生活の知恵

競馬は恐すぎるギャンブル ゲーム性の裏に潜む巧妙な罠

投稿日:2019年10月30日 更新日:

 

友人に誘われる形で競馬に洒落込んだ10月後半。

僕はギャンブルらしいギャンブルはほとんどやらない(パチスロもやらない)タイプで競馬とも無縁だったのですが、最近ハマりまくっている友人にしつこく誘われたので「まぁたまには…」と思いお付き合いすることに。

と言うのも、その友人は競馬をギャンブルというよりゲームとして楽しんでいるなと思ったからです。

話ぶりから感じていた競馬の面白さとそこに隠れたギャンブル性の恐ろしさ。実際に嗜んでみて見えたことが沢山ありました。

今回はその彼にお付き合いした体験の記録を、自分メモ程度に残しておこうと思います。よろしければお楽しみ下さい。

競馬はゲームかギャンブルか

競馬とは様々な要素が絡んで出来上がっているレースです。

馬を見る、騎手を見る、天候を見る、状況を見る。
そしてそれを踏まえた適切な買い方を考えて、得を取れるように動く。

そうやって知識と読む力を身につけることで、競馬は的中率を上げることができる。話を聞いていると、競馬は非常に頭を使う緻密な遊びであるなとは思えました。

ゲーム好きな自分としては、その観点に魅力を感じないわけではない。だから試しに興じてみるのも、経験としては良いかもしれないと思ったのです。

ただ彼の話を聞いて仕組みの知識を得るに連れて、僕の頭の中には大きな疑問がチラつくようになりました。

それは「そんなに論理立てることで勝ち筋を増やせるなら、ギャンブルとして成立しないのではないか」というもの。

基本的にギャンブルというのは「考えても勝てないから成立する」と思っています。ゲーム性がギャンブル性を上回ったものは"ゲーム"になります。競馬は"ギャンブル"なわけだからゲーム性があったとしても、それを上回るギャンブル性が存在していると考えるのが自然です。

僕はこの疑問を払拭するを1つの目的に、競馬を楽しんでみることにしました。すると、あまりにも早い段階で、ゲーム性の裏にある大きな搾取の仕組みに気付くことができたのです。

損しづらい買い方を徹底すべきだが…

まず競馬は知識を付ければ付けるほど、正確な読みが可能になります。これは事実のようでした。

馬の実力や騎手の能力によって「99%ない」を見極めることは可能。そもそも競馬にはオッズと呼ばれる人気値(多くの人が買っていると当たった時の儲けが減る)が存在するので、無知識でも数字を信じて買えばある程度までは当てられるわけです。

1番の馬を当てるだけなら1番人気を買えば当たる可能性は高い。難しくないゲームです。しかしながら多くの儲けを得ようと思うと、1~3着までを的中させる必要があります。

ギャンブルに興じようと思うと、多くの場合でこの1~3着を当てる三連単(順番も完璧に当てる)か三連複(順不同で3頭の馬を当てる)に挑まなければならない。これが前提です。そしてこれらを的中させるのは、流石に至難の業と言って良い。

正しい知識を持って、しっかり予想をして当てられるのはせいぜい2着まで。3着と4着の馬が入れ替わる可能性なんて幾らでもあるし、総合して1つの予想だけで1~3着までをしっかり当てられる可能性は非常に低いと言わざるを得ないでしょう。

「的中率より回収率」を考えた買い方

ここからが競馬のシステムの大きなポイント。
1つのレースに対する買い方は1つである必要はなく、幾つもの買い方を複合して良いことになっています。1,2,3(※数字は馬の番号)が三着で来る予想と1,2,4の馬が三着で来る予想を買っても良い。これを幾らでも同時に買うことができます。

そしてギャンブルをやる以上は、損をしたくないと誰もが思うもの。ですのでここまで考えると次は「損をしないにはどうするか」を人は考え始めます。損しなければ得をする。当たり前のことです。

となるとやることは1つです。
自分が来そうだと思った組み合わせを複数買い込んで、どれかが当たった時に得できるように買い込んでおく。

例えば当たったら一番人気が10倍のレースに1,000円を賭ければ、当然10,000円が返ってきます。これを見込んで、他に当たりそうな組み合わせを1,000円で9,000円分(9パターン)買い込んでおく。

こうしておけば、予定調和で一番人気の組み合わせになれば1,000円は最低限儲かります。もし他の組み合わせになって15倍であれば、6,000円が儲かります。

リスク分散をすることで、最終的に損しない(得できる)確率を上げておく。これが競馬を楽しむ上での鉄則なようです。

これらの状況を友人は「的中率より回収率」と言っていました。分かりやすく良い言い回しだと思います。当てるより金が返ってくる方が大事。なるほどと思わされます。

ここまで書くと「意外と簡単に儲かりそうだな」思う人もいると思いますし、僕も話を聞いている時はそう思っている節もありました。

ところが実際に嗜んでみると、この買い方こそが競馬最大の罠だと気付かされたのです。

損をしないために損をする構造

このリスクを分散した複数買いですが、決して無限に買えるわけではないでしょう。当たった時の最低倍率と手持ちの資金と相談して、どこかで区切りを付けなければなりません。

その範囲を決める1つの大事な基準が「3位以内に絶対に入るだろう馬を1頭決めること」です。これを界隈では「軸馬」と呼ぶようです。

その軸馬が3着に入る買い方で、的中が高そうな組み合わせを可能な限り購入することで当たり目を増やすことができます。

これでかなり高い確率でバックを得られる状況が整います。1番人気を軸にして、7番人気くらいまでの組み合わせを順不同で埋めておけば、何となく当たる気がしてくる。

しかしこの買い方は堅実的で賢い買い方でありながら、その中で高いリスクが付きまといます。

それは軸馬が3位以内に入らない可能性。
どうも一番人気の馬でさえ3着以内に入る確率は統計上約60%とされているよう。つまり数字上は40%の確率で、買った全ての組み合わせが外れるということです。

当然ですが凄まじい下剋上が起きて、全く想像もしていなかった馬が3位に入ってしまったらその時点で負け確ですし、これだけ買い目を増やしても的中確率は5割を切ってくるのが現実でしょう。走るのは馬なので、人の思い通りにならないことも多いですし、何が起きるかは全く分かりません。

やはり突き詰めて行けばギャンブル。
にも関わらず、賢く当てるためには買い目を多めに見ておくのが必須条件。

そして買い目を増やせば、それだけ元手が必要になります。
5桁以上の収益狙いで1組だけ買えば1,000円で済みますが、紙切れになる可能性が圧倒的に高い。当てに行くのであれば10,000円以上は見て、しっかり買いこんでおきたい。これが競馬のよくできたところです。

知識を付ければ付けるほど損をしない買い方を習得できるのですが、それを行った結果、負けた時の損額が大きくなって行ってしまう。

負ければそれを取り戻すために人間はどうしても感情的になってしまうもので、また同じように買い込むでしょう。とは言ってもどんなに突き詰めたところで、それが当たる確率も5割よりは遥かに下なのです。

正に「損をしないために損をしていく構造」
それが競馬というコンテンツの中には完全に出来上がっています。

なんか勝てそうな感じがするし、意外と楽チンに稼げそうなオーラが出ている。ですが、その中には確実に人からお金を巻き上げる仕組みが存在している。

いやはや、どこまで行ってもギャンブルというのは恐ろしいものです…。2回くらいでこれに気付けた自分のことを今は褒めてやりたい…。

おわりに

俗説ですが、競馬は適切な遊び方をすれば、出した資金の9割が回収できると言われているそうです。パチスロが7割、宝くじが3割。そう考えると建設的と言えなくもない。

ただしこれはあくまで"適切な遊び方をした場合"であって、感情的に滅茶苦茶な買い方をすれば一瞬で一文無しにもなれる。これが競馬の最高に恐ろしいところ(賭け金は自分で好きなように設定できる)

3万円負けたら次で「確実に1位になると言われている馬」を2万円買えば、1.5倍でも3万円が返ってきます。でも、そいつが1位になれなければまた2万損するわけです。これを繰り返して皆駄目になって行くんだ。恐すぎるな。

逆に言えば1つの当たり目を100円ずつ買えば、買っても1,000円くらいしか儲からないものの、買い込んだところでせいぜい3,000円くらいの損でしょう。こういう遊び方が自分でコントロールできるのが魅力だと思います。

全ての趣味は楽しむのに対価を払うべきであり、無料はもちろんお金を貰って興じようと思うことが間違い。一般的な趣味の範囲の金額を失うのであれば、ギャンブルとは言え趣味には成り得ます。

まぁなかなかそのコントロールができないから難しいのですが…。僕もソシャゲのガチャに課金しまくってた時期があるので、気持ちはよく分かります。

そういった経験からギャンブルはやりませんが、ギャンブラー体質の自覚はあります。だからこそギャンブルには手を出さない。競馬もまた何かの折に友人に付き合うくらいに留めようと心に決めました。

とは言え、経験は糧。
挑戦したからこそ分かることが沢山ありました。

知らないものは文章にもできませんしね。そういう場をくれた友人には改めて感謝を。楽しかった。ありがとうございました。もうやらんからな!

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