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『キンプリSSS』12話感想 Yesお返しのhappy 始まる!

投稿日:2019年5月16日 更新日:

法月仁の戦い

PRISM.1が終了し、ユニットショーは満点を記録したものの、予定通り逆転は不可能。勝者はシュワルツローズ、暫定チャンプは高田馬場ジョージに決定。なんてことだ!3Dのプリズムショーがないのに王者に座っちまった!伸びしろが!I am CHAMP! OF ぷりずぅーむ!(奇しくもイエロー)

1000億の借金によりエーデルローズは解散。
スタァ達は事務所Over The Rainbowの所属となり、今までとほぼ変わらない環境でショーを続けることができるものの、思い出の旧校舎は取り壊しが確定的。全員の顔も曇ったままです。レオくんだけずっと目がうるうるしてるのに凄いクるものがある。

そんな失意の中で彼らの耳に飛び込んできたのは、なんと四谷信金の復活と旧校舎取り壊しを必須とする商業娯楽施設開発計画の白紙化の報せ。

結果として何故だかエーデルローズは救われました。彼らは何が起きたのかさっぱり分からなかったと思いますが、これはもちろん、法月仁の心変わりによるものに違いありません。

というわけで、ここで四章の仁の発言を踏まえながら、この理由について考えて行きましょう。

本作における不可解な行動

四章では「実力で聖を屈服させなければ意味がない」と言っており、PKCでの「勝つためには手段を選ばない」という思想からの大きな変化には真田も戸惑いを隠せませんでした。唐突感はありましたが、そもそも仁がPRISM.1の開催目的やスタンスについて発言したのは四章が初めてです。

『スッスッス』の仁は全編通して、しきりに何かのデータを確認している様が見受けられ、他者からの評価や評判をより深く自分の内側に取り込もうとしているように見えました。

元々格を重んじる人間なので評価軸は他人にあるはずですが、今作では俗世や俗物的評価といったより広い範囲にそれを渡らせているようです。それは彼にとってコントロールするものであって、自分から沿いに行くものではなかったはず。

1話から辿ってみると、PRISM.1では観客の心の煌めきのみを加点対象としたP.R.I.S.M.システムを率先して採用していたり、自主開催にも関わらず賞金総額を1000億円と「エーデルローズが勝てば救われる」設定にしていたり、今作の仁は何かと不可解な行動が多かったと言えます。

これについてはプリズムキングを「不正に塗れた存在」と言い切っていることから、対外向けな公平性を仕立てておく必要があり、状況次第でまた裏工作を徹底するのだろうと最初は誰もが思ったと思うし、実際真田はそう思っていたからこそ良かれと思って点数の工作に打って出ました。

しかし実際は「本当に実力勝負で勝たなければ意味がない」と思っていたことが四章で判明したという具合。唐突な心変わりに見えたのは、こちらの先入観によるところが大きかったと考えます。

こうなってくると、仁は上記の公平性を重んじる設定を自ら進んで取り決めたことになりますし、それは今までの法月仁からは考えられない選択でした。彼をそうさせるに至った、何かが確実に存在しているのです。

スタァとしてのプライド

ここから全て憶測ですが、前作までの仁は「聖に負けているところが1つもない」と本気で思っていたように感じられます。『キンプラ』におけるジュネの奪い合いは正にその自信の表れでした。

『RL』で怪我をさせたのも、聖が4連続ジャンプを成功させるかもしれないという噂を聞いて気を悪くしたからで、基本的に「実力で敗けている」という気持ちは持っていなかったはず。経営者運営者としての手腕は言わずもがな、指導者としても、ルヰを見染めて育てている自分が聖より劣っていることは有り得ないと考えていたでしょう。

それが前回のPKCで、聖が指導した速水ヒロにキングの座を奪われてしまったことや、観客の盛り上がりを数値化したsparkingではヒロと仁科カヅキが同数値かつトップで、シュワルツローズのスタァは全く肉薄できなかったことから、その自信に陰りが出たものと思われます。

PKCでは諸々の事情でヒロにキングを奪われたものの、スコアはルヰもフルマークで同点だったこと、sparkingはあくまで試験的な指標でしかなかったことから、彼が敗北を認めたとは思えません。しかし「勝っていない」ことには自覚的になってしまった。

彼はそれによって、スタァとしてのプライドにより聖を完膚無きまで叩き潰す必要性を感じたと考えています。何だかんだ言って、彼の中心にあるのは今でも「プリズムショーその物」ということなのでしょう。

PRISM.1はシュワルツローズの勝利に終わったものの、実力勝利と言えるかは微妙なところ。もちろんルヰが万全ではなかったなど、アクシデントがあったのは決してエーデルローズ側だけのことではないし、それも含めての勝利と言うことはできます。それでも仁は結果に納得していなかったと見て良いでしょう。ここに来てこの頑ななフェアプレイ精神は、一周回って笑えてしまうレベルです。

12話ではPRISM.1の結果に対する世俗的評判も収集しており、最終的にはそれが決め手となって開発計画の白紙に打って出たようでした。これは「世間が納得していない勝利では意味がない」と判断したということであり、彼の精神面での変化は確かに感じられます。

今までは世間の評判をコントロールすることで勝利を掴み取ってきた仁が、世間の評判にコントロールされているという構図にも見え、滑稽に見えなくもない。ですが、それは仁が前よりも広い視野を獲得したということでもあります。彼の人間的な成長は確かに今作に存在しているのです。

「こンのワカメがァ!!!」

心中お察しします。
(でも何だかんだ新作でも仲良くやってるんだろうな…)

旧校舎への強いこだわり

補足ですが、4話や5話でエーデルローズを潰したがっているような発言が出ているものの、よく確認すると彼は今回「旧校舎の破壊」にのみこだわっており、その他の部分については言及がありません。真田の用意した計画が結果的にエーデルローズ全体を潰せるものであっただけに過ぎないようです。

前作までの段階ではエーデルローズにはそもそもあの旧校舎しか存在していなかったので、エーデルローズを潰す=旧校舎が無くなるのは確定的で、目的の同一化が行われていた可能性も出てきました。エーデルローズ全体に気安く手出しができなくなったことにより仁の中の目的の細分化が行われ、今では旧校舎を潰すことが主目的と化している、といった具合でしょうか。

『キンプリ』の借金騒動の際、ほぼ全てが仁に奪われたにも関わらず、あの旧校舎だけが聖の手元に残ったことから考えても、特別な意味を持つ建物なのは間違いなさそうです。今後その真実が明かされる日が来るのでしょうか。

母との歪み切った関係

自身の身勝手の清算のため仁は、今は苦手としている(ように見える)母親の元を訪れ謝罪します。しかし、意外にも母親 愛は仁のその言葉に否定的な返しを行いませんでした。

「…貴方の気持ち、分からないでもないわ」
「あの男に…"法月"に似たのね」

突然の「ドラマチックLOVE」!!

全人類驚愕の入り。本当にそれで良かったのか?思い出の曲をそんな風に使わないでほしい(※自身の結婚式のエンドロールムービーにこの曲を採用した者としての感想)

冗談はさておきこの件についですが、思うに仁達のシーンが終了してから流しても何ら問題がない創りだったので、何らかの意味があってここから流していると考えられます。と言うか「面白いと思ったから」などの理由で適当に変なことをするアニメではないことは最早語るに及ばずなので「意味がある」という前提で書きます。

いつから母親が彼に対してああなってしまったのかは未だ謎なままなのですが、仁の鬱屈ぶりを考えるとかなり長期に渡ってあの関係が持続しているとするのが自然です。そうであるとすれば、彼は10年以上に渡り母親から一切の関心を受けずに育っている可能性があります。

その彼にとって「母親から味方してもらえた」という事実を呼んだこと自体、彼の成長や行いの成果であった…とすればあそこで曲がかかるのに納得することができます。

ほとんどギャグに見える演出に違いはないのですが、あれが我々の目にギャグに見える理由は「とてもそうは見えないから」以上にありません。それは逆に言えば、そう見えてしまうようなことでさえ、仁にとっては(BGMを呼び寄せるくらいに)物凄く大きなことであったということ。

「そんなこと?www」と言いたくなってしまうことが、その本人だけにとっては半端じゃない意味を持つことは、実際の人生でも本当によくあります。例えば僕は「『キンプリ』に出会って人生変わった」と言うと大抵笑われますが、本当に人生変わりました。笑いごとじゃないです。

もしあの「ドラマチックLOVE」がこの解釈通り仁にとって「そういうもの」の表れだとしたら、彼の人生はあまりに不幸です。そしてそれをあの演出で感じさせるように創っているのであれば、どこまで行っても邪悪極まりないアニメと言わざるを得ません(褒めている)

このやり取りは本当に謎が多く、愛さんが自分の夫のことを"法月"と言っていたり「父親に似た」と言われたことが仁の胸にどう刺さったかなどは現時点では本当に分かりません(最大の謎と言って良いレベル)

愛人と子供を作ったことで愛が法月皇を軽蔑して"法月"と呼んでいるとしたら、にも関わらず聖に目を輝かせていたかもしれない(※5話参照)という状況だったことに。本当に地獄なんでこれ以上考えたくないですね。

これで続きがないなんて嘘だと思います。必ず見たいです。見せてください。(可能な範囲で)幾らでも払うから。

それぞれの始まり

菱田監督は「自身の監督作品の最終話は後日談にすると決めている」とインタビューなどに発言している通り、タイトルコール以降は全て後日談が展開されたのが12話です。

ユキノジョウは親子で今できる最高の演目を
タイガには衝撃のアレが襲来ぎゃふん!

カケルはメリナ達と愛を広める準備を
THE シャッフルは仲良しこよし
ジョージは女遊びを加速させつつも流石のプロ意識
ミナトは憧れのコウジと対等な関係に

レオは姉達と仲良く東京で活動を
ユウは成果を見せながら家族と和気あいあい
アレクはアレク(真顔)COOL!!

ルヰは世界を守る(意味深)ことを決意
シンは仲間達と共に大好きなプリズムショーを

それぞれが新しい明日に向かって歩みを進めます。
(プリズムワールドとの関係が切れたことでルヰの翼が独自性を強めて実体化したと考えられますが、じゃああのペアともは何由来の何存在なんだろうというのが気がかり…)

窮地から救われたエーデルローズは、新校舎で新たな門出を迎えます。右京左京ニッカネン、台詞があって良かったね。

それでも「いつもの7人」がいるのはやっぱりあの旧校舎。

「ユニット名決まったのか?」
「はい!」

PRISM.1では正式なユニットではなかった彼ら。それは大切な仲間であっても、まだ個人個人としての繋がりしか持っていなかったということ。ユニットの結成は、彼らがついに1つの存在として共に在ることを選んだ。そういうことだったと思います。

その名は「SeptentrIoN」
ラテン語で北斗七星を意味する言葉。ユウがあのプリズムジャンプで使用した言葉が、そのまま名前になりました。

メインビジュアルでは北斗七星を見上げていた彼らが、北斗七星に辿り着く物語。それが『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』の描いた終着点。

「7人揃って北極星を目指すんです」
「いつか頂点に辿り着けるように」

7つの恒星が揃うことで初めて頂点を見れる。彼らの想いが反映された、全会一致の命名でした。もちろん、自ら地上の星であることを選んだミナトも一緒です。

そんな彼らの初仕事は、彼らが救った商店街のPR大使。名誉なことでありながら実に何とも言えない規模でもある。でも、あの人間味溢れた空間と時間を共有してきた彼らだからこそ、こういった仕事を精一杯こなしてくれることでしょう。頑張れ、セプテントリオンさん!

彼らの活躍はまだ始まったばかりです。そして『KING OF PRISM』の物語も、まだ始まったばかり。彼らの描く物語の続きが見れることを願って、"応援"し続けて行きましょう。彼らの指の中心にいる、彼らの目に映らない8番目の「煌めきを広めるプリズムスタァ」はいつだって我々なのですから。

SeptentrIoN!
ミュージック…!

READY……

SPARKING!!

おわりに

12話に渡って書いて参りました『スッスッス』の感想もこれが最後。永遠に書き続けていた作品でしたが、ひとまずはこれで一区切りといったところ。全話通して書く方も書く方というボリュームですが、読む方も読む方というボリュームですよ。本当にお疲れ様でした。

率直な感想として、12話の第一印象は「な、何も解決しなかったな…」でした。

物凄い良い感じにまとまってはいるものの、投げられた伏線や問題は過去に不明瞭だった部分を明確にして投げ飛ばされたにすぎず、前作までと比べて何か大きな「状況の変化」があるのかと言われると全くありません。

「って感じで行こうと思うんだけど大丈夫かな?」という激しく無責任な投げかけで止まってしまっているし、こっちとしては「もう好きにしてくれ」以外の感情は残っていないので、どうにかこの責任を取ってもらわないと困ります。頼んだぞ菱田(CV:法月仁)

しかしそうでありながら、全12話通してこの面白さと大団円感は異常と言って良い。それだけ色濃く余念なく彼らのキャラクター性と人間ドラマを表現してくれていたということだし、その要素だけでこの面白さを体現できる化物コンテンツが『キンプリ』です。これぞ理想的なストーリーの描かれ方でしょう。

この四章では展開含めて本当に文字通り「化物」になってしまったと思っていますが、その裏にはしっかり「キャラクターの感情の機微」があります。

決して突拍子のない設定とトンチンカンな展開で創られたトンデモ物語ではないし、露骨な路線変更でもない。その全てに完璧な繋がりがあって意味がある。この作品はどこまで行っても人間性によって紡がれる、人間達の物語である。

四章の3話分の感想はそれを信じて、そしてそれをより多くの人に分かる形で伝えたくて、全神経を集中させて真剣に紐解きました。1回目は受け止めて、2回目で噛み砕いて、3回目で吸いました。この12話の記事は4回目のおさらいをしてから書いています(10話11話で力尽きた)

翻弄されるばかりの人も多い展開だったと思いますが、この記事を読んで「より整理された内容を楽しめる」人が1人でも増えていたとしたら光栄です。

僕の感想群は、見ようによっては内容を書き込みすぎているのではないかと思っているし、特に9話以降は最初から最後までほぼ書いています。

ただ、それくらい話の密度が高く理解が及ばない人も多いだろうことを踏まえ、これが自分にできる「より作品を盛り上げられるもの」だと信じて書いてきました。

この感想を読んで頂いたら、前よりも多くのものが吸えるようになっていると思います。是非それを持ってより大きな感動を確かめてみてください。僕は3回目以降は前より泣けるポイントが圧倒的に増えました。そういう作品だと思っています。

皆さんの『キンプリ』生活に僕の感想が華を添えられていることを願っています。そしてそれが『キンプリ』をより盛り上げて行っていると信じて締めさせて頂きます。

プリズムの煌めきはいつもそばに。お読み頂きありがとうございました。

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