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キンプリオタクの『ヒプマイ』感想 第5話 freeな光の三原色 乱数、帝統、幻太郎を呼んで!

投稿日:2020年11月6日 更新日:

4つのディビジョンの物語、トリを飾る『ヒプアニ』5話はシブヤディビジョン。自由人の集団「FlingPosseの出番がやってきました。

1話でも唯一バトルを行わず爆発を起こさなかったチームであるポッセ。前3話とは、かなり異なった質感の物語が展開されると予想した人も多かったことと思います。

彼らが描くのはSeeing is believing.」。百聞は一見に如かず。自分の目で見たものこそが信じるに値する。そんな奇妙奇天烈な物語を、紐解いて参りましょう。

表と裏のある街

「ここはシブヤディビジョン!」

前3話は荒廃した雰囲気と薄暗い街並みからスタートしましたが、今回は180度打って変わって。笑顔溢れる明るい光景が目に飛び込んできます。

「たくさんのキラキラ、色んなかわいい」

練り歩く人々、カラフルな装飾、写真映えする食べ物。そのどれもが美しく、顔に影を落とす人など1人として見当たらない。そんな幸せいっぱいの街並みが、画面中を埋め尽くしています。

「胸いっぱいのワクワクが溢れる、ウキウキタウンだよ」

鬱積した感情から誰もを解放するために、夢のような一時を演出する。難しいことなど考えずに、ただ目の前の娯楽を謳歌できる。このシブヤの街は、多くの人にとってそんな人生を華やかに演出してくれる存在として成立しているのです。

「みんな自由な羽根広げて、この街を飛び回ろうね~!」

飴村乱数率いるFlingPosseは、そんな街に根を下ろした自由人の集団です。率先して戦いに身を置かず、文化に傾倒し自分たちだけの世界に浸る。今回は、そんなシブヤで愉悦を共有する3人の物語。

「え~、待つっていつまで~?」
「お前の質問に答える義務はない」

そんな中、乱数の元に入る一本の不穏な電話。
相手は言の葉党のNo.2、内閣総理大臣補佐官を務める勘解由小路無花果です。

「アクションはこちらからかける」
「はーい。リアクションはお任せ~☆な~んてね」

どんなに人を元気にする"光"の存在であっても、所詮は誰かに作られたものに過ぎない。明るさを表出させている者が、裏で闇に染まっていないとは限らない。

「――チッ…!」

真に賢明な邪悪は、決して自分を何かで覆い隠したりはしない。ただ誰の目から見ても"問題ない"立場に座り、偽装し、社会の一員として当たり前のように振る舞うのみ。だからこそ彼らは身の毛がよだつほどに恐ろしい。

100%の"光"を体現するシブヤディビジョンに眠る闇の先端。小さなボロを出す者たちを追いかけるポッセの冒険譚を、追いかけて行きましょう。

FlingPosseの絆

FlingPosse3人は今日も乱数の家に集合中。
今日も今日とてギャンブルでスッカラカンになった帝統を中心に、どんちゃん騒ぎが展開されています。

帝統はアニメ内だけでも登場すると必ず一文無しになっていますが、そもそも彼の金の出どころ(借りたものを除く)はどこあるのでしょうか。やはり勝って返している時もある…とするのが自然でしょうか(不自然)

MTC回(第4話)では裏カジノに行くまでは「順調に軍資金を増やしていた」らしく、やる時はやることもあるのは確かなようです。ただ買った分はそのままギャンブルの運転資金になるはずですし、勝ったまま終わることは現実的に考えてあり得ないのでは?とも。

そんなロクデナシを仲間に加えて、情けない姿を微笑ましく(?)見守りながら楽しんでいる乱数と幻太郎。これだけ救えないほど金遣いが終わっている男のことを、「面白い奴」と思えるほどに2人もまた自由人。そんな彼らの作り出す、ゆったりとした余裕ある雰囲気がチームの持ち味です。

一緒にいて飽きないことが何より重要で、楽しいことが最優先。特に何かの利害が一致しているわけでもないし、特別な血も縁もない。

ただただ「波長が合う」という、それだけの関係性。けれどだからこそ、築き上げられる絆がある。

どこまでも不干渉にして、どこまでも過干渉。友人の枠組みを超えた友人として。彼らFlingPosseは日々を楽しく過ごしています。

夢野幻太郎の振る舞い

お化けを怖がる可愛げのある乱数と、それを茶化してからかう子供っぽい帝統。そして、何でもとりあえず面白くなるように転がそうとする幻太郎のデコボコトリオ。

「いっそのこと"賭けて"みますか?
乱数がそこまで言うなら、幽霊は偽物。帝統は幽霊は本物と」

全てを賭け事にしてしまえば、帝統は勝手に盛り上がる。帝統さえ勢いに乗ったら「幽霊はいない」と言い張る乱数はこの誘いを断れません。

「賽は振られたんだ。降りるんじゃねぇよ」
「いざ…渋谷の街へ…♪」

シブヤの街に赴いて、ニュースで流れていたオカルトの真実を突き止める彼らの戯れ事。所詮そんなものは「まぁ嘘ですけど」。テレビで流れる幽霊話なんてほとんどが作り話。幻太郎は十中八九十の確率で帝統が負けることになるアンフェアなギャンブルを、悪戯がてらに仕込んだに過ぎないでしょう。

「そんなことしたら呪われちゃうよ~!」

馬鹿はいつも通りの馬鹿であり、ついでに普段はヘラヘラしている乱数の面白い姿が見られれば"なお良し"とする。いないはずの幽霊に何故呪われるのか。そんな野暮なツッコミを挟むことなく、幻太郎は2人を引き連れて夜のシブヤへ。

そう、これは全て、YUMENOの掌の上の出来事とも言えるのでした。

まぁ、嘘なんですけどね

ホラーナイト仮装イベントなどが開催され、夜の街も"楽しい"で溢れたシブヤの街。ヨコハマやシンジュクとはまた一線を画する雰囲気が、街中を賑わせています。

ですが一旦"恐ろしさ"に飲まれた者は、その気持ちがリセットされるまで何を見ても「恐い」と思ってしまうもの。普段はニコやかに手を振り返すであろうお姉さんたちの黄色い声も、今の乱数の繊細な心を刺激する劇物にしかなり得ません。

想像以上に怯える乱数に半ば振り回されるような形で夜道を徘徊した3人。逃げるようにタクシーに乗り込んだ後も、何故か淡々と怪談を話し始めるYUMENOの謀略が2人に襲いかかります。「このままじゃ面白くないな」と思ったりしたのでしょうか。

「まぁ、嘘なんですけどね」

プロの小説家たる彼の口から語られれば、作り話も1つの創作でありフィクション。それを自分から「嘘」と言い放つ割り切り、力の抜け具合が彼の持ち味でしょう。そのある種の不真面目さこそが、独自の世界観を築き上げる者の説得力を持つのです。

ただその驚き方、行動の大袈裟さまではさすがの夢野幻太郎も読み切れない、というところでしょうか。明るい場所を求めて勢いで駆け込んで行く2人の姿を見て、幻太郎も肩を竦めざるを得ないのでした(そうしている自分まで楽しんでいる、とも見えなくもない)

ライブハウスを巡る戦い

目的地さえ定まらぬままに素っ頓狂な旅を続けるFlingPosse一行が迷い込んだ先は、寂れた1つのライブハウスでした。

どう見ても廃墟、ホラーイベントの一環であえてそうしているとしか思えない支配人。ですがその実態は「電気代の節約で蝋燭」「食費を削って激痩せ」という、割とマジで洒落になってないピンチに陥っているだけの人でした("だけ"と言うのにも最早語弊があるが)

音楽関係者の慧眼でFlingPosseを見抜いた支配人は、代金総取りの条件で3人にライブを依頼します。彼らを客寄せパンダにして、他の出演者たちをもう一度呼び戻したいという意図があるようです。

経費はポッセ負担なのもちゃっかりしているし、倒産しないようにやり繰りを切り詰めるビジネスマインドも持っている支配人。(出演者が離れたどうしようもない理由を考えれば)見た目に寄らず案外やり手な経営者なのかもしれないと思う今日この頃。

帝統と幻太郎というイレギュラーマンたちは「金」と「面白そう」を理由にあっさりとそれを快諾。ビビり倒していた乱数も、最後には「お姉さんたちを喜ばせる方がずっと良い」と、来てくれる人たちの顔を思い浮かべることで承諾しました。

「でもやるからには、絶対SOLD OUTにして見せるからね!」

いつもはダラダラと日々を過ごす彼らも、やるからには本気を出す。だからこそシブヤディビジョンの代表であれるというものです。

誰も寄り付かなくなった寂れたライブハウスを満員にするという、彼らの挑戦が始まりました。

スルメスメルスルメ

「何してるの、かな…?」
「スルメを…噛んでいる…!」

蓋を開けてみるとそこにいたのは、スルメを噛んでいる癖の強い3人(いつもの)が鎮座するのみ。何故スルメを噛んでいる?スルメを噛んでいることに意味はあるのか?この脚本でスルメを噛ませることの必然性は果たして存在するのか?

いやいやそもそもシブヤでは抜群の知名度を誇る(と思う)FlingPosseが、全力の宣伝活動を行って開いた今宵のライブ。百歩譲って満員になることがなかったとしても、客がスルメ3人(実質1グループ)しかいないのはどう考えてもおかしい状態です。

「スルメはァ!やわな現代人の顎を、どんな固い肉も咬みちぎる!強靭な顎に鍛えてくれるんだぜ」
「はぁ…」

はぁ。
いや良いんだよそんな話はどうでも。

。アニメオリジナルキャラクターのトム・ウィスパー・ウェザコック、アイリス・イノセント・トレイター、太郎丸レックスの3名の肩書はストリートフォトグラファー。2話以降、各ディビジョンでニュースや情報の一部として使われた写真を撮影しているのは彼らでしょう。

今のところ2話以降の全話に登場ていますが、メインキャラクターと直接的な交流を持ったのは今回が初めて。これが今後の物語の伏線となってくるのでしょうか。

「さすがのFlingPosseも、シブヤの幽霊には適わなかったってことかな」

おいスルメはどうした。
逆に気になるだろ。

本当になかったことにするんじゃない。マジで何だったんだ。

幽霊の正体へ

トムたちの口から語られたのは、シブヤ全体のライブハウスに幽霊が出没し、客足を完全に押しとどめてしまっているという事実でした。

乱数がSNSを確認すると、「行きたいけど行けなかった」という声で溢れ返っているのが見て取れました。

でも、この時に乱数が確認していたタイムラインって何だったんでしょうね。ワード検索で引っかかる感じでもないし、リプライでもない。自アカでひたすらフォロー返ししてるか、自分のファンでリストを作っているタイプの人ということか?イメージはある。

しかし幽霊のせいで人が寄り付かなくなるというのはあまりにも不自然。実際いるかいないかも分からないもののはずなのに、それだけ多くの人の行動を制限する何かを持っていることになります。ポッセでさえ全く人を集められないほど、恐怖を煽られる存在なのは間違いないのです。

しかも出るのは「ライブハウス」のみと、極めて広範囲かつ限定的な存在に影響を与えているのもおかしい話です。もっと言えばそれに疑問を抱くことがないほどに、「見た」という人たちの声が真に迫るものがあったのでしょう。

その中で唯一人を集めているライブハウス「CLUB COLONY」。ポッセの3人も仮装パーティの現場を目撃していことが僥倖となり、その存在に行き着きます。その箱があらゆる音楽系イベントの開催を総取りし、全てを執り行う環境が出来上がっていたのです。

「その店だけが…被害を免れた」

普通に考えれば分かりそうな話でも、超常現象というのは時にその普通の思考を関係者から奪い取るもの。ましてここは夢の街シブヤディビジョン。「幽霊がいる」と言われれば、本当にいそうな気がしてしまうのも分かります。

しかし飴村乱数は違いました。
彼はそのシブヤの"光"の裏側に潜む闇の存在を理解している。街の夢を騙り、悪用し、私服を肥やそうとする輩の存在を分かりすぎるほどに実感しているのです。

これは決して幽霊が引き起こしたことじゃない。幽霊が「いることにしている」連中がいる。

そして情報さえ揃えばやることは、ただ1つ。

「おー乱数。えぇ何?調べてもらいたいって?」

持つべき者は萬屋ヤマダの経営者。
探りを入れるなら街の外にいるフラットな人間に。かつての戦友の力を借りて、FlingPosseは着実に真実への道を歩み始めました。

「SHIBUYA GHOST NIGHT」

FlingPosse

おこんばんは~!
フリング・ポッセのらむだ♡ちゃん
だよ~ン!
そちも悪だよね~☆
幽霊のヒ・ミ・ツ♡
のことで、お話があるよ~ん☆

3人は幽霊の秘密を悟ったことをほのめかすメールで、件のCOLONYの連中をおびき出すことに成功しました。

箱の経営者は素行の悪い元ラッパー。ヒプノシスマイクの精神干渉を利用することで幻覚を見せ、あたかも自分たちが本当の幽霊であるかのように錯覚させていたのです。そうして音楽人の需要を独占し、安く買い叩いて利益を上げるという、悪辣極まりない商売に手を染めた小悪党どもでした。

ポッセの前に現れた敵チームは、謎すぎるストリートダンスで幽霊を偽装。一応曲は流れているが、よく見るとこいつらマイク持ってない。しかもラップよりダンスの比率が高すぎるため、それしか印象に残らない。

耳栓で精神干渉を回避したポッセを前にして、無様な佇まいで見上げるチンピラ3人は実に滑稽で。自分たちのやり方が上手く行かないなど微塵も思っていない傲慢さを感じさせます。ここでは何故かマイク持ってる。

苦肉の策で自分たちを懐柔しようとする低俗な提案を、ポッセの3人はもちろん一考の余地もなく退けます。それどころか、その発言を含めた彼らの悪事の証拠は、乱数の作戦通り「配信先」へとしっかりと晒されました。

あとは皆の"楽しみ"を奪った不届きな輩を成敗するのみ。胸いっぱいのワクワクが溢れる街を取り戻す、FlingPosseのライブが幕を開けます。

「帝統。幻太郎。こっちも行くよ!…新曲だよ!☆」

1分間の悦楽を共に

1ミニッツ もらう 呑気に 踊って
消し去る あなたのNIGHTMARE
Fling Posse
ジャストタイム 飛んでく
乱数 帝統 幻太郎 を呼んで

彼らが歌う新曲SHIBUYA GHOST NIGHTは、正にこの場を収めるために彼らが用意した演出用の1曲。

倒すべき相手はいながらも、決して力を振りかざして威圧することはない。楽しい時間を奪われた人たちに、その戦いさえもエンターテインメントとして届けようと意識する。そんなシブヤという街への彼らの想いが詰まったパフォーマンスで魅せてくれました。

ただひたすらにその時間をエンジョイし悦楽の限りを歌い上げる3人。その姿は終始笑顔に溢ていて、1話同様に他3ディビジョンとは全く異なったHipHopの魅力を表現しています。

幽霊は人を脅かし恐怖させる超常の存在ではあるけれど、同時に人を驚かし楽しませるマスコットとなることもあるのです。

全ては表現1つで変わるものであり、また受け手の受け取り方でその存在軸は左右されます。

ポッセを愛する者たちには、憎むべき対象だった幽霊がとても愛らしいものに見えたはずです。そして他人の恐怖を不用に煽った者には、同様の報いが待っていて。どんなに愛らしい姿に擬態していても、COLONY3人にとっては裏側の敵意こそが全てでした。

爆発こそしないものの、それと同等の精神干渉を受けて突っ伏す小悪党たち。最後は楽しみを奪われた"お姉さんたち"に足蹴にされる形で、その悪事に終止符が打たれました。

表があれば、それとは全く異なった裏側も存在する。単純な世の中ではないからこそ、単純になれる時間を大切に。そんなシブヤの街、そしてFlingPosseの在り方がたっぷりと詰まった時間となりました。

おわりに

ほんわかゆるふわで、他の3組に比べれば安心して見られる内容だった『ヒプアニ』シブヤ回。

ただ彼らの奥底から滲み出ている背徳的な空気が、決して消え去っていたわけではありません。今回はそれこそ、彼らの"表側"をしっかりと堪能できる内容だったと言えるでしょう。

本当は表だけでいられたその方が良いのにと、そんな乱数の願望さえ感じる彼らの関係性。ディビジョンラップバトルでは、その裏側部分を見ることもあるだろうと思います。真っ向から語気をぶつけ合う戦いになった時、彼らがどんな顔を見せてくれるのか。それもまた楽しみです。

これで全てのディビジョンのエピソードが終了。『ヒプアニ』6話以降はより混迷した人間関係による物語が展開されるかと思います。

それぞれの異なった"絆"をしっかりと見せてもらってきたからこそ、それがぶつかり合う戦いには我々も大きな感情を乗せざるを得ないでしょう。是非とも盛り上がって行きましょうね。それでは。

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