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キンプリオタクの『アイナナ』2期ミリしら感想 第1話第2話 新しい扉の重圧 逸る気持ちとプロの責務

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アイドルとして一大地位を築いた「IDOLiSH7」の7人。
より高みを目指すアイドルたちが描く新たな物語『アイドリッシュセブン Second BEAT!』が幕を開けました。

1期の総括感想はこちら

キンプリオタクの『アイナナ』ミリしら感想 1期総括 IDOLiSH7の始まり 現実に抗う少年たちの讃歌

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Twitterなどで拡散頂けたおかげで、たくさんの方に読んで頂くことができました。ありがとうございました。遅ればせながら2期の感想はエピソードごとに執筆させて頂きます。

まずは始まりを飾った1話2話をまとめて1つの記事で。アニメの方向性を決定付ける大事な2回の、特に気になったところをチェックして行きます。

1期の感想が前書きとすれば、実質『アイナナ』の全話感想1発目の記事です。僕の全話感想に初めて触れる方にはまずはここから。是非とも楽しんで行ってください。

冠番組の獲得と和泉三月

IDOLiSH7の冠番組が決定した。

年末に行われた「ブラック・オア・ホワイト」 での勝利は、確実にアイナナの7人を次のステージへと押し上げる足掛かりに。確実な飛躍を感じられる事実の提示から『アイナナ 2nd』は始まりました。

物語としては地続きであっても、アニメとしては長い休眠期間を挟んでの2期となります。彼らの成長を感じさせる明るい話題から物語がスタートするのは、分かりやすくテンションを上げてくれるものでした。

冠番組の決定はアイドルとして彼らが地位を確立したことを示すものですが、その功績は和泉三月の功績が最も大きいと物語の冒頭で語られます。

実際のところ、アイドルとしての知名度はテレビ業界では吹けば飛ぶような武器にしかなりません。いくら音楽方面で活躍しても、バラエティを面白くできるかは別問題。アイドルとしてオーソドックスな活躍に終始するだけでは、なかなか勝ち取れるものではないのです。

アイナナにおいて、そこを切り開いてくれたのが三月の存在でした。彼は個人でバラエティ番組という風土に適合できる才能を持っており、そこから業界人に「IDOLiSH7」の名前を浸透させました。もちろん、三月はお茶の間にも十分に知られる存在となっているのでしょう。

現実にも「所属グループのことは知らないが、彼(彼女)はテレビでよく見ている」と認識されるアイドルは一定数いて、そのおかげで世間に名前が周知されているグループも少なくありませんよね。

例えば僕はキ○マイの曲は1曲も分かりませんが、メンバーのことは全員そこそこ知っています。キン○リ(※アニメではない方)はバラエティの平野某さんを見て、グループの存在を認識するようになりました。という感じです(?)

自分にしかできないことを

バラエティで立ち回る才覚は、ステージで輝くアイドルとは別のもの。どうしても周りからは「アイドルなのに」と言われてしまう部分です。

特に本人は「バラエティで活躍していることがアイドルとして優れていることにはならない」と思ってしまうことも多いでしょう。むしろアイドルとして劣等であると感じるからこそ、違う場で凌いでいるだけとさえ思うのかもしれません。

しかし同じグループのメンバーは、自分にはできない場所で輝く仲間のことを誇らしいと感じるはず。むしろ違う方向を向いてくれる仲間がいるからこそ、1人では決して辿り着けないステージを目指すことができる。その事実を客観的に評価し、リスペクトできるものです。

なかなかそのことについて言葉を交わす時間が持てないのが普通でしょうが、今回アイナナは「冠番組の獲得」という大事を為し得たことでそれが実現。三月は晴れて「自分にしかできないことを成し遂げた」という、珠玉の成功体験を得ることができました。

個人的に『アイナナ 1期』において消化不良点を1つだけ挙げよと言われたら、間違いなく真っ先に「三月のコンプレックスはどうなったのか」を指摘したと思います。

そのため、それを開幕と同時に速攻で拾い上げてくれたことは好感触。物語の中でキャラを大事にすることへのこだわりを感じ、2期も安心して見進めて行くことができそうだと感じます。

三月が積み上げ、紡が繋いだ大きな縁。
その「番宣」という新しいフィールドではまた新しい縁が繋がって、彼らは"アイドル"として最高の舞台に立つチャンスを獲得します。そこまでの流れが実に美しく、壮快な第1話でした。

絶対的強者「Re:vale」

1話では新ユニット「Re:vale」が登場。
「ブラック・オア・ホワイト」で総合優勝を獲得した場面で一瞬だけ登場した彼らが、早速物語の中枢へと関わります。

名前は百と書いて「モモ」。千と書いて「ユキ」とかなり特殊な読み方をする2名。『アイナナ』はアイドルたちの名前に1人ずつ数字が冠されているのが特徴的でしたが、それがいきなり「百」と「千」にジャンプアップ。それだけ彼らが特別な存在だということでしょう。分かりやすいですね。

…と書きながらアニメの公式サイトのキャラクター一覧を見ていたら「この人"万"理さんやん…」ということに気付いてしまったが、まぁとりあえず見なかったことに(匂わせっぽいカットもあったことだし…)

自分たちが散々大嘘を書き込まれたネットの情報に踊らされた『アイナナ』のメンバーに、いたずら心でドッキリを仕掛けるお茶目な2人。現時点での彼らの印象を1人ずつかいつまんで記して行きましょう。

こういうCV:保志総一郎を200億年ぶりくらいに見てる。実家のような安心感。

底抜けに明るくフレンドリーな性格で、何かとアイナナの面倒を見てくれる良い人。良い人すぎる(明るすぎる)のが少し胡散臭く感じてしまうレベルで、裏表が無さそうすぎて何か裏がありそうな違和感が。

根が卑劣漢とかそういうことはないと思っていますが、Re:valeは悪鬼羅刹がひしめく芸能界で1つの頂点に登り詰める存在。ただ能天気なだけの人間が感覚でどうにかできるレベルを超えているのは確実で、それを乗り越えてきた"何か"があると考えるべきでしょう。

それが煌々と輝く天性の光なのか、はたまた経験に裏打ちされた感性なのか。その点に注目して見て行きたいキャラクターです。

人付き合いが悪そうなTHEクールという見た目で、実はよく喋る心優しい青年。

百とは対照的に経験から的確な論理を積み重ねてきた風格があるキャラクターで、2話では特に環に対し「自分も通ってきた道」と言わんばかりに芸能界での振る舞いを教授しました。

全ての人に好かれるのは不可能だからこそ、自分が最も好かれる人たちに絶対に自分を届けることを意識する。そうやって等身大の自分で挑戦して行くことが、結果として最も良い成果をもたらすものです。

口で言うのは簡単なことで、誰もがそうしたいと思うこと。それでもどうしても上手くできないこと。その真髄を「芸能界の大先輩」から告げられることが、どれだけ後輩の心を楽にするか。彼はよく知っているような気がします。

求められていることと実際に行うべきこと。自分がしたいこととすべきこと。アイドルという自分自身を見世物にする世界で、どう立ち回るのがベストなのか。

絶対的な答えがない分野で悩み葛藤することは、『アイドリッシュセブン』という作品に込められた1つのテーマのように感じます。

その難しい自問自答に、現状での「自分なりの答え」を出した存在。それが千なのかもしれません。彼については、そういったところに注目して見て行ってあげたいです。

九条という男

2話ではアクの強すぎる謎の初老プロデューサー(?)が登場。2話はだいたいこいつしか印象に残らない。台詞が長い。尺を取りすぎ。アクが強すぎる。いや癖が強すぎる?どっちでもいいか。

物語終盤では、それが1期の物語の裏側に見え隠れしていた「九条」であることが分かりました。満を持しての登場という感じで、テンションもアゲアゲ。

あのタイミングで紡たちの前に現れたことについては、単なる偶然であったとすべきか微妙なところです。その後もアイナナのステージを観に行ったりしているので、アイナナに何かしらの興味を持っているのは確かなようです。

話の流れ的にはTRIGGERの九条天がIDOLiSH7のことを教えたとすべき。加えて陸と天の関係性を考えれば、とりあえずは悪意的な立場にいるわけではないと取って良い…ような…気がします。

そもそも彼が天を引き取った理由も定かではなく、それについて行くことを決めた天の意志もまだ曖昧なまま。しかも現在は九条姓を名乗っている天が彼のことを「九条さん」と呼んでいるなど、断片的な情報だけでも不可解な点が非常に多い状態です。

やり取りの空気感的には、天は九条のことを忌み嫌っているという感じではなさそう。実際、天は彼の見る目の通りにトップアイドルとなり、その活動に誇りを持って臨んでいます。その結果だけを見れば、2人の関係性が良好であることに不思議はありません。

ただ、その裏側に何かが隠れている可能性は考えておくべき。九条は「昔アイドルを育てていた」「コンサートの舞台演出を手掛けていた」と過去形で話しており、現在は一線を退いているように感じられます。

しかし普段は海外にいる時間が長いようなので、何かしらの活動を続けている人物でもあるというのがチェックしておきたい点でしょうか。

それらが天との関係にどう関わっているのか。また物語にどう絡んでくるのか。その辺りに期待を向けておきましょう。にしても癖が強いなぁ。

新しい扉

Re:valeの助力により、ゼロアリーナのこけら落とし公演へ向けた階段を昇り始めたIDOLiSH7。

まずはアイドルとして責任者に実力を認めてもらうことが先決。久しぶりのライブ公演は、彼らにとってそのための足掛かりとなる場にもなりました。

順調に実力をつけ、ファンを拡大してきたアイナナは、単独公演でもかなり大きな箱を満席にできるほどに。そのステージの上で堂々と振る舞う彼らの姿は、視聴者である我々に対しても「紛うことなき成長」を感じさせてくれるもの。そしてその熱量は、正しい形で責任者にも届きます。

全てが丸く収まるかと思われた矢先、裏では1つの大きなトラブルが巻き起こっていました。持病を抱えた七瀬陸が、アンコールを前に限界を迎えてしまっていたのです。

ここまで順調に問題なくやってきた陸でしたが、最高の場で最悪の展開に。無理もありません。大きな箱と多くのファンに長丁場の単独公演、加えて千載一遇のチャンス。抱えるものが多くなれば気負いもまた大きくなり、身体に与える負荷も当然増して行きます。それはきっと普段の何倍にも及ぶでしょう。

それでも陸はステージに立つ意志を捨てようとはしませんでした。実際、アイナナたちはまだゼロアリーナの責任者に「どう思われているか」を知ることができていません。視聴者目線では無理をする必要がないように見えても、今の彼らはまだ大きな不安の中にいるのです。

どうしても100%を出し切りたい。その上でしっかりと実力を見極めてもらいたい。そのような焦りが出て仕方がない場面で、彼らが選んだのは「陸を下げたままアンコールを行うこと」でした。

しかも陸以外のメンバーの全員が、一切の後ろ髪を引かれることもなくその選択を当たり前に行いました。欲が出てしまってもおかしくない中で、彼らは仲間の身を一番に案じる選択ができるメンバーでした。

打算的な視点で考えても、不完全な陸がステージ上でトラブルを引き起こすリスクの方がどう見ても高い状況。陸が途中で力尽きれば「フルステージをやり切れなかったアイドル」「無理を押して病人をステージに立たせたメンバー」の烙印を押される羽目になります。

何よりその果てで、陸が再起不能レベルまで悪化してしまう恐れがある。それらは全て、ここまでの彼らの努力を水泡に帰してしまう、絶対にあってはならない結末で。いかに陸が続けたがったとしても、嫌が応にも止めなければならない事態だったと言って良いでしょう。

揺れる気持ち

当然、彼らは陸の気持ちを分かっていなかったわけではないと思います。むしろ自分が同じ状況になったら、同じように言うだろう。そう考えたメンバーも多かったはずです。

それでも彼らは陸を止めなければならなかった。何故なら彼らはここまで歩んできたアイドルで、たくさんのファンと仕事を抱えるプロだからです。

それを心の底からしっかりと考えられる、感じられるメンバーだからこそ、IDOLiSH7はここまで飛躍を遂げることができたはず。その積み重ねはどれだけ大きなチャンスを目の前にしても変わらない・動じないことを、彼らは行動で見せてくれました。

決して陸がそれを持っていなかったというわけではありません。自分のせいで周りに迷惑をかけてしまう、自分が最も優先したいと思うものが目の前に現れた、そんな有事を前に冷静でいられる人間などいるわけがありません。陸にとって今がその時だったというだけです。

だからこそ周りの人間はその感情を律してあげなければならない。それが彼らが7人グループである意味でもあるし、そうい続けるための義務でもあります。全ての人間が全ての感情を受け入れて流されてしまったら、グループは絶対に立ち行かなくなってしまうのですから。

共感もする。同情もする。だけどそれを決して行動には表さない。それがプロとして人前に立つ者の責務、求められるドライさです。アイナナはこれまでのアイドル生活の中で、それをナチュラルに選び取れる実力をつけていたのです。

ただ陸が彼らの行動をどのように受け取るのか分かりません。感情には感情で応えるしかなく、「正しいことだった」という物言いは陸の心にはきっと届かないでしょう。交錯する想いに対し陸本人と他のメンバーは、果たしてどう折り合いをつけていくのでしょうか。

ライブが終わった後、冷静になった彼らがその判断をどう咀嚼するのか。そして当事者である七瀬陸はどのような感情をぶつけるのか。ゼロアリーナのこけら落とし公演へ向かって、彼らがどのような波乱を乗り越えて行くのか。

『アイドリッシュセブン Second BEAT!』は2話にして早くも急展開。固唾を飲んで今後の展開を見守ります。

おわりに

良い話もあれば悪い話もある。
むしろ良い話があるからこそ、悪い話が顔を覗かせてしまう。

短い時間でそんな世の中の無常さを感じさせてくれるストーリー展開から『アイナナ』の2期は始まりました。

1期は彼らが紆余曲折を経てトップアイドルへの道を歩き出す物語で、その筋と中身自体は安心して見られる内容。決して複雑怪奇なものではありませんでした。

1つの到達点を迎えたからこそ、その先に拡がる景色は安易なものではなくなります。仮に晴れやかな結末が待っているとしても、同じようなサクセスストーリーはありません。確立されたものが揺るぎ、壊れる瞬間にこそオリジナリティはあるものです。

そういう意味では、2期以降がより心に響く物語を描いてくれることは想像に難くなく、2話にしてそれを見せつけてくれたという印象です。

本放送は4話まで進んでいますから、まだまだ先を見てしまうことができます。やったぜ。今後とも楽しんで執筆して行こうと思いますので、よろしければお付き合いください。

それではまた次回の記事で。お読み頂きありがとうございました。

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