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『キンプリ』オタクが『プリパラ』を見て感じたこと 第一期編 徹底して「ネガティブを次の回に持ち越さない」作風

投稿日:2019年5月29日 更新日:

 

事件は『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』劇場編集版第二章(4話)を鑑賞中に起こった。

突如当たり前のように展開された十王院カケルの「サイリウムチェーンジ!」から「『プリパラ』も見ておけ」という邪悪なお告げを感じ取り、重い腰を上げて見始めることとなりました。『プリティーリズムシリーズ』全作鑑賞完了からおよそ1年半ぶりのことである。

まず一期全38話をとりあえず見終わったこのタイミングで、全体のイメージをまとめた記事でも書いておこうと思い筆を執りました。

『プリティーリズム』と比べてどうなのかなど踏まえ、『キンプリ』などを見て『プリパラ』の視聴はどうしようか悩んでいる人達に向けた内容になるように意識して書いて行きます。

あくまでも『キンプリ』から『プリパラ』に入ることを意識したプレゼン記事です。それを踏まえた上で、お楽しみ下さい。

徹底してポジティブで魅力的なキャラクター達

『プリパラ』一期の良さは、特にキャラクターメイクとその動かし方でしょう。38話のうち8割をキャラ見せ回に使い、残りの2割で簡単な物語を展開するという流れですが、不思議と見ていて飽きる感じがないところが創りの上手さだなと思います。

天真爛漫で等身大の女の子であるらぁらを主人公を筆頭に、二面性を持つ委員長キャラのみれぃ、普段はポンコツでもステージの上では最高に輝けるそふぃと、「SoLaMi♡SMILE」の面々はステージに立つ理由が明確かつ短い時間で立てられる要素を持っているのが大きいです。

後半で登場する完璧主義者で凛とした女の子のシオン、カッコイイ女の子になりたいドロシー、女の子のような男の子のレオナと、「DressingPafé」の3人は中性的で分かりやすい要素を持っていて、それぞれが個性を忌憚なく貫くことで作品に的確に華を添えています。

その全員が自身の持つ個性に対して大きなコンプレックスを発揮していないのが特徴的で、極めてポジティブに話が進んで行きます。一般的に言えば、みれぃやレオナのようなキャラは、特に現実と理想のギャップに苦しむ役回りを与えられがちなキャラクターですが、彼女達については「好きでそうしているし、現実の自分も嫌いではない」という見え方が貫かれています。

要素を問題にしてそれをどう乗り越えるかという創りではなく、「個性を問題として扱わないことが真の多様性」といったテーマ性をキャラクター達から感じることができるのがとても心地良い。難しい価値観の話をしなくても、何か悩みを持つ人達に勇気と元気を与えられる作品であることが分かります。

これらのキャラクターがライバル関係にありながらも決して敵対しないというのも特徴で、各々に認められない部分はありながらも必ず負の感情に正の感情が勝つ関係性が練られています。設定上プリパラ内では立場の違いが存在しないので、キャラ同士の距離も近くコミュニケーションが盛んに行われるのが良いですね。

そういった前向きなキャラクター達が中心となって話が進むからこそ、過去のトラウマに苦しむ大神田グロリア校長やマスコットのウサギが酷い行動の割に極端に悪い人間に見えず、これが序盤~中盤の展開の支えになっています。裏を返せば物語が少し浅く見えてしまうきらいはありますが、そこはメインターゲットを考えれば真っ当な取捨選択の結果でしょう。

後半のファルルを巡る物語についても、ボーカルドールという無感情キャラクターの心を動かすのにメインキャラ6人が全員ハチャメチャにポジティブというのが功を奏しており、キャラクターの絡ませ方の上手さで38話を単純な物語ながらも魅力的に映すことができていると思います。

総じて『プリパラ』の世界を好きになってもらい、キャラを好きになってもらう物語といった感じ。物語はそれからしっかり積み上げて行けば良い、という消費的ではないアプローチが魅力。こういう作品創りができる人達は幸せだなと思いつつも、「どう転ぶか分からない不安感」と常に戦っていかなければならない大変さも感じます。

全体の見ごたえ重視のライブ演出

個人的なイメージとしては、主人公周りの関係性や展開が『プリティーリズム・オーロラドリーム』を踏襲していると感じています(フレンドリーな両親、出来の良い妹など)最もオーソドックスに子供の心を掴む形態を踏襲している、と言えるかもしれませんね。

『AD』はその物語性の高さでオーソドックスな部分に色付けをしている作品ですが、『プリパラ』は展開スピードが『AD』よりも緩やかかつ物語重視の作品ではないので、本来であればどうしても間延び感が出てしまうはずです。

にも関わらずこのテイストで作品を成立させられているのは、やはり潤沢に用意された新曲、新モデル、新ライブ、新メイキングドラマの存在が大きいです。『AD』の頃にはできなかったであろうライブ演出の激烈な強化により「毎話必ず新しいものを見ることができる」楽しみがあります。

この点は『RL』が潤沢な楽曲数とプリズムショー演出、新プリズムジャンプで毎話新しいものを提示することで作品としての面白さを担保していたことに通じていると考えられ、『プリパラ』は衣装についても改めてしっかり訴求する構造になっているため、とにかくライブにおいての新要素が毎回確実にあります。

ライブ演出に関しては『プリリズ』よりもさらに入念な準備と注力が行われているのが感じられ、経年による単純な技術向上も相まって見ごたえが凄いですね。サイリウムチェンジなどライブ全体を「眺めていて楽しいもの」にする意識が高く、その分プリズムジャンプに相当するメイキングドラマの種類は控えめ。インパクトより全体の質感重視にシフトしたという感じ。

基本はプリズムショーを踏襲しているものの、全く同じではない新しい見せ方が心掛けられているプリパラライブ。『スッスッス』で最も新しい技術のプリズムショーが複数体現された『キンプリ』のものと比較して楽しんでみるのも楽しいです。

随所に『キンプリ』に登場したあのキャラのアレを彷彿とさせる演出があったり、ファルルのライブではオマージュか?と思われるポイントがあったり、新しい発見はありましたね。どこからどこまでが世界観設定に絡むのかを考えながら見るのも一興かもしれません…。

濃厚なストーリーを展開する前の下積みのようなアニメ

ストーリーについては、少し批判的な意見も交えて書いて行きます。これは『プリリズ』や『キンプリ』と『プリパラ』では異なった楽しみ方、良さを感じ取った方がより楽しめると考えるからです。見方を変える、といった感じです。

『プリパラ』は『プリリズ』と違い、同じ世界観かつ同じ主人公を中心に3rdシーズンまで描かれている作品。続編の『アイドルタイム プリパラ』含めるとさらに長いですね。その分ある程度は冗長な展開が許容される作品だと思います。一期の創りは「元々2年は展開するのがほぼ確定的だったのでは?」と思える内容でした。
(追記:『プリパラ』のアニメは当初1期で終了するものとして創られていたそうです。そう考えると、ファン心理を考えて先を見据えた勇気ある作風だったと思います)

一期で特筆すべきは、ストーリーよりも作品感を大事にした構成でしょう。

この作品はとにかく「ネガティブなものを次の話に引きずらない」「分かりづらい伏線を張らない」といったことが徹底されているのが特徴。

1つの話で提起された問題を必ずその話の中で回収する。これをひたすら繰り返していくアニメで、クールの変わり目でさえかなり淡々としたストーリーテリング。面白い話を楽しんでもらうというより、まず『プリパラ』という世界を好きになってもらうことだけを徹底的に考えた作品創りです。

作品展開上『プリリズ』よりもさらに若年層をメインターゲットにしているということで、より分かりやすく親しみやすい作品に。女の子達にとって「続きが気になる作品」ではなく「次の話も見たくなる作品」にしたいという気概が伝わってくるのには好感が持てました。

その分大人が見ても痛烈に映るような『プリリズ』らしい魅力は"現時点では"感じられない作品です。仮に全てのアニメのストーリーを一律の価値観で評価するとしたら、38話かけて進行した内容が薄すぎるこの作品を「面白い」と評価するのは難しい(当然、女児向けアニメという要素を加味すれば評価は変わります)

38話かけて主に6人+1人のキャラクターをひたすら丁寧に掘り下げていくアニメ。なので、この段階で"ストーリー"が「面白かったか」と問われると「無難にまとまっている」という感じ。可もなく不可もなしで、38話かけた種まきを見せられているというイメージでした。

これは『プリパラ』が『プリリズ』と比較して劣っていると言いたいわけではありません。『プリリズ』の作品創りは「子供向けだからと言って甘く見ず、大人が楽しめるものを創れば子供も楽しんでくれる」という方向性でした。要素のみが女児向けで、中身は硬派。結果それが商的には上手く行かなかった側面もあるでしょう。

対して『プリパラ』は「本当に子供が求める物語を描き、その中で大人をどう取り込むか」を考える方向性の作品だと感じました。堅実かつ確実な作品展開。刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる、そんな『プリパラ』で感じた独自の良さは前述した通りです。

しかし二期から急加速的に面白くなるとして、周りの大人に「40話くらいから一気に面白くなるから見てくれ」と言えるかと考えるとなかなか。その時間で24話で完結する物語性の高い作品を2つ見た方が、大人の満足度は高いかも(女児アニメのノリを求めているオタクはさほど多いわけではない)とも思いますし、時間のない大人にとっては『プリリズ』と比較してもかなり視聴継続の難易度が高いな…とは思いました。

ですが『プリパラ』は4年の時間をかけて、丹精に拡げられ続けた作品です。

『プリリズ』の4クールで1つの物語を描き切ることも今となっては相当貴重なものになっていると思いますが、数年単位の展開によるより濃厚な展開は本当に一部のホビーアニメでしか見ることができないものです。胆力があれば他にはない圧倒的体験ができる可能性は高いと思いますし、一部の方の『プリパラ』への偏執的熱狂はそういう部分にあると思っています。

そしてこの項はあくまで「物語の筋」について言及したものであり、キャラの魅力、超展開や意味不明な台詞の多さから来る面白さについては含んでいません。『プリパラ』の面白さの主軸はどちらかと言えばそちらにあると感じ取っていて、僕個人も今はそちらを重点的に楽しんでいます。

ストーリーについては「ここからだな」という気持ちで2期以降も楽しみたいと思います。いつまでこんな冷静な気持ちで見ていられるのか楽しみです。

おわりに

元々女児アニメのオタクではないので『キンプリ』から気配を感じたものは見て行こうという感じでジワジワ関連作を見ているのですが、『スッスッス』の暴力的アプローチには危機感を覚えたので今後後悔しないうちにじっくり履修をして行くことにしました。

正直「これ俺が見るべき作品ではないのでは?」という冷静な気持ちが未だに拭えない瞬間があるのですが、それはADやDMFを見た時も感じていました。結果、全編通してそれがなかった『レインボーライブ』という作品はやっぱちょっとおかしかったんだな(※言葉通りの意味)ということがどんどん分かってくるのも面白いですね。

あとでこの記事を自分で読み返して「この頃の自分はこんなにも冷静だったのか」と思えるようになっているのかどうか。『プリパラ』という作品の真なる魅力がどこにあるのかを知るための旅は続きます。厨二っぽい言い回しになっていますが、実際本当に「旅」みたいな話数だ。頑張ろう。

『スッスッス』の方も7話の西園寺レオ回の放送が終わり、『プリパラ』に興味が出てきた方もいると思います。この記事が何かの参考になりましたら幸いです。楽しんで行きましょ~。

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