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キンプリオタクの『ヒプマイ』感想 第6話 派手にかますぜ山田兄弟 最後に笑う者が勝つ!

投稿日:2020年11月11日 更新日:

全ディビジョンの物語が終了し、『ヒプアニ』も新たな局面に突入。

副題にも据えられているディビジョンラップバトル。4つのディビジョンの代表がラップで覇を競い合う決戦の舞台。その予選が始まろうとしています。

物語の主役は1周回って再びイケブクロの「Buster Bros!!!」。
てっきり開会宣言でこの一話を使って直に本戦に入ると思っていたため、もう一度お当番回が回ってくるのは意外でしたね。

フリーフォトグラファーの3人も今回から物語に本格参戦し、全く未知の物語が描かれていく第6話「He who laughs last, laughs best .」。経過は関係なく、最後に笑っているものが勝利する。早まって気を抜かず、最後まで全力を出し切る者に幸運は訪れる。

Buster Bros!!!2つ目の物語を紐解いて参りましょう。

東方天乙統女の策略

ディビジョンラップバトルは現政府である言の葉党が主たる運営者となって執り行われる、"戦い"によって頂点を決める催しです。

女性中心となったH歴において、数少ないであろう男性同士の"闘争"。もちろんヒプノシスマイクが扱われるとは言え、それを武力廃絶を断行した彼女たちが自ら進んで開催するのはいささか不自然な状況です。

彼女たちの狙いは、政権維持のための障害となる不安因子の排除にありました。

その因子とはラッパーチーム「TheDirtyDawg」。
山田一郎、碧棺左馬刻、飴村乱数、神宮寺寂雷の4人からなる、かつて一時代を築き上げた伝説の存在です。

現在はチームは解散し、4人はそれぞれ別々のディビジョンで別々のトリオチームを築くに至っている。その現在が語られたのが前4話です。ですが現在でも彼らの一部は連絡を取り合える関係にあり、有事の際には助け合っていることも示唆されてきました。

彼らが万が一にも再び結束して活動が再開されることがあれば、言の葉党の政権運営に多大な悪影響を及ぼす。内閣総理大臣となった東方天乙統女は、その小さな可能性さえも恐れているようでした。理由は不明ですが、それだけ彼らが手に負えない力を持っていたのは確かなようです。

だからディビジョンラップバトルという戦いの場を用意して、彼らの決別を完全なものとする。

絆が完全に消え去っていないとしても、現在の彼らは他の絆を育んでいる身。そのチーム同士で牙を突きつけ合えば、彼らがTDDを復活させようと考える可能性は完全に潰えるだろう。男とは所詮戦いの中でしか生きられない愚かな生き物。闘争は必ず諍いに繋がり、向かい合う者との関係を悪化させるトリガーを作り出す。

乙統女はその思想に則り、戦いを利用することで盤石の体制を整えようとしているのでした。

よもや武力廃絶を謳って国のトップに座った者が、自分の都合で"力"を扱っているとは皮肉なものです。「自分たちが直接手を下すわけではないから関係ない」とでも言うのでしょうか。

「歌え! 舞え! 叫べ!
各ディビジョンの戦士たちよ!」

とは言え政権を奪取した以上、彼女たちには何者にも脅かされない領域があります。いくら権力を利用した姑息な方法論であろうと、その支持者が多数派である限りは正当化され続けるのです。

「持てる全ての英知と力を
ヒプノシスマイクでぶつけ合うのです」

どんなに一方的で理不尽な内容であれ、向こうの意のままに動かされることであれ、今は飲むしかない。その術中の上で打開策を見つけ出すことだけが、今の男たちにできる唯一の"戦う"手段だからです。

戦いの中に生まれるのは決して憎悪や軋轢ばかりではない。時にそれは計算できない可能性や希望を生み出すこともある。その未来を信じて目の前の事象に全力を捧げる男たちの輝きは、いつしか必ず闇の中心部さえも照らし出す。

「これより、ディビジョンバトルの予選開始を宣言する!」

火蓋が切って落とされるその音は、未来を手にする第一歩。彼らの芯の戦いが、今始まります。

フォトグラファーのトム

第6話冒頭にて話の中心に座ったのは、あのフリーフォトグラファーの3人。

過去回では話の間に入ってきては賑やかしをしてくれていましたが、キャラとしての解像度が上がることはあまりありませんでした(だからスルメを食わされる)この6話にてその魅力が少しずつ開花し始めます。

『ヒプアニ』のオリジナルキャラである彼らですが、今のところラップをする気配はありません。アニメは声のみのコンテンツより見せられる範囲がグッと広がる媒体。彼らのようなラッパーではない登場人物も必要ですし、それが作品の拡がりをより大きくしてくれるものです。

もし彼らがこのままフォトグラファーに徹するのであれば、『ヒプマイ』のメインキャラ初のラップしない存在になるかもしれませんね(何だかんだ言ってどこかでラップしそうだが…)

3人の中で、特に今回メインで活躍したのはトム・ウィスパー・ウェザコック。3人の中では正統派イケメンポジションで、チームの中ではセンター的な存在。

3人に共通していることですが、日本人ではない洋名のキャラも『ヒプマイ』には新規参戦です。中王区の影響力はあくまで日本国内を中心としたものであり、世界情勢についてはまだ謎に包まれている部分も多い状態。彼らの登場で、そういった世界観の拡張も視野に入って行く可能性も出てきました。

3人の中で写真を撮っているイメージが最も強いのはトムであり、メインの撮影担当でもあるのでしょう。仕事人ではありますが、純粋に写真を撮るのが好きな人という印象があります。

日本特有の文化にかなり興味を持っている姿も見られ、普段は世界を飛び回って生活していることも分かりました。日本にはあくまでディビジョンバトルの話を聞きつけて仕事しに来た…ということでしょうか。

「グラフィティも重要なストリートカルチャーだからね!」

中には文字や看板が好きだというなかなかニッチな情報も。確かに街中にある落書きは、その国の治安の良し悪しや貧富の差を知るバロメーターになると言います。世界を旅しているトムにとっては重要な資料なのでしょう。でも注意表記とグラフィティを混合するのは良くない。

説明好きで明確な情報を仕入れて分析するのが得意なアイリスと、とりあえず何にでも文句をつける感覚・肉体派(恐らく)の太郎丸。それぞれの良さが垣間見えたところで、物語は本題へと移って行きます。

俺は一郎 俺はトム

トムはイケブクロの山田一郎を取材する過程で、彼が犯罪者を追走しているところに遭遇。偶然の位置関係により、幸運にも一郎をサポートすることに成功します。

連射フラッシュ!で犯人の動きを制限し、足払いを見事に決める。不測の事態にも理想的に対応できる彼の身のこなしは、やはり多くの修羅場を掻い潜って写真に収めてきた賜物?なのでしょうか。ストリートカルチャーの取材は、常に危険と隣り合わせでしょうから。

これを1つの縁にして一郎と繋がったトムからは、自身の身の上話が語られます。

何でも「放っておいたら悪い道に行きそうだった赤の他人」をアシスタントとして働かせ養っているとのこと。これは現時点の情報で解釈するなら、アイリスと太郎丸のことを指すのでしょう。

となると彼らは1人のトップが他人を完全な庇護下に入れるという、他の4チームには見られない関係性を持っていると言えますね。

それでいて関係性は横の繋がりのようにも感じられ、トップダウンなチームではありません。雇用関係とは別に、人間としての信頼関係は別に存在しているのも見て取れます。

こうして見て行くと、彼らは4つのチームの成分を少しずつ含んだ関係性を持っているように感じられます。

6話では一郎はトムの生き方に感銘を覚え、守るべき存在がいる者同士として親近感を得るに至りました。世界中を取材して回るトムは、そうやって人に取り入る「言葉の力」を持っていると見ても良いでしょう。

今後の物語では、その彼らの在り様が他のチームにも何かしらの影響を与えて行くのかもしれません。『ヒプアニ』の独自性として、そこもしっかりと注視して行きたいところですね。

TheDirtyDawgの過去

彼らの話の中で、しっかりと取り上げておかなければならない事実がもう1つありました。

それは「TheDirtyDawg」解散についてです。
人気絶頂の中、とある出来事で解散を余儀なくされたTDD。その内情は、世間にはまだ公にされていない部分があるようです。

解散後も良好な関係が残っているTDDの4人ですが、裏には"そうではない"部分――決定的な決裂があるからこそ、彼らは別れを選んでしまった。それは紛れもない事実でした。

『ヒプアニ』では「一郎→寂雷」「寂雷→左馬刻」「左馬刻→乱数」「乱数→一郎」のやり取りが各話で展開されており、そのどれもがフレンドリー。彼らの間には、取り立てて因縁に順ずるものは存在してないように見えました。

残っている関係性は「一郎⇔左馬刻」と「乱数⇔寂雷」の2パターンのみ。このうち前者に因縁があることが、6話にてトムと一郎の話の中で触れられました。

4話の終盤にて、左馬刻が「待ってろよ、一郎…」と発言していたこともあり、2人の間に何かがあったことは『ヒプアニ』の情報のみでも窺い知れたかもしれません。

TDD活動当時、中王区の企みによって巻き起こされた事件。それは当時、自分の完全な庇護下にいた二郎と三郎を巻き込んだものであったと一郎は語ります。

一方で左馬刻にも碧棺合歓という妹がいることが分かっています。4話の終盤で彼女を想う左馬刻の姿を見ることもでき、簡単には会えない状態であることが示唆されていました。そこから一郎に話が飛んだことを考えると、左馬刻にとっても一郎との因縁は身内絡みだとするのが妥当でしょう。

敵の術中にハマった結果だとしても、自分の身内を危険に晒す選択をしようとしたお互いのことを許せない。

それが彼らの間に入った大きな亀裂だと考えられます。

「TheDirtyDawgのことは、一言では言えない…」

TDDの話をする一郎はどこか寂しげで。これがベストな選択であるとは、決して思っていないのが分かります。

けれど彼らは戦わなければならない。理由はどうあれ「バトルで起きた揉め事はバトルで解決する」のが、山田一郎の掲げたケリの付け方で。左馬刻にとっても、きっとそれは同様のことなのでしょうから。

ディビジョンバトルはどの地区が頂点に立つかを決める戦い。その中で元TDDのメンバーは、個人的な清算を含んだ大義を持ってこの戦いに挑んでいます。

他の者とは背負うものも、胸に秘めたる覚悟も全く違う。そんな強さを持つ彼らだからこそ、確実に決戦の舞台に向かって歩みを進められているのです。

それぞれのできることを

トムとの合わせ技で一郎が拿捕した犯人は、サイタマのラッパー。ディビジョンバトルはおしまいだと意味深に嘯く輩でした。

それが三郎が調べていた裏サイトの書き込みとリンクし、ディビジョンバトルとイケブクロを潰そうと行動する謎の勢力の存在が露わになりました。大きな催しで活気づく街の裏では、それを疎ましく思う者もいるということ。注目を浴びるものの宿命かもしれません。

ディビジョンバトルを中止にするならば、まず予選の会場で騒ぎを起こすのが確実です。Buster Bros!!!の3人はテンダーロインズのSA☆DA★ME☆DU★KA(まさかの再登場!)の力を借りて会場中をしらみ潰しに探しますが、爆弾を見つけることができません。

どうでも良いのだが「お前のラップはこのSA☆DA★ME☆DU★KAのソウルに響き渡った!」と言っているが、お前はラップされる前に敵前逃亡したじゃないか。俺たちの知らないどこかで何かあったのか?

そこで活躍したのがまたしてもこの人、トム・ウィスパー・ウェザコック。彼は裏サイトに書き込まれていた「トヨタマ線」という文字と自身の記憶を照合し、それが送電線を意味していることに気付いたのです。

町中を見渡せる高いところから情報を汲み取り、バスブロの3人では目を向けられない情報を引き出すことに成功。そして現場にいち早く急行した3人が「現地に爆弾はない」と確定したからこそ、彼らは真に向かうべき場所を導き出せました。

地元で萬屋を営むBuster Bros!!!の方が迅速かつ的確に動けるのは当然。だからこそ、彼らにはない「情報」を届けることが彼らフリーフォトグラファーがすべきこと。彼らが各々の役割正確に果たしたことで、短い時間での解決を手繰り寄せられたと言えるでしょう。

向かうは変電所。
ディビジョンバトルどころか、イケブクロ全体の混乱を引き起こそうとする巨悪を沈めるため、Buster Bros!!!は予選前最後の仕事へ赴きます。

「3 Seconds Killer」

諸悪の根源であった「エレキてるてる坊主」は、イケブクロとBuster Bros!!!を目の敵にしているサイタマのラッパーチームでした。バスブロが決勝に出られなくなるなら何でも良いという暴論で、ブクロ全体に被害を与えようとしていたのです。

ところで僕は愛知県民なのでよく知らなかったのですが、現実の池袋には埼玉県民の方がたくさん遊びに来ているそうです。

関係者の間では"納得感"のある配役ということに。
その扱いに「良かったね」と言って良い物なのか否か。

「国境を越えられない」(『翔○で埼玉』ネタ?)や「"ビリビリ"ラップ」(郷土愛ランキング最下位より?)など、自虐(?)ネタ満載でお届けされた彼らの三下口上にはそこはかとない哀愁が漂います。アニメ製作過程で「ビリ」という言葉から連想されたダサいチーム名を宛がわれたとしか思えない。

しかしそれをイケブクロディビジョンのせいにするのは酷い言いがかりというもの。郷土愛(?)があるのは良いことですが、それは悪事を犯して良い理由にはなりません。

「派手にかますぞ!二郎!三郎!」
「「はい!!」」

そして、どんなに小物が仕掛けようと爆弾は爆弾。Buster Bros!!!の3人は最悪の事態を回避するために、ヒプノシスマイクを掲げます。

「ラップバトル」の洗礼

Buster Bros!!!
flowは制御不能だ
止められない時計の針

返り討ちにされたくねぇならhurry

彼らが奏でるのは『ヒプアニ』2曲目の新譜「3 Seconds Killer」。

時限爆弾の爆発が迫る状況を逆に利用するかのように、凄まじいスピードで展開される疾走感100%の楽曲。流れるように展開される攻撃的なリリックは、同じラッッパーチームにぶつけるディスリスペクトの嵐です。

実は今回が『ヒプアニ』では初めてとなる現役のラッパーチーム同士のラップバトルに。過去4話よりも目の前にいる"特定の相手"に叩きつける表現が多用されており、物語としてよりリアルタイム感のあるラップシーンになっていたと思います。フルサイズで楽曲化されるとしたら、どんな曲になるのかが気になりますね。

サイタマの劣情を刺激し、イケブクロの自信を叩きつけ、彼らの行いと感情がいかに歪んだものであるかを言葉の内に込めて行きます。

彼らが勝利者となれないのは決してイケブクロのせいではない。その差を理由にして甘えて言い訳して、自分から成長を止めてしまっている結果が出ているに過ぎない。その想いをラップに込めてエレキてるてる坊主にぶつけます。

カウント スリー ツー ワン
僕らのBUSTER
時を凌駕

残念だね
TIME OVER

それを受け入れることすらせず、他の誰かを傷つけることを選ぶような愚か者に、"雑魚"に時間を割く余裕はない。彼らの自信と積み重ねはサイタマの膿を確実に絞り出し、大爆発(Not爆弾)を持って一撃で粉砕しました。

今回は爆発後にエレキてるてる坊主の身体から煙が出ていたのがチェックポイント。つまり物理的な干渉が発生していたということです(※深く考えるべきかは微妙なところ)今後のラップバトル描写にも期待が高まります。

エレキてるてる坊主からの反撃描写はありませんでしたが、ラップバトルである以上、本来であれば彼らにもその余地が与えられていたはずでしょう。実際、今までの相手は精神干渉にすぐ飲まれていましたが、エレキてるてる坊主は曲の終わりまではギリギリ耐えていました。

しかし幾らラッパーチーム同士と言えど、実力に大きな差があると先攻1パンで沈められるケースも少なくないのだろうと考えます。彼らは所詮その程度の実力しか持たない存在。正々堂々では絶対に勝ち残れないと分かっている者ほど、汚い方法に手を染めるというわけです。

今後のラップシーンは相手を打ちのめす一方的な内容ではなく、いかに相手の懐に入り込んで攻めて(責めて)行くかも見所になって行くのでしょう。その前哨戦を、イケブクロの3人はしっかりと見せてくれました。

エレキてるてる坊主も、曲がりなりにも彼らと同じ戦場に立つ技術を持つラッパー。より高次元のBuster Bros!!!からの洗礼を受け、色々と分からされたこともあったのではないでしょうか。山田三兄弟のラップが、少しでも彼らのソウルに響き渡っていることを、ひとまず願っておこうと思います。

おわりに

現地での活動は再びBuster Bros!!!に任せ、またも自分にしかできない行動を冷静に考えて動いたトム。彼の機転によって、爆弾の爆発は寸でのところで食い止められました。

しかしその前には、爆発まで1分を切った爆弾を抱えて走る一郎の姿があったことも見逃してはいけません。彼の駆け出しが1秒で遅れていれば、確実に目を覆うような大惨事になっていたわけですから。

どうなるかは分からない。でも何もしないで待つくらいなら行動しないわけにはいかない。山田一郎は自分の身に危険が降りかかろうとも街を守ろうとする、強い光を感じさせる正義漢でした。

今回は、目の前のことを解決するためなら後先考えずに全力になれる、そんな彼らの数奇な出会いがあって解決できた事件だったと言えるでしょう。

でも爆発物を全力で投げ飛ばしたら普通は爆発する。良い子は絶対に真似しないようにしましょう。

いよいよ始まったディビジョンラップバトルの予選大会。勢い付いたBuster Bros!!!は決勝の舞台へ突き進みます。彼らが繰り広げる激闘が近々見られることを願って、今回の記事は終えようと思います。

次回は一体どんな話が展開されるのか。先が読めなくなった『ヒプアニ』を最後まで追いかけます。それではまた。

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