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【ネタバレなし】『劇場版Fate/stay night [HF] 2章』感想「もうこの作品から観て」と思わせられるクオリティ...!

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観てきました『Fate[HF]2章』。
愛知県で今作の主題歌を担当するAimerのライブを鑑賞した後にレイトショーという最高の流れで。

あまりにも凄い作品だったので早速筆を執りました。

もう「今すぐでも観に行ってほしい」と衝動的に思えるクオリティです。

この作品を観に行く話になると大抵話に登るのが「原作の前2つのルートをやっておくべき」「最低限UBWのアニメ版は観ておいてほしい」という声達。ネットでは大半を占めていると思います。

正直、僕も本音ではそう思いますが『HF2章』を観た今は「もうこの映画から入ってもいい」とすら終わった後に思えてしまいました。

他の作品どころか、最早『HF1章』すら飛ばして観に行ってくれてもいい。大袈裟かもしれないですがそれくらいの気持ちです。

この映画を映画館で観ないまま終わるくらいなら、映画館で観てほしい。この映画からFateを知って戻ってからもう1回観てくれればいい。

そのような感想に落ち着きました。

その理由をこの記事ではしたためて行きます。
ネタバレは致しませんので安心して読み進めください。

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日常会話まで飽きさせない圧倒的な映像美

とにかく映像が凄い。
とあるシーンの爆発の映像だけで作画枚数900枚超えというこだわり方(インタビューより抜粋)

最もインパクトのある部分を抜くとどうしてもそういう戦闘シーンの作画枚数の話などになってしまうのですが、今作は激しい映像だけではありません。どちらかと言えば会話などが映像の大半を占めています。また、エログロが魅力の作品でもありますし、それに伴ったサイケデリックな表現、独特の映像演出が盛りに盛られた作品です。

その全てが余すことなくこだわり抜かれており、キャラクターの細かい所作や背景や環境表現によって、ただの会話シーンでさえも全く見ていて飽きることのない映像が続きます。

動きで魅せるシーンはもちろんのこと、日常会話や難しい設定の話が語られるシーンなどでも、常に映像に惹きつけられてしまう創り。それも1つとして意味のないものはなく、全てが作品感を体現するのにベストな形を取っているのです。

例えば同じufotableが創っている他の『Fate』の関連作では、長い話をする際にキャラクターが無意味に同じ場所をグルグル回っていたり、映像を持たせるためにオーバーな動きをしていたりと、つい突っ込みたくなったりネタにされがちな表現が随所に見受けられますが、今作ではそういうものもほぼなかったように感じます。

それらの表現が悪いというわけではないのです。むしろ限られた制約の中で良い映像を見せるためには必要な見せ方ですが、「HF」ではそういう「製作都合で仕方なく」という部分すらほとんどないように思います。

1章の時点でなかった気がしますが、話が複雑化し情報量が圧倒的に増え出す2章では、そういう無駄のなさがより顕著に見えたのです。それどころか細かい表現も多用して、できる限り多くの情報を映像に盛り込もうとしているように見えました。

そういったアプローチの中には今までにないような映像表現も潜んでいたり、今まで見たことある中でも最高峰のものであったりと、珠玉の映像体験として我々の心に刻み込まれるのです。

猟奇的なグロシーンの血しぶき1つにもこだわりがあるし、背景の描き方にも独特の光の射し方があり、作品感をどう表現するかに全力を注いだ映像美。

小さな画面では見落としがちなものがあると思います。大きい画面でその神髄をしっかりと見届けるには、映画館に足を運ぶことが必須であると思います。

涙のこぼれ方1つ1つまで追求された奥深い表情

過去のufotable製の『Fate』を見ていて思うのは、とにかくキャラクターの表情へのこだわりが凄いこと。物凄く多くの感情の機微を、たった1つの表情の変化に乗せることができる非常に優秀な製作陣だと思っています。『Fate』という作品において、これは本当に重要な事です。

「HF」においてもそれは健在。むしろ超パワーアップしています。
映画という展開により、こういった部分に作画枚数を多めに確保できるからでしょうか。とにかく表情で魅せてきます。

1章でも様々な"貌"がありましたが、僕はキャスターの亡骸を使う臓硯に対し怒りを露わにしていたセイバーが物凄く好きで印象に残っていますね。予告でも使われていたはずですが、最早あれを見ただけで力の入り方が伝わってくるような素晴らしい表情でした。

2章では士郎と桜の関係性の発展から直接的に感情を見せるシーンが多くあり、その中に潜む葛藤や苦悩などもしっかり描き切った魅力的な表情を多数披露してくれています。

涙のこぼれ方1つにも恐ろしいまでのこだわりがあるのです。
内容的に目から涙がこぼれるカットが何度あったか分かりませんが、その1つ1つが違った形を見せてくれる。その姿に何度も何度も惹きつけられてしまうのです。

その成果は今作の醍醐味でもあるエロシーンにもしっかり反映されています。PG12とは思えないような際どいエロシーンもありますが、そこでも描けないところを"貌"で補完する見事な表現ばかりでした。

単純にエロというと聞こえは悪いかもしれませんが(元々原作はR18ですが)2章の桜は本当にエロかった。それでいて儚く美しかったし、また可愛い少女でした。

その結果が生まれたのは、男の煩悩を狙いすました下品で煽情的なエロさを追求したものではなく、描写としての必然性を大事にした表現が一貫されていたからでしょう。その中で最高のエロさを追求してくれていました。

ストーリーと作品感、キャラクター性に沿った「ありのままの間桐桜」を描き出すことに製作陣が全力を注いでいたのがひしひしと伝わってきました。愛ですね。

Fateは文学。
なんていう使い古された言い回しがありますし、そういった賞賛がかつて嫌われていたことも知ってはいますが、今作のこういった表現群は、アニメ映画の中でも「芸術」と評される作品に匹敵するものであると思います。オタク系アニメ映画の映像美としての1つの到達点とも言えるかもしれません。

現代最高峰と言い切れる戦闘描写

やっぱり最後は戦闘に戻る。
何だかんだ言って外せないですね。

作画枚数の話にもあるように戦闘シーンの迫力は短時間ながらも超高密度。これは本当に「これ以上の戦闘シーンって過去に存在した?」という疑問が自然に出るレベルではないかと。

圧倒的に凄いのが戦闘の省略というものがほぼないことです。
空で何かと何かがぶつかるような演出で済ますとか、音と映像効果だけが鳴り響いていて凄さを表現しているとか、そういうありふれた映像がない。

とにかく真っ向勝負で全てを描く!
バーサーカーは最高にバーサーカー!最早化け物!

という感じ。

戦闘の凄いアニメなんてのは最近では枚挙に暇がないですし、この作品に興味を持っている方は過去の鑑賞経験から「何となくこんな感じ」というのは想像できるかと思います。なので多くを語るつもりはありません。

その想像を持って映画館に行って是非鑑賞してみてください。

「物凄いヤツ」があなたを待っていると思います。

ストーリー的「この映画から見てもいい」と思えた理由

ここまで映像の凄さを語ってきました。
それだけでも十分「絶対に映画館で観るべき作品」と断言できるものがあるのですが、流石にこれだけでは「この作品から見てもいいと思った」と言うには弱いかもしれません。

なので、ここからはストーリーの創りに触れさせて頂きます。
引き続き内容のネタバレには触れませんのでご安心を。

正直な話、2章までの「HF」は割とよくあるダークテイストのボーイミーツガールな作品群の1つだと思います。10年以上前の作品ですし"今となっては"という前置きは必要かもしれませんが。

『Fate』のファンがよく言う「この作品からじゃ何も分からない」というほど、分からない作品ではないです。主人公の士郎がヒロインの桜のために周りの皆と協力して頑張る、一貫性のある分かりやすいお話です。

もちろん、なんか登場していきなり死んだキャラがいたり「あいつ何のために出てきたの?」と言いたくなるような人がいたりはしますが、大筋に問題ないと思っています。

何故なら、そもそも原作の『Fate/stay night』は3ルートで全てのキャラと設定を網羅している作品なので、1ルート目からプレイしても謎の死を遂げていくキャラクターはいるからです。今上映している「HF」で初めて分かることも多いですし、満を持して大活躍するキャラもいます。そういう点ではどこからプレイしてもおよそ大差はありません。

そういう意味で「HF」から入るというのは話を楽しむ分には問題ないですし、ここから『Fate』に入っても全然アリではないかと。アプリの『FGO』をプレイしてハマって、映画に行きたいが周りの原作勢の圧が凄すぎる…という人はまぁとりあえず無視して行ってみてくださいよ。むしろ完結編ではない宙ぶらりん状態の今がチャンスです。

2章からでも良いなぁと思ったのは、1章以上にとにかく映像が圧倒的に凄いからです。
この2章の映像を映画館で観たら、『Fate』シリーズそのものにより強い興味が湧くのではないかと思うくらい、2章の映像は本当に凄いし素晴らしい。絶対に映画館で"体感"してほしいし"体験"してほしい。

原作を後追いすることより、これを映画館で観れないことの方が損失が大きい。
今後『Fate』を好きになって語るほどにのめり込んで行く人がいるなら、この「HF2章」を映画館で観ていないのはあまりにももったいない。そうなるくらいならここからでも良いからまず観てほしい。

僕は本当にそう思いました。
もちろん、欲を言えば1章くらいは観てから行った方が良いですよ。
ブルーレイも出ていますしね。

他ルートの情報によって全く違った色になる面白さ

これだけ言うと原作勢から総スカンを喰らうと思うので補足です。
「HF」を観る前に他の2つを見ておくべきことについてですね。

1つ目のルートからしか順番にできないゲームの3つ目のルートなのだから、そんなことは語るに及ばず、当たり前だと言えばそれだけのことです。ですが、ここでは敢えて明確な理由を語って行きましょう。

前述の通り「HF」はよくある男女の話ですが『Fate/stay night』は厳密にはそういう作品ではありません。ファンタジーともSFとも言い難いような独自性の強い質感、練り込まれた世界観と、信念に燃え尽くす硬派なキャラクターが魅力の作品です。

どちらかと言えば男女関係はサブ的な要素であり、『Fate』という作品のメイン部分ではありません。そんな中で「もし男女関係に突出した未来があったとしたならば」という前提で創られた"よくある話"が「HF」だと思います。

つまり単一で見れば普通の話なのが、前2つのルートの情報を織り込むことで完全に全く恐ろしいほどに別物に見えてしまうという構造になっています。

それはお話の真相が分かる「そうだったのか!」という驚きに留まりません。深いキャラクター性を知ることによって、人間という生き物の本質的な可能性の残酷さを突き付けられるのです。

例えばCMで聞ける「俺は、桜だけの正義の味方になる」という台詞1つにしても、前2ルートの衛宮士郎からはおよそ聞けなかったものですし、キャラクターの口から出る何てことない台詞1つ1つ、行動1つ1つが「え!?」とか「マジ!?」とか驚きに変わって行く面白さがあるのが「HF」です。情報量が多すぎて頭が痛くなります。

「前のルートではあんなこと言ってても、いざこういう場面に直面するとこうするかもしれないのか」という状況にショックを受けることもしばしば。明るいシーンでも何とも言えないモヤモヤがあったり、昏いシーンでも妙な納得があったり…。

目の前に体現されている映像からストレートに感じ取れるものとは違う感情が、自分の中に渦巻いて行くのが分かります。それがこの「HF」という章の面白さなのではないかという印象を持っています。

なので絶対に言っておきたいのは、「HF」の映画を観たら前の2つのルートについても絶対に何らかの形で見てほしいということ。そして欲を言えばその後にもう一度「HF」を観てみてほしいということ。

他の作品ではなかなか味わえない「全てが繋がっていく感覚」が味わえる。それが『Fate』という作品の最大の醍醐味であると思います。

前2ルート「Fate」と「UBW」を知っている人達が今「HF」の映画から受けている感動と興奮を、是非追体験してほしいです。表面的な面白さではなく、全てにグッと来る作品になると思います。

まとめ

長々と語って参りました。

語ってきた上でここで爆弾を投げさせてもらうと、僕「HF」の原作まだやってないんですよ。本当にすみません。

もちろん、長いことネットに漂っているので相応に情報は持っているんですが、展開の全てを知っているわけではありません。だから今回の映画で初めて知ったことがたくさんありますね。凄く、物凄く楽しいです。

そういうこともあり、僕は「映像がどれだけ原作再現されているか」ではなく、「どれだけ映像作品として優れているか」という価値基準で今回の映画のクオリティと向き合うことになりました。その結果がこの感想だと思って頂ければ幸いです。

特にこの映画版は「この作品からFateワールドに入る人もいるかもしれないから」というところまでしっかり気配りが行き届いた創りになっていると思います。1章でプロローグをざっくりすっ飛ばしたりする大胆な創りがあったように優先度は「原作再現」の方が遥かに高いようですが、その中でも初見の面白さを完全に切り捨てているわけではない。

そういった部分についても、原作者のきのこ氏が「映画化に当たり抜本的な改編が必要」と判断していた作品を、原作そのままやるという方向で納得させた須藤監督と、それについて行くufotableスタッフの意地とプライドが感じられます。「これだけ観ても面白い」という創りに間違いなくなっているんですよ。

総合して言えるのは、この作品は愛に満ち溢れています。
記事の方向性的に今回の記事では扱っていない音楽や声優さんの演技なども含め、全ての人達がこの『Fate[HF]』を確実に成功させたいと言うか、好きで好きで仕方がないという気持ちがもうとにかく溢れんばかりに伝わってきます。そうでなかったらこんな莫大な労力がかかったクオリティの作品は創れません。

僕はこのブログでも度々「オタクを真に満足させることができるものを創れるのは力を持ったオタクだ」と言っているのですが、この作品は正にそういう経緯で生み出された作品の最頂点に位置するものでしょう。よもやそこま――――ガッ!

このような作品が平成最後の年に観られたこと、受け手として本当に嬉しく思いますし、製作陣への感謝の気持ちでいっぱいです。

これをお読みの皆様にも是非、一刻も早くこの映画の凄さを受け止めに行ってほしいです。言葉にならない感動がきっと待っています。

ではこの記事の最後です。
無理を承知で敢えてこの言葉で締めくくらさせて頂きます。

最終章の今作超えを、心から期待して楽しみにしております!!

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