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『キンプリSSS』4話感想 数値化のその先へ! 十王院"カケル"の目指す愛

更新日:

最新作劇場版&TVアニメシリーズ
KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』公開記念!

『キンプリSSS』『スッスッス』の感想記事。
最速上映参加の勢いで1話ずつガッツリと。

4話は十王院財閥の御曹司 十王院カケル!

カケルと言えばやはり取り巻く環境の複雑さと、それを覆い隠すような(表面的には)軽い性格が売りとなっていたキャラクター。プリズムショーシーンこそないものの、『キンプラ』では裏でヒロをキングに導く立役者になったりと、他のメンバーとは一味違った活躍を見せてくれた彼でした。

そして複雑なお家事情の渦中にいるという点では、やはり1章で魅せてくれたユキノジョウと双璧を成す存在というところでしょうか。

芸能という固着した価値観に束縛されるユキノジョウの複雑さと違い、ビジネスという多様性の渦中で立ち回らなければならない複雑さを抱えた男の子だったと思います。それ故に、何となくどのような話が展開されるかは想像できるが、それがどういう方向を向くかは全く分からないキャラの1人でした。

4話はそんな彼らしい、解釈の多様性を残した物語に仕上がっていたと思います。今回もネタバレ有りでバッチリと書かせて頂きます。よろしければお付き合いくださいませ!行っちゃうよーん!

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これまでの十王院カケル

エーデルローズのメンバーでありながら、十王院財閥の御曹司。若干16歳で既に役員まで勤める超敏腕高校生ビジネスマンの肩書を持つ彼。初作では執行役員として出資先であるシュワルツローズの制服を身に纏い視察に行くなど、公私をしっかりと使い分けられる一枚岩ではないキャラクター性を覗かせていたのが印象的でした。

『キンプラ』では自身が総指揮を取っていたP.R.I.S.M.システムを別会社と提携させる大胆な経営戦略でエーデルローズの危機を救い、常務の真田を出し抜き仁の思惑を破綻させるなど陰のヒーローとして活躍。その姿や行いを誰に伝えるでもなく、真田の悪行を白日の下に晒すこともなく、何事もなかったかのようにエーデルローズの十王院カケルに徹し続ける器の大きさを見せてくれたのでした。

しかし前作までではその仕事ぶりを見ることは多くあっても、実はプリズムスタァとして何かに挑戦している姿を見ることはほとんどなかった。何故プリズムスタァを目指し始めたのかもよく分からないキャラでした。

オーソドックスに考えれば、仕事ではない自分でいられる場所としてエーデルローズにいるのだろうと推察されるのが普通なキャラクター。今回初めてのプリズムショーに挑戦するに当たって、その辺りの理由がどう描かれるかが『スッスッス』に期待されるところの1つだったかと思います。

雰囲気は見えるが先が読めないカケル回。そのシナリオを語っていきます。

社会人ドラマ風で勢いのあるシナリオ

開幕半沢直樹パロからの池井戸ナレーションが炸裂し「やりがったな菱田」感が凄まじいスタートでした。「10倍返しにしてくれるゥ!!」それお前が言うのかよと誰もが思ったんじゃないだろうか。
(追記:これ4話の台詞じゃなかったですね…)

しかしながら池井戸潤作品のドラマ化に際して欠かせないあのナレーションには「難しいビジネス用語を上手いこと作品に落とし込む力」があると考えられます。別に聞いていてもいなくても作品を楽しむ上では大して重要ではないが、作品を理解する上ではなくてはならない説明を一気に終わらせつつ、その時間を利用して作品の雰囲気を固めるといった効果を持っています。

1キャラ当たり濃く語れる時間が20分強しか存在しない『キンプリSSS』において、こういった内容圧縮技術の活用は必須と言って良く、一般に大きく広まったこの池井戸ナレーション方式を採用するのは確実かつ堅実な方法であると言えます(超好意的な解釈)

これにより、開幕の時点で「あぁカケル回はやっぱりビジネスの話を中心に展開するのか」ということがスッスッスと頭に入ってきたのは言うまでもなく、一瞬で「どんな話をやるんだろう」という疑問を解消して話に没頭させる勢いある形に仕上げてきたと思いました。TVアニメの4話ではなく、1本の映画の始まりとしても鑑賞者の心を作品に集中させる見事な導入だったと言えるでしょう。

常務の真田を出し抜くため『キンプラ』で開発中のP.R.I.S.M.システムを伍友商事と独断で提携させることを選んだカケルは、その事実を真田当人にダシに使われたことで十王院グループ内の派閥争いにおいて窮地に立たされます。

真田はシュワルツローズとの明らかな癒着や一部情報の私的流用がカケルにバレているようですが、そんなことは些細なことと言わんばかりの強気な対応。真田が属する派閥 九曜会の権力が、グループ内で相当に強力なものであることが分かります。

社員を納得させる措置として、マダガスカル支社(マダガスカル支社…?)に出向を命じられたカケルは、大自然の中で十王院グループの一員として働くメリナに出会います。その正体は現地王族の末裔で正式名称ネブカドネザルうんちゃらかんちゃら。とりあえず言語の圧力でゴリ押ししてくる感じ「今回は監督の脚本か」と感じざるを得ないキンプリムーブ。

マダガスカルでカケルを待っていたのは閑古鳥(フラミンゴ)が鳴く動物園。ここでの十王院グループの主たる業務は「天然ガス採掘事業」であり、動物園はその一環で流行りものに便乗して設立された施設でした。

言わば十王院グループにとっては失敗したビジネスであり、負の遺産をカケルは押し付けられたと言ったところでしょうか。その指揮を執っていたのは、カケルが過去にお世話になった児玉元専務、そして採掘作業場では指揮を執るリビングストンとの出会いがありました。ドゥォーモォー!ヨロシクオネガイシマース!

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大事を扱いながらも「個人」に重きを置いた語り口

「こんな素晴らしい自然を開発で破壊しちゃって良いのかねぇ…」

都会には全くない雄大な自然を目にしたカケルの何となしの発言。実際、計画上天然ガスが採掘できる保証もない状態のようですから、無駄なことをするより今あるものを活かした方が良いのでは…と軽率に思い至るのは当たり前というもの。

「…カズオ、それは間違ってル」
「それは僕達に貧乏のままでいろってことなんダ」

しかしそれに対し明らかな敵意を向けるメリナ。先進国はそういった綺麗事を弄すことで、自分達の生活を困窮させて搾取を続けている。自分達の生活を良くできればそれで良いと思ってるんだろうとカケルに言い放ちます。ちなみに先進国の生活は、こういった貧しい国から資源を買い叩いているからこそ成立しているという背景は実際にあるようです。

カケルは個人単位で「そんなつもりはない」と言いますが、社会はそれで成り立ってしまっているのが現実。それではメリナの気持ちは動かせません。短い時間でディープな社会問題に切り込む脚本でした。

「世界で一番素晴らしい景色は何か知ってるカ?」
「飛行機から見るTOKYOの夜景だヨ」

カケルからすればあまりに頓狂な回答、驚くのも無理はありません。しかし現地王族であるメリナにとって、研修で行った東京の夜景が恐らく初めて見る先進国の姿だったこと、そしてそれが彼にとって凄まじく大きな価値観の転機になったことも想像に難くありません。

それに「俺だって東京の街で遊び歩きたい」(要約)と熱意のこもった眼差しでカケルに語るメリナは、別にふざけたことを言っているわけではありません。あの光はそこにいる人達の生活や仕事があって生まれるもの。たくさんの人がそこに生きている証なんだとカケルに伝えます。

「光の1つ1つが人の生きる輝きダ」
「僕はこの国を光で溢れた国にしたイ」

それでも決して彼は「東京に住みたい」とは言いませんでした。ただ「この国を東京みたいにしたい。そのためには今はお前達の力を借りるしかないんだ」と、真剣な目で大きな目標を語ります。

それに感化される形でカケルの心も変わって行ったことでしょう。自分にとっては息苦しいだけの都会の街並みや高層ビル群の光も、立場が変われば全く違うものに見える。それを素晴らしいものだと感じる人がいる。自分達の価値観をそういう人達に押し付けてばかりでもいけないんだと、真摯に受け止める彼が見れたと思います。

風呂敷を拡げ大きな社会問題を軸に置きながらも、あくまでそこに息づく「個人の生き様」に重点を置き語り連ねていくところは『プリティーリズム』から続く人間の物語を感じさせてくれる一幕でした。

人の心に触れ、考えを知り、自分の中の価値観を変えて行くことができる。十王院カケルの姿は若くして聡明そのもの。10代半ばにして十王院グループの最年少役員に就任するという実績を持つのも頷ける。しかし彼がそこまで早熟であったのには、彼を取り巻く壮絶な環境も理由の1つとなっていました。

壮絶な生い立ち "愛"を知らない一男

生まれながらにして世界を股にかける大企業の御曹司であった十王院一男の人生は、家庭環境=職場環境とも言うべき苛烈なものでした。

結果が全ての利益主義。正直者が馬鹿を見て、悪人が制度を利用して正義を気取り出世する。社会のしがらみを濃縮したような環境に身を置いていた彼は、幼児期で既に社会の根源的な問題点を理解させられてしまっていたのです。

しがらみに囚われているという点ではユキノジョウと境遇を同じくするのですが、歌舞伎という強制された血の運命の中で可能な限りの幸せと愛を向けようとしている太刀花家に対し、どう見てもビジネスのことしか考えていない母親とビジネスのことしか考えられない(余裕がない)父親(婿養子)に育てられ、ビジネスそのものと言うべき祖父を持つという正に「詰み」のような状態の十王院家。

「仕事は思いやりが大切だよ」
「大きな"愛"で相手を包んであげる」

そんな中で、他人でありながら唯一彼に最大限の「愛」を向けてくれた児玉元専務もまた、真田に謀られ失脚させられてしまいます。真田は児玉が向けてくれた愛を一男の目の前で否定し、勝利を宣言します。それを誰も庇おうとしなかったところをまざまざと見せつけられた一男のショックは如何ほどのものだったでしょうか。一般人の想像を絶する経験だったと言う他ありません。

「これ…きっと助けてくれるよ…」

当時の一男にとってヒーローだったスーパーサラリーマンエースの人形を彼に渡したのは、一男が児玉にできる、彼から受け取った「愛」教わった「愛」への最大限の恩返しだったのでしょう。その後、彼は児玉の意思を引き継ぐかのようにグループの一員となり、史上最年少役員として活躍を開始します。

最初こそ順調であったものの、祖父が病床に臥せったことで権力バランスが崩れ、グループは空中分解の危機に。信じていた美人秘書からハニートラップを仕掛けられるなど、ますます一男は「愛」の存在を信じられなくなってしまいました。

最も身近にいた秘書に裏切られたというだけで考えたくないレベルのショックだったろうに、思春期の少年に対する性的なアプローチともなればその嫌悪感はさらに何倍にも膨れ上がったはず。それは当時様々な謀略を仕掛けられたであろう一男が、真先にこの件を口に出したことからも明らかです。

あまりに壮絶な状況に耐え切れなくなった一男は、ドロップアウトを宣言するため祖父の元を訪れます。そんな重い決断をするには早すぎる歳ですが、十代というのは目の前の経験で全ての世界を考えてしまいがち。極一般的な価値観ではとっくに限界を迎えていておかしくない状況でした。

その一男を出迎えたのは元気なジジイとおっぱい。実は祖父は病気などしておらず、自身が一時的に退くことで起きる争いが十王院をより成長させると踏み、嘘をついていたのです。正にビジネスの権化。でも顔はおっぱいに挟まれている。

「経営は金額で判断するな、ハートで判断しろ」
「一男、決して愛を失ってはいけないぞ」

経営者として真摯に教え説く祖父の発言は、自分に大切なことを教えてくれた児玉さんと重なりました。自分達はお金ではなく、人々を笑顔にしたいという気持ちだけで一生懸命働いてきた。その成果が今の十王院なのだと後継者である一男に語り聞かせます。

一見良いことを言っていますがおっぱい――そのためには内紛を激化させることを辞さない覚悟だったりと、言っていることとやっていることが実際には激しく矛盾しています。やはり十王院万太郎という男が、ビジネス的な辻褄合わせの上でしか「愛」を考えていないのに変わりはありません。

しかし在りし日の児玉を見限り、愛など全く持ち合わせていないように見えていた自身の祖父は、それでいて本質は人間味に溢れた人だったということをこの時一男は初めて知ったのかもしれません。

それは彼にとって1つの救いになったのに間違いはなかったと思います。でもそれぞれが掲げる「愛」の形の違いは、「本当の愛」を求める一男をより混乱させる結果を同時に招いたとも言えるのです。

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感情と計算 カケルと一男

個人的な考えでは、一男もまたそんなビジネスの洗礼を受け、既に打算と計算で物事を考える人間になってしまっているのだと思います。

それを決定づけているのが真田常務の存在です。

僕は私怨を優先すれば一男が真田を失脚させるタイミングは幾らでもあったと思うのです。PKCの件も間違いなくそうでした。九曜会の力があったとしても、物的な事実があれば真田個人をどうにかすることくらいはできたでしょう。

ですがカケルはそうしなかった。しかもあろうことか真田はそれをダシにして一男を出向させる手筈を整えてしまっていたのです。それすらも受け容れ、良しとしているように見えました。

これに意味があるとすれば「真田常務が十王院グループにとってまだ必要な存在である」と彼が判断しているということであり、転じて一男が人間性や感情でなくビジネス手腕で相手の存在価値を判断していることに他なりません。聡明であるが故に悲しい現実と言うべきか、悲しい現実があったからこそこの聡明さと言うべきか…。

でもいつか一男として家族と向き合ってほしいし、真田にも引導を渡してやってほしい。感情と計算――カケルと一男の間を突き詰めた彼の姿を絶対に見せてほしいと思っています。

彼がカケルではなく一男として家族と向き合い、感情をむき出しにするシーンは今回見ることができませんでした。僕はその日が来るのを信じて待ちたいと思います。二期はまだか?

余談ですが、天誅ババアが思ったより普通に天誅ババアで安心しました。あのシーン、恐ろしいまでに毒を煮詰めた親族に囲まれたカケルにとって、女を侍らすおじいちゃんの酷い体たらくとそれを取り巻く家族の意外な光景すら癒しであったのかもしれないと感じています。

「自分の家族も何だかんだ人間なんじゃん」と思っていたのかもしれないなぁと。

初めて抱いた自分だけの感情

そんな一男がプリズムショーと出会い、カケルとしての人生を歩み始めたのもまた自身がP.R.I.S.M.システム開発の統括になったからというもの、つまり仕事の一環でした。プリズムショーが持つ愛に近い項目のデータを数値化すると途方もない大きさを叩き出すことに驚愕し、興味を持ったのです。

「もしかするとこれは…"愛"なのか…?」

様々な経験から本当の「愛」を理解できずにいた一男にとって「パラメータが高い」ということは、絶対に信頼できる価値観になっていたのでしょう。愛があるなら確かめてみたい…そう思わせるほどに、彼にとってそのデータは興味深いものだった。

「そして――俺も翔びたい…!」

しかし彼がエーデルローズの扉を叩いた理由は、数値の高さでも仕事の延長でもありませんでした。そこにあったのは「自分も翔びたい」という強く大きな感情のみ。幼少期以降、きっと彼は初めて自分の感情の動きを実感したのではないでしょうか。

感情を数値化することにこだわる彼こそが「やりたい」という最も数値化できない自分の感情でスタァとして在るのは大変な皮肉でありながら、本当に喜ばしいことこの上ないものです。

出会いは仕事だったけれど、挑戦を選んだのは自分の心。決してしがらみから逃げるわけでもなく、仕事のための研究として向かったのでもなく、ただ自分の心の動きに正直になった結果が十王院""のスタートだった。これを知れたことが今回の話で最も重要な部分だったと僕は思いました。

どうでもいい話なんですが、ここで流れたのが「ハート イロ トリドリ~ム」だったのは6話でアレがアレする伏線(※ご新規さん向け)だったんだろうなと…。こ、構成の巧み…(超好意的解釈②)

そして惹かれ合うように、自分と同じく背負う看板を持つユキノジョウの存在を知り、声をかけます(どこかで見たようないきなり呼び捨ての構図だった)

カケルとユキノジョウの関係性

カケルが彼と大きく違うのは「逃げようと思えば逃げられる」というところでしょう。

別に自分が背負いたくなければ背負う必要はない(失脚させられても好きに生きることはできる)にも関わらず、自ら看板を背負うことを受け入れ、そのために最大限の努力をすることを選んでいる。それが自発的なものであるにしろないにしろ、その苦痛は計り知れないものだと言えます。

厳しくはされるものの常に愛される立場にあり、身の安全は保障されているユキノジョウには、だからこその「自分の道を自分で探し当てなければならない」重圧がより重く重くのしかかっていました。

逆に、先代から敷かれたレール(努力の方向性)は確実なものながらも、世襲制を良しとしない役員連中から常に自分の首を狙われているような環境で、独自の選択を強いられて生き抜いているのがカケルです。あの歳で「ハニートラップなんて日常茶飯事」と軽く言い捨てるような人生…。誰も信頼できなくなってオタクになるのも無理はない…。

広義では似ているようで、狭義で見るとカケルとユキノジョウの2人は、実は対極の存在であるとすら言えるかもしれません。

だからこそ、同じ境遇に身を置きながらも互いの違いを理解し「あいつの苦痛は俺達には分からない」と尊重し合う2人の関係性には心動かされるところがありますね。言葉だけ見ると一見冷たいように見えて、決して知ったかぶることも軽んじることもなく、本人だけの戦いの厳しさを理解しようとしている。男の友情。エモ&エモ。

その後一度はプリズムショー界にはびこる、既視感のあるしがらみの強さに辟易し失望しながらも、一条シンくんの登場により彼は再び立ち上がります。数値化できない「愛」を確かめるために、彼はまだ答えのない答えを求めて戦い続けているのです。

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愛と共に翔けた自由なプリズムショー

カケルの本当の心を知ったメリナとリビングストンは「ここでプリズムショーを見せてくれ」とせがみます。そりゃ見たくなるさ。プリズムの煌めきは国境を超える。驚きながらもそれに応えるようにカケルのプリズムショーがスタート!

正直言ってストーリー的には唐突感がありましたが、決意のスタートではなく、なし崩し的なスタートというのが今のカケルの不完全さを象徴しているようで良かったなぁと。彼はまだ自分探しの途中なんですよね。

厳かなイントロからアゲアゲなテンションへの曲調変化が印象的なマイソング「Orange Flamingo」をバックに十王院カケルは愛と共に翔ける!今作は1シーン用に楽曲が製作されているため、長めのイントロを利用したショー演出が行える強みを最大限活かしています!

そして特徴的なのはそのプリズムジャンプ!札束に包まれたカケルが卵から再誕するように飛び出すトンチキ映像から衝撃のサイリウムチェーンジ!

特別なものではなく「過去に登場している演出」感全開でナチュラルに投入されたこともあり、監督からの「まぁお前ら当然見てから来たとは思うけど」という挑戦的なメッセージが込められているとしか思えない流れ(プリパラ未履修の俺無事死亡。チョロいオタクなのでこれを機に見ようと思う)

他の誰にもない演出に挑戦できたのは、彼が数多のプリズムショーを研究してきた知識人だからなのか、プリパラおじさんだから(劇場版おまけ映像参照)なのかは分かりかねるところですが、どちらであっても面白いからまぁ良いか!

他のキャラから特に「なんだあれは!?」という反応がなかったので、あの世界線でもサイリウムチェンジが既存の演出として存在している可能性もありますし、あくまでカケルの「プリズムジャンプ演出の一環」という位置付けで処理された可能性もあります。微妙なところですね。

七色のアゲアゲなサイリウムコーデを身に纏ったカケルの踊りは会場とその周辺のボルテージを最高潮に押し上げ、奇跡を起こす!

「天然ガスが出たァ!!」

🔥ドカーン!🔥

うるせぇ出るんだよ!
これがプリティーリズムだよ!
(※元々そういうシリーズです)

「景気が良いのを頼む」というリビングストンの言葉通り「本当に景気が良くなるプリズムショー」をするのが誰もが羨む跡取りの宿命を背負った御曹司!これが十王院カケルの「クラウド進化 カケルノミクスファンド」!超えてけー!!

すかさず2連続!
黄金都市を降臨させ、マダガスカルの動物達と共にアゲアゲフィーバーナイトを繰り広げる豪快なプリズムジャンプ!

これは劇中でメリナの言った「光で溢れた国」への想いと、カケルの現存するマダガスカルの自然へのリスペクトが融合して生み出されたプリズムジャンプだと考えます!この話の中でカケルが成長し、新たに得た価値観を(マダガスカルでは)たった2人しかいない観客へ、その彼らの気持ちと想いを込めたプリズムショーをPRISM.1の観客達へそのまま届けます!

今はまだムリ、でもいつかは実現したいその光景をたった一夜だけでも彼らの元へ届けたい。そんなカケルの「愛」が込められたプリズムジャンプがこの「砂漠のゴールドラッシュ ワンナイトヘブン」です!技名叫んだところの象さんの鼻が好きすぎて笑ってしまう。

カケルのショーは2連続ジャンプと回数で見れば決して優秀なショーであるとは言えません。しかしここで重要なのは、やはりカケルが他の人が決して挑戦していないスタイルのプリズムショーに挑戦したというところではないかなと。

連続ジャンプの回数よりも、1回のプリズムジャンプの濃さ(長さ)にこだわることで彼らしいプリズムショーを体現し、煌めきを届けてくれました。その結果は、8780カラットというスコアにも反映されているのではないでしょうか。

これは自分にしかできないプリズムの煌めきを体現したいとカケルが思っているということだと思うし、オンリーワンの自分自身「十王院カケル」を目指したいという若さとか感情の強さが乗っかってきているのではないかと解釈しています。

「ここにいる時くらいは、普通の高校生の太刀花ユキノジョウで良いんじゃない?」

あの台詞はきっと、自分に向けられたものでもあったことでしょう。彼もまた、普通の高校生の十王院カケルでいたいという気持ちが強く乗っかったプリズムショーだったと思いました。

「ありがとう!これでこの国を立て直せル!」

マジかよ(※マジです)
事業を大成功させたことで短期間でのダイナミック帰国を果たすことに成功!!すごいぜカケル!!すごい脚本だ!!正にプリティーリズムって感じ(しかし1話の「天然ガスたっか!?」が伏線だったとは…)

補足ですが、『キンプリ』公開中の頃、何かの折に「カケルは札束から裸で羽化するプリズムジャンプを飛ぶ」とか言ってたのを覚えていたので「マジで飛んでる!www」となってましたね。意外とそういうとこ本当にちゃんと拾って来てるんですよね今回…。

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おわりに

2章は起承転結で言えば「承」に当たる話数。
全体の繋ぎとしての役割を果たす部分であるため最も盛り上げるのが難しく、安定した展開が求められるところだと言えます。

実際2章の3人は、現段階では「どうとでも動かせるが、どうなるか分からない」キャラ達だったと思っています。そのトップバッターを務めたカケルの話は掴みとして極めて重要になるものです。

謎のゴリ押し横文字攻撃とメリナの喋り口、池井戸ドラマパロにプリズムショー演出(TV放送版ではED映像)「天然ガスが出たァ!!」と、全体的にトンチキ要素強めに仕上げてきたこの4話は、2章の掴みとしてはバッチリですし、TV放送でも3話までとは全く違う『キンプリ』の面白さを体現してくれていたと思います。慣れすぎたシリーズファンよりも、初見さんの感想が気になる回ですね。

カケルは過去作で元々公開されていた設定の時点で複雑さが確定的でした。敵対するシュワルツローズと十王院財閥の結託など短期間で解決できない問題が山積みです。そうであるからこそ、簡単にまとめられない難しさを持ったキャラでした。

今回、彼はストーリー全体の繋ぎとしての役割を与えられたと言えますが、その結果ストーリーの盛り上がりは他のキャラに比べて控えめであったと言わざるを得ないところがあります。シリーズファンからはそういう評価や不満が出ていても不思議ではありません。

しかし『スッスッス』の本質は、彼らの始まりを描く物語だと思っています。

ユキノジョウは自分の生きる道を受け入れ、個人としてのスタートラインに立ちました。タイガは理解できなかったカヅキとの関係性を紐解き、自立への道を歩み始めました。

カケルはプリズムスタァ「十王院カケル」として、一男とは違った一歩を歩み出す物語を紡いでくれたと思います。

実際のところ、彼の人間的な物語の最も熱いところは「十王院一男」とどう向き合うかが本懐です。そして作中でも語られていた通り、彼はまだ一男と向き合うことができていません。ならその時を我々は待とうではありませんか。二期はよ。

物語の盛り上がりが不完全だったのは、彼がまだ不完全な証。全てのことに完全には折り合いを付け切れていない、ただ自分の感情に正直な男の子がやるプリズムショーが見れただけで、僕は今回満足でした。

ここであえて十王院カケルというキャラを描き切ることを選ばず、必要な事だけを重点的に語り、より味わい深いキャラに昇華させる選択をした製作陣の手腕は実にお見事でした。次こそは彼がより強く大きくはばたき、空を翔ける瞬間を我々に見せてください。お願いします。

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