。そのためには今の自分ができる最良を把握し、それに基づいた選曲や歌唱をしなければなりません。
例えば、
調子良い時はカラオケでこの歌が気持ちよく歌える!
これは100%ライブでは上手く歌えません。
頑張ればこの音域までは出る!!
これも出ません。
自分を良く見せたいなら、こういった曲を歌うことはそもそもNGです(挑戦する意義はあると思います)普段なら楽勝!これは自分の持ち歌!と思えるようなレベルの曲を歌わないと、思った通りの歌唱をすることはできないと思います。
「こういう歌を歌えるようになりたい!」という気持ちは非常に大事ですが、その前にまず自分が一番得意なことを把握し、それを伸ばす練習が必要です。そこからのチャレンジの方が結果的には上手く行きやすく、効率が良いのは確実です。
今自分にできるベスト、上手くできる範囲を確かな実感として得ておく。これは長い目で見て、絶対的な練習の指標となりますし、ライブに出る時に自信を持って人前に立ち、より優れたステージを体現できる近道になると言えます。
そのためにも、まずライブに出て1度実感するのは大事です。まず1度で良いんです。1回だけで良いのです。挑戦して見てはいかがでしょうか?
欲を言えば自分の歌唱を動画にしてあとで見返すとより良いですが、これはまたハードルの高い話ですので自己判断にて!
まとめ
以上書いて参りました。
ライブに出ることで歌が上手くなる理由です。
わざわざこういう記事を読んで、ボイトレに通うのを検討する人でしたら、ステージ上で歌うプロのライブを見たことある方がほとんどなのではないかと思います。
それ故にライブというもののハードルを上げてしまうのだと思います。あんなにカッコよく人を楽しませられるわけがないと思ってしまうのは普通です。自分なんかがおこがましいと思うのも分かります。
でも最初から上手くできる人なんていませんし、あなたの好きなアーティストも、きっと今のあなたみたいな気持ちを経験して、そのステージに立っているものと思います。
まず1度、その気持ちを体験して歌を歌ってみるのはとても良いことだと思いますよ。アーティストへのリスペクト精神も上がります。余計好きになります。
「やっぱりあの人思っていたよりめちゃくちゃスゴいなぁって今これを経験してみて分かった!」みたいな実感を持てるのも、ライブに出る楽しみの一つなんじゃないかなぁと思っています。
そのために小さなライブイベントなど「これなら自分でも出られるかも…」と思えるイベントを開催しているスクールを選んでボイトレに通うのがオススメです、という話を最初に書いたのでした。
ボイトレに通ったらライブに出る。
ライブに出たらボイトレに行く。
このサイクルで歌は劇的に上手くなります。僕はそう思ってます。勇気がいることですが、ボイトレに通い始めた時点で十分勇気ある行動だと思います。
是非その先にもう一歩踏み出してみましょう!