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『名探偵ピカチュウ』感想 "ポケモンと共に生きる夢"を見せてくれる映画

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『名探偵ピカチュウ』を観てきました。
ピカチュウと言えば全世界共通のCV:大谷育江のイメージが強い中、あえておっさん声のピカチュウを登場させることで話題となった今作。賛否ありながらも、ポケモンの世界を忠実に再現しようとする実写化には注目が集まりました。

蓋を開けてみれば、ネット上ではかなりの高評価を獲得しており、空前の毛むくじゃらピカチュウフィーバー。1人のポケモン世代として、自分なりにこの映画に抱いた感想を明文化しておこうと思い筆を執りました。

公開されてもう3週間ほど経っており感想が出尽くしていると思いますが、よろしければお楽しみください。

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「ポケモンが存在する世界」を描いた映画

各所言われていると思いますが、この作品はテレビゲームである「ポケモンの世界観をモチーフにした映画」ではなく、「現実世界にポケモンという生き物が存在していたら、どんなことが起きるのか?」に着目して創られた作品です。

故に、ポケモンのグラフィックもゲーム基準のポピュラーでファンタジーな質感ではなく、そのポケモンが現実にいた場合はどのような見た目でどのように動くのかを突き詰めたデザインとなっています。ポケモンはリアル路線のファンアートも人気を博しているジャンルなので、馴染みがある方もいらっしゃったかもしれませんね。

特筆すべきは登場するポケモンの種類の多さ。
決して多くの人が分かりやすい赤緑や金銀といった古いポケモンばかりを登場させるのではなく、ごく最近のシリーズで初登場するようなポケモンまでしっかり網羅されています。様々な種類のポケモンが街中や風景にしっかり溶け込んで活動しているのが分かります。飛んでいる鳥もポッポだけで妥協しなかったり。シリーズを沢山遊んでいるほど、見つかるものが多い作品です。

リアル路線でのデザインとなっているため映像全体との親和性が高く、ポケモンの存在が妙に悪目立ちすることが一切ないのが素晴らしい。沢山のポケモンが一画面に映り込んでも見辛い構図にならないため、可能な限り多くのポケモンを登場させることができたのだと思います。

ストーリーで主に活躍するのは歴代の人気ポケモンやアニメで活躍したポケモン、最初に選べる3匹など知名度の高いものに絞られるため、見たことがないポケモンばかりが出てきて詰まらない思いをしたということもあまりないでしょうし、それでいて様々なポケモンが「生きている姿」を見ることができる、秀逸な画面作りだったと思います。

映画ファンもポケモンファンも楽しめる調整

ストーリーの方はポケモンがメインに活躍すると思いきや、基本的に人間同士の話が展開されたものになっています。アクション要素も多く、よくある普通の洋画と言ってしまって良い展開。

こういうところからも「ポケモンがいる現実世界」をしっかり描こうという心意気が伝わってきますね。設定にも我々の知るゲームのポケモンらしさはあまりないこともあり、やはり「ポケモンの映画」ではなく「ポケモンが出てくる映画」です。

お話自体は非常に分かりやすくマイルドで、ポケモン目当てにやってきた子供や普段あまりこういった映画を観ないような人達のことを考えて創られていると言えます。誰が見てもそれなりに面白い話になっており、あまり難しいことを考えずにスッキリ見える作風です。上映時間が100分程度なのも、ターゲット層を考えての配慮でしょう。

その分ストーリーは極めて平凡な創り。「大絶賛されているから」などの理由で硬派な話を求めていくと、肩透かしを喰らってしまう人も多そうですね。要素要素は丁寧に創られているものの、展開は割とブツ切りでご都合主義に見えてしまうところも多く、悪くはないにせよ特別良いところなどはありません。人によってはオチも途中で読めるかもしれません。

ポケモンらしい戦闘シーンや洋画の十八番であるカーアクションもありますが、全体的に演出は控えめで小さくまとまっている印象。派手さを重視するのではなく、あくまでも動物基準の動きや攻撃が意識されており、殺意のある動きをするポケモンは少ないです。

しかしこれも体力を使わずに見られるレベルを想定して創られているような気がしますね。慣れていないとビックリしますから。誰が見ても楽しめるアクションシーンのバランスを考えるのもかなり大変なのだろうと思います。

逆にスタイリッシュさやスピード感にはこだわりが感じられ、こちらで見る者を飽きさせない映像作りを心掛けていたのかなと。後半は人間離れした速度による緊迫感溢れる展開を楽しむことができます。ファンタジー寄りでもなくSFっぽすぎるわけでもない、あまり見たことがない独特な空気感があるバトルシーンだったので新鮮でした。

総じて、ハリウッド映画らしさを保ったまま、ポケモンという題材をしっかり活かし切る方向性が吟味されている映画です。そこから万人ウケを目指した(ポケモンファンを置いてけぼりにしない)調整が行われており、クリエイターの悪いエゴなどが感じられない良い意味でポピュラーな作品に仕上がっていると思いました。

しかし『名探偵ピカチュウ』というタイトルながら、あまり名探偵感がない映画だったのが気がかり。ピカチュウに探偵帽を被せた!声はおっさん!可愛い!がしたかっただけでは感も。企画当初からこういうストーリーになる予定だったのかにどうしても疑問が残る作風でした(悪かったわけではない)

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「日本よ、これがピカチュウだ(狂気)」

最早語るまでもないが、あえて語る。ピカチュウは可愛い。

全体的にリアリティ追求が目覚ましいこの『名探偵ピカチュウ』において、唯一のファンタジー存在がいるとすればこのピカチュウさん。

人語を解すことで主人公と会話でき、明らかに動きも人間ナイズされているのが特徴。声はおっさん。西島秀俊さんでした(吹替えで見た)元々抑揚のない喋り方が売りの俳優さんなので賛否はあると思いますが、彼らしいバランスの良い吹替えだったと思います。ついでに竹内涼真さんも初挑戦とは思えなかった。

毛むくじゃらのずんぐりむっくりボディのピカチュウは、万人ウケするフォーマルなマスコットとなった昨今のピカチュウを基調としながらも、初登場の頃の一介の図鑑No.25のおデブ感を感じるモデリング。非常にポケモン愛に溢れた形をしていたと思います。

とにかく動きから表情から何から何までこだわりが凄く「絶対にこの毛むくじゃらでシワシワのおっさんを可愛いと言わせてやる」という半端じゃない熱意が感じられる他、暴力的作り込みで「ピカチュウなんだから可愛いんだよ!可愛いと言え!」といった最早何かの圧力めいた勢いで「可愛さ」を押し付けてくるので押し負けてしまうところがある。

しかもこの可愛さというのがマスコット的なあざといものではなく、あくまで生物としての生き様を丹念に描写することでもたらされているのが猟奇的。

そもそも完成された可愛さを持っていたピカチュウを、絶妙に可愛くないリアルなモデリングに仕立て上げた上でおっさんを憑依させ、絶対に可愛いわけがないものを作り上げたにも関わらず、それを生き様によって無理矢理にでも可愛いものに見せようという恐ろしいまでの執着が感じられます。

アニメのあの可愛いピカチュウには負けない。こっちの方が可愛いと言われるまでやり切る。20年以上積み上げられた「ピカチュウの概念」を俺達が変えてやるんだという狂気めいたメッセージが込められている作品です。

結果、何とも言えない可愛いものが世の中に誕生してしまっているので、こちらもぐうの音も出ないというものです。とにかく何だか可愛いものを延々と見せられている。あれを可愛いと思ったら負けな気がする。でも可愛いのは間違いない。日本よ、これがピカチュウだ。そういうことなんだろう。

そんな気持ちで100分間ピカチュウを眺めながら、極めて幸せな気持ちで過ごせる映画というだけでも『名探偵ピカチュウ』を観に行く価値は十分にあるかもしれません。可愛いんだよなぁ。

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おわりに

ピッピカチュウ。
『名探偵ピカチュウ』は、日本のアニメ映画では決して見ることのできなかったポケモンの新しい可能性を見せてくれる素晴らしい映画だったと思います。

最近ではポケモンGOなどもそうですが、任天堂をはじめとした日本のゲームやホビー系企業だけでは為し得なかった新たな世界の拡張をポケモンはどんどん見せてくれていると思います。

それは初代ピーク世代が30代を迎え始め、本当の意味で大人から子供まで幅広く愛されるコンテンツになったからこそできることでしょうし、今後は我々のような長くポケモンを愛してきた大人が生み出す、同じような大人のためのコンテンツもどんどん出てくる気がします。

その1つ1つを「こういうのもアリだな」と思える感性で触れて行けたら良いなと思っています。ポケモンの可能性は無限なんだなと改めて思わせてくれる出会いが『名探偵ピカチュウ』にはありました。

最近、映画を観ることから遠ざかってしまっていたのですが(※某作品は総合エンターテインメントなため映画鑑賞に入りません)リハビリには丁度いいマイルドさでした。楽しかったです。鑑賞をお悩みの方はお早めにどうぞ。

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