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『東大王vsQuizKnock』18,000字レポート 知力の頂上決戦 最高の戦いが行き着く先

投稿日:2020年6月20日 更新日:

伊沢拓司(点数王)(@tax_i_)より

 

『東大王vsQuizKnock』

最高学府"東大"の名を冠したテレビ番組『東大王』。そのレギュラーとして鎬を削る東大王チーム。

それに相対するのは仕事としてクイズに明け暮れ、知識と学びで社会を生き抜くプロ集団QuizKnock。

伊沢拓司という存在を筆頭に切っても切り離せない関係である両雄の対決の場は、2020年6月『東大王』の番組内にて用意されました。

その内容は"クイズ界の頂上決戦"の触れ込みに相応しい激戦となりました。全編通して、手に汗握った方も多いでしょう。

興奮冷めやらぬ彼らの激闘の行く末を、東大王とQuizKnockの双方を日々楽しむ者として記事に残して行こうと思います。

よろしければお付き合いくださいませ。

注意

本記事は敬称を全て略させて頂きます。
ご理解の上、お読み進め下さいませ。

実力試し「早書きバトル」

1stステージは「早書きバトル」。
『東大王』内でも久々に行われる企画です。

今回はソーシャルディスタンスを維持しての収録であり、できることが限られること。また(芸能人チームと比較して)全メンバーの実力が拮抗していることから、純粋な"クイズ力"が要求されるステージが多めに設定されていた印象です。

東大王チーム時代から早書きを得意としているリーダー(点数王)の伊沢拓司を筆頭に、圧倒的な知識力を持つ4名で構成されたQuizKnockチーム。

今回参戦した福良拳(ふくらP)、山本祥彰、渡辺航平(こうちゃん)はYouTube動画でもメインで活躍するメンバーで、その他のTV番組出演経験も豊富。またそれぞれが異なった得意分野を持ち、チームとしてもバランスの取れた布陣です。

一方の東大王チームは今回、大将の鶴崎修功が学業のため欠席と戦力を大きく欠いた状態で挑むことに。

それに繋がる形で臨時大将となった鈴木光や、正規メンバー昇格後初めての収録となる砂川信哉のメンタル面にも懸念が残ります。

東大王とQuizKnock、双方をよく知るファンの方々であれば、状況的に見て東大王チームが始まる前から気圧されていると感じたのではないでしょうか。普段は格上のはずの東大王チームが、今回は必ずしもそうとは言えない。そんな強力な相手です。

そんな中で、1人普段通り(普段より?)のテンションでQuizKnockのこうちゃんと舌戦を繰り広げたのがジャスコこと林輝幸の姿が。彼はこうちゃんと東大クイズ研の同期で、どちらも歴史が得意分野とのことで馴染みの仲であるとのこと。

そもそも実はジャスコ林自身が現在ではQuizKnockのメンバーでもあり、動画にもたびたび出演中。番組上ではその事実は隠し、純粋な「東大王チーム」として振る舞うことになるのですが、本人はTwitterにて「どういう顔して戦っていいのか分かりませんが」と本音を漏らすシーンも。

その後もジャスコは早書きについて「早押しだと思ってやります」という解釈の難しい発言を展開。大将の鈴木光に「楽しい人だな」と笑われ、敵側でありながら上司でもある伊沢からは「早書きは早押しとは結構違う」と釘を刺されるなど絶好調。

現『東大王』の空気を生み出すのは、やはりこの男なのかもしれません。

QuizKnockの洗礼

そんな茶番もそこそこに「早書きバトル」がスタート。

開幕から圧倒的スピードで1位を奪取し続けるのは、やはり伊沢拓司!

『東大王』の企画とは言え、しばらく行われていなかったこの「早書きバトル」。候補生を含む今回の10名で実際に経験しているのは伊沢、鈴木、砂川の3名のみなのです。その中で特に早書きが得意だった伊沢にポイントが集中するのは、ある意味で予定調和だったと言えるでしょう。

伊沢はその後も上位を取り続け、4問目を終えた時点で1位2位1位1位と脅威のトップ率を獲得。その圧倒的スピードが東大王チームを強く圧迫して行きます。

「早書きバトル」は正解者のトップ3までがそれぞれ30/20/10点を獲得する形式。つまり相手より1位を多く獲得できない限り、絶対にリードを取ることはできないステージです。

QuizKnockチームは4問目で1,2,3フィニッシュを決めるなどその熟達した力を発揮し続け、東大王チームを大きく引き離すことに成功しました。

仲間からもしっかり「バケモノ」扱いされる伊沢。

そして東大王チームにとって「ここで1位2位を取れなければ負ける」問題となった5問目。

明暗を分けた決戦で1位を獲得したのは、QuizKnockの山本祥彰でした。

ですが彼は決して"早書き"に成功したわけではありません。むしろスピードだけ見れば相当に遅い正解での1位でした。それでも彼が1位を取れたのは、なんと正解者が山本ただ1人だったからです。

この問題は施設名称を答える映像問題。正解は「ケネディ宇宙センター」だったのですが、解答者のうち実に6/8がロケットの映像を見て「NASA」と書いてしまっていました。

その中で山本だけが「NASAは正解として広すぎる」と判断し、確実な正解を求めて終盤まで映像を見ることを選びました。これが功を奏し、ほぼ全員が「早書きで誤答する」中で最速の正解を導くことができたのです。

東大王チームは「絶対に誰かが1位を取らなければならない」プレッシャーの中で戦わなければなりませんでした。その焦りから、全員が一か八かの賭けに出ることしかできなかったはずです。

前半で確実にリードをものにしたQuizKnockチームは、その点で東大王チームより冷静でした。そして何より、早書きが得意な伊沢にスピード面を任せて「確実に正解を取りに行く」選択をした山本の判断力が実に綺麗に決まっている。美しささえ感じます。

1stステージは知識力、技術力、判断力、チームワーク。正に全てにおいてプロ集団QuizKnockの地力の高さが炸裂した戦いとなりました。これには多くの視聴者が舌を巻いたことでしょう。

QuizKnockのことを知らない『東大王』ファンも、彼らの勢いから「本当に凄いんだな」と感じたに違いありません。

今回はいつもとは違う。そんな緊張感のある空気を万人に感じさせてくれる幕開けとなりました。

オセロか全滅か「難読オセロ」

2ndステージはお馴染の「難読オセロ」。
もはや難しすぎて、一般的な知識で読めるのは数マス程度になってしまったこのオセロが今回も登場です。

東大王チームの漢字力は語るに及ばずですが、QuizKnockチームにもセオリーを理解している伊沢と漢検準一級を保有しているスペシャリストの山本が存在。漢字力についてはどちらが上とも言えない状況です。

なのでこのステージは「果たしてQuizKnockはオセロも強いのか?」そこがこのステージの争点となりました。

今回のテーマは「生き物の名前」。
見たことがない漢字が並びますが、両チームともほぼ悩みもしない難のない解答を展開。さらにオセロのセオリーを理解した采配で、番組史上でも珍しい軽やかでリズミカルな内容が展開されます。

オセロは相手に情報を与えた分だけ不利になる。ポーカーフェイスを保つのも重要です。

手始めに最初の角チャンスは東大王チームに訪れ、難読漢字を得意とする砂川が「鶻(ハヤブサ)」を余裕の解答で制します。これで一気に東大王チームに流れが傾きます。

QuizKnockチームもこうちゃんが「全く知らない」と断言した「鬣犬(ハイエナ)」を予想だけで解答した他、理系の漢字王 山本が「袋鼠」を「オポッサム」と解答。本来は「カンガルー」でも正解になる問題で、より難しい方を答えるファインプレーを見せています。

その後も東大王チーム優位にゲームは展開。難読オセロ経験の最も多い大将 鈴木光の采配が光ります。常にオセロでの勝利に集中し、漢字についてはほぼ気にも留めていない様子。さすがの貫録です。

「ごめん、今誰の番だっけ?」
「光さんです」
「あっ…そっか…」

集中しすぎて他事が見えなくなるところに彼女らしさが感じられますね。その後しっかりと正解を答える辺りも含めてさすがです。

攻め続ける東大王チーム

終盤に入るとQuizKnockチームの態度に影が差し始めます。実はその時点で、オセロについてはほぼ東大王チームの勝利が確定していたのです。

「――ここから変えます」

状況を理解した伊沢拓司は即座にプレイングを変更。オセロでの勝利を諦め、東大王チームの全滅を狙います。特に難易度の高い四隅を東大王チームに読ませられるように、比較的簡単なマス目を率先して埋めて行きます。

当然ながら東大王チームもその動きに気付かないわけがありません。それでも東大王チームは決して守りに入ることなく、確実にオセロで勝利できるマスを選び続けて行きます。

「頑張ろう…。皆頑張りましょう!」

笑顔でメンバーにエールを送る鈴木光の姿は印象的だったと思います。と言うのも2ndステージは、最終盤まで両チームとも一度も不正解を出すことがありませんでした。そのことからも、攻めの姿勢を続ければ"読み切る"ことができると踏んだのでしょう。

結果的に最後のマスとなった右下角まで、4人全員のライフを残すことに成功。その「羔(コヒツジ)」を鈴木がサラッと正解してゲームセット。

この読みには漢字王 山本も密かに脱帽。

東大王チームは1人として脱落することなく、四隅を含めた難読漢字を全て正解。オセロでは言わずもがなの大勝で、2ndステージは東大王チームの完全勝利の結果に終わりました。

そしてなんと、東大王チームはQuizKnockチームが最後に読んだ「兎馬(ロバ)」を全員読むことができなかったことが終了後に判明。

東大王チームはそのマスを避けて勝つことを考えており、実は"読ませている"と思っていたQuizKnockチームが"読まされていた"という意趣返しまで披露。これにはさすがの伊沢も悔しさを隠し切れませんでした。

難読オセロについては通常放送時の芸能人チームも相当の実力で、東大王チームも勝率は決して高くありません。そんな相手と鎬を削り続けてきた経験と実績が東大王チームにはあります。やはりオセロについては、長い歴史を持つ彼らの積み重ねが勝ったということでしょう。

1stステージはQuizKnockの大勝。
2ndステージは東大王チームの大勝。

一歩も譲らない戦いに興奮冷めやらぬ中、次の3rdステージがスタートします。

波乱続き「漢字一文字連想クイズ」

3rdステージは「漢字一文字連想クイズ」。
こちらも『東大王』の番組内では久々の登場となった形式です。

1人1文字、最大3文字のヒントから解答者が答えを導き出すこの問題。3人のヒントが被ると得られるヒントが2つ以下になってしまうなど、「他のメンバーが何を書くのか」の予想も需要。知識や発想力の他、信頼と結束力も試されるステージです。

これについて「有給代休以外は共に過ごし、同じ釜の飯を食いまくっている(伊沢談)」と豪語するQuizKnockチーム。実際のところ、東大王チームは番組内での積み重ねがあるとは言え、限定的な状況で組まれるチームなのは事実。QuizKnockチームが密度の高い交流を深めているのは確かでしょう。

そんな「漢字一文字連想クイズ」は、1問目から両者誤答という波乱のスタートを切りました。

「民」「総」「髭」というヒントから「大隈重信」を連想した鈴木光に対し、「明」「政」「死」から「伊藤博文」を連想した伊沢拓司。しかし正解はまさかの「板垣退助」でした。

実は鈴木は正解の答えを書いていたのですが、土壇場でそれを変更して誤答してしまいます。それは「板垣退助は総理大臣ではないはずなのに"総"がヒントとして出ているから」という、まさかのヒントミスによる混乱から来るものでした。一方の伊沢はヒントである「死」の取り違えによる解答ミス。

この時代は連想できる人物が多い故に、3文字から正解を導き出すのが難しいことがよく分かります。

その後2問目は両チーム快調に正解し、3問目はこの試合で最も視聴者を湧かせたであろうQuizKnockチームの連係プレイが披露されました。

信頼と経験と実力の証

「ある日本の文学作品」を答えさせる問題に対し、「境」「踊」「賞」と異なった3文字のヒントを出したQuizKnockチーム。

この問題の解答者となったふくらPは「雪国」と解答し、見事に正解します。

このヒントの意味から何を察したのか聞かれたふくらPは、こうちゃんの「賞」から「ノーベル賞を連想」し、山本の「境」から「川端康成の『雪国』の書き出しを連想した」と答えます。

そして問題となる伊沢の「踊」について。
これは2人のヒントから川端康成を連想できた際に、代表作である『雪国』と『伊豆の踊子』の2択で悩んだ場合、「『伊豆の踊子』ではないことを伝えている」と読んだとふくらPは答えました。

この連想クイズは「答えに直結した漢字をヒントにできない」というルールがあります。つまり『伊豆の踊子』が答えであれば「踊」をヒントにすることはできません。よってこれは、答えを限定する意図を持ったヒントになります。

一見すると素晴らしいヒントのようですが、それは結果論とも言えます。何故なら他の2人が川端康成に関するヒントを出していなければ、このヒントは解答者を混乱させるものにしかならないからです。

それでも伊沢がこのヒントを出したところから、QuizKnockの協調性の高さを垣間見ることができます。

彼らはYouTuberでもあるという立場上、普段は動画内で自分が果たすべき役割を意識しての活動を行っています。その中で、それぞれが持っている個性についても理解し合っているのです。

QuizKnockの動画にてトリッキーな行動や解答で場の空気を動かす役割を果たすのは、多くの場合でCEOである伊沢拓司です。それは彼の持ち味でもあるし、単純に最も得意であることも影響しています。

このことから、こうちゃんと山本の両名はこのような場においても「穿った答えは伊沢に任せておけば良い」と思えていると感じます。だから2人は、堅実に川端康成を連想できる答えを出すことに注力できています。

一方の伊沢も「穿った答えが必要なら書くのは自分」と理解して答えを書いています。そして何より「ひらめきのスペシャリストであるふくらPなら、間違いなくこのヒントの意味に辿り着く」と絶大な信頼を持ってこのヒントを投げています。

この4人はたまたま運よく最適なヒントを出し、正解できたのではありません。個人個人に対する理解力の高さから、能動的にこの結果を導き出せたのだと僕は考えています。

普段のYouTube動画ではメンバー同士の競い合う姿が頻繁に公開されており、実はメンバーが共闘して1つのクイズに臨む姿はあまり見られないQuizKnock。彼らが団結すると、ここまで美しい形を作り出すことができるのかと、感嘆せずにはいられません。

東大王チームからも、この問題の解答を改めて絶賛するツイートが多く見られました。

東大王チームは「抜」「賞」「抜」とヒントを被せてしまったことから、解答者の砂川が答えに辿り着くことができず誤答。実際この問題はQuizKnockチームが完璧すぎただけで、3rdステージの中でも取り分け難易度の高い内容だったように見受けられました。

結果として3rdステージは、この問題が決め手となってQuizKnockチームが勝利。東大王チームが一歩遅れを取る形で、前半戦は終了しました。後半戦はどうなっていくのでしょうか。

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