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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編⑱「追憶*マリオネットの糸の先」

投稿日:2020年7月20日 更新日:

2015年度最後の記事は、初めての「追憶」シリーズ。「追憶*マリオネットの糸の先」を読み解いて参ります。

「マリオネット」はアニメでもかなり序盤に展開されており、まだ本当に"ミリしら"だった頃に夢ノ咲学院の事情などを教えてくれた思い出深いストーリーの1つです。

アニメで扱われた内容の執筆も2ヶ月ぶりくらいのこと。およそ1年前と今では、感じるものも違うでしょう。

個人的な注目株であるValkyrieの参戦イベントでもあります。今の知識と感性での執筆です。今回もよろしければお付き合いください。

アニメと原作の感覚差

まず「マリオネット」のValkyrieについては、アニメの5,6話の記事にて詳細に書き込まれています。そちらも合わせてお読み頂けると幸いです。

キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 第5話 戦乙女の危うい関係 マリオネットの情熱

キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 第6話 糸を切られたマリオネット それぞれの決心

アニメにおけるマリオネットはTrickstarが紅月を倒して英智が登場した直後、「メインストーリー」の途中に挟み込まれる形での展開。アニメ新規からすると最初期のエピソードであり、『あんスタ』の根源的魅力や必要な設定を教えてくれた印象的な物語です。

しかし原作では約10ヶ月コンテンツ展開が行われた後に開催されたイベント。1つ目の返礼祭も終え、細かいキャラ関係や感情も少しずつ固まってきている段階での実装です。ドリフェスについても「当たり前のもの」とユーザーが認識している状態だったでしょう。

なので当然ながら「マリオネット」でも、ここまでに存在するキャラの掘り下げや関係性の提示もしっかりと行われています。アニメではその辺りはあまり深く触れられておらず、あくまでもValkyrieと夢ノ咲学院の事情にスポットを当てた作品創りでした。

どちらにしても「そうだったのか」という気付きが多い物語ではあるのですが、扱われ方の違いによってどこにその感嘆を覚えるかが大きく異なっている印象です。

例えばアニメで仁兎の個人的な一面がフィーチャーされたのはこの「マリオネット」です。その結果、アニメ新規的には「Ra*bitsの仁兎には実はこんな過去があった」ではなく「元Valkyrieの仁兎は今Ra*bitsのリーダーをやっている」という認識になっています(※個人の感想です)

記憶の中では嵐も「マリオネット」が初登場です。
原作では現在の嵐を知った上で影片とのやり取りを見ることもあり、原作では嵐やKnightsを知る上でかなり重要なイベントの1つとなっています。一方アニメでは主題から外れていたこともあり、当時は全く注目できませんでした(原作も新情報公開を除けば、影片のキャラ見せが中心)

他にも終盤では渉と友也の関係性も深められています。
「怪盗VS探偵団」を見た後だと色々とクスッとさせられてしまうのですが、アニメではそもそも渉もこの時が初登場です。英智との関係性も不明どころか英智のパーソナリティも不明だったので、本当に全てが謎の人でした。

このように「マリオネット」はValkyrie周りについては概ね齟齬なくアニメで語り切られているものの、その他の部分については感じ方がかなり異なっていると思います。

まずはその辺りの感覚差を中心に物語に触れて行きましょう。

今回活躍したキャラクター達

ではValkyrie以外のキャラクターたちについて、今の知識と感覚で改めて解釈して行きましょう。

鳴上嵐

どことなくではないレベルで椚先生をコピーしている1年生。

憧れている存在の真似をしたくなるのは当然のことであり、当時は今以上に椚に心酔していたであろうことが伺えます。特に1年生という精神の幼い時期であれば、より納得ができます。

しかしそれを現代ではやめてしまっているというのが気がかりです。彼は今でも椚先生への気持ちが失せたわけではなく、愛を向ける対象であることには変わりません。

にも関わらずスタンスが変わったということは、椚とは大きく関係のない気持ちの転換点がどこかにあるのだろうと考えられます。

影片との"ガールズトーク"を聴くに、この時点ではKnightsに対する個人的な感情もかなり希薄なよう。嵐はメンバーの中でも「Knights」というユニットそのものに愛を向けている方ですから、その辺りともリンクした大きな事件がどこかにあるのでしょう。

話の中に「ブチギレまくる月永レオ」と「新選組のようなKnights」という到底知り得ないミステリー存在が登場していますし、今後への伏線が多分に盛られた内容です。

いわゆる何度もリクエストメッセージを頂いている「チェ…」がこれらを扱った内容なのだと推察中。少し分かってきた。順番を見るにもう少し先ですが、そう遠くない未来で出会うことができるストーリー。そちらへの期待も高まりました。

日々樹渉

強烈に立ち回った後、仁兎を皮肉りながら真面目な話をする。

ここまでのストーリー全体で見ても、取り分け短い時間の間に"日々樹渉"の起伏が激しく出ている印象。改めて見返すと、彼が大事なところを上手くまとめて行ったのがよく分かります。

アニメではこのストーリーで初登場となったわけですが、彼の中に感情の起伏とか機微が存在することは感じ取ることができていました。結果として「マリオネット」で彼に触れたことは、"日々樹渉"の全体像を知る上では割と分かりやすかったのではと感じます。

彼の台詞で改めて拾っておきたいのは、やはり斎宮宗との関係性でしょうか。

アニメ視聴時はまだ「五奇人」という括りもトんだ連中の集団程度にしか把握できておらず、日々樹渉のこともよく分かっていませんでした。日々樹渉にとって"並び立てる者"がどれほど価値ある存在なのか、それを感じ取ることがさすがにできなかったのです。

彼の本懐は演じる者=エンターテイナー、対して斎宮宗は創り出す者=クリエイター。この2つは同じ表現者でありながら全く違った価値観を保有します。

本来混じり合うことのない真逆のタイプですが、彼らは幾何かそれらを兼任する存在でもあります。互いの苦しみを理解し合えることでリスペクトが生まれ、「偏執的な表現者」という点で共感を得ているのかもしれません。

彼らは天才であるが故に、極めれば極めるほどに誰も付いて来られなくなる。努力すればするほど、誰にも理解されない孤独感を味わうことになる。その中で分かり合え高め合える"友"を得ることは、奇跡的で大変に幸運なことです。

特に渉はアイドルとして以前に、人生単位でそれを感じ続けていた人間です。それが分かったことで、彼の「奇人」に対する想いの大きさをより強く実感できたように思います。

このイベントで友也との初期の関係も展開。「怪盗VS探偵団」を履修後の今では、こちらについても終盤のゴタゴタを違った形で見ることができます。

「私になりなさい、友也くん! そうです、あなたが日々樹渉です……☆」という極めてトンチキな台詞からも、初期の頃の彼への期待感と不安感の存在や、真価を見極める意図を感じ取ることができますね。

ただこの時の渉は、友也が近付いてきてくれたことが本当に嬉しかったはず。それが、彼のテンションから伝わってきます。だからこそ他の者と同様に、彼が自分から去っていくことも考慮に入れないわけには行かなかったでしょう。

きっとその想いと友たる斎宮宗を想う気持ちが合わさって、彼は仁兎なずなに真白友也を託すことにしました。それはたまたまそこに居合わせただけの偶然に過ぎなかったのかもしれないけれど、結果として止まったものが再び動くキッカケを作ったのは日々樹渉だったのです。

その決断が一旦Valkyrieの関係性を壊すことになったとしても、全てが壊れているよりはずっと良い。何かを壊すことで他の何かが蘇るなら、何もしないことを選ぶわけには行かない。そして日々樹渉は、その残酷な役を担える存在として常に行動しているように感じます。

今この場において何がハッピーエンドへの布石となり得るのか、彼が最優先で考えるのはいついかなる時もそればかりです。

それならば彼の、"日々樹渉の幸せ"はどこにあるのか。それを導いてくれるのは一体誰なのか。その先が見られることを祈りたい。そう感じています。

Ra*bits

男女を見分ける手段として「おっぱいを触る」のは本当に失礼だからやめろ。ちゃんと道徳の授業を受けろ。

元々存在していたユニットに仁兎が後加入したというのは割と衝撃の事実。ただ仁兎が「新たにユニットを結成した」にはかなり大きな違和感があったので、Ra*bits結成の経緯についてはようやく腑に落ちたというところ。

彼らはValkyrieが実質休止していなければ、仁兎が路頭に迷っていなければ、友也が演劇部に入っていなければ、あの時に渉と仁兎が出会わなければ、活動することなく潰えていたかもしれないユニットです。

さらに元を辿れば創と友也が夢ノ咲に忍び込んでいなければ、あの時あの日にあのドリフェスを見ていなければ…など、「マリオネット」は全てがRa*bitsの結成に終着する物語となっています。

この「マリオネット」の中で起きた全ての偶然が結実させた存在。それがこのRa*bitsです。

プロローグから仁兎が自分の過去を後輩たちに聞かせることから始まるように、これは表向きにはValkyrieの物語であり、その裏側ではRa*bitsの物語でもあったわけですね。

どこまで行っても彼らは表裏一体。
全く関係も面識もないはずのメンバーが、仁兎なずなを介して切り離せない関係性を持っているというのが妙(そしてRa*bitsの衣装を作ったのは…)

その二律は果たして背反するのか、そうではないのか。Valkyrieが参戦した今後は、その辺りにも注目して見て行きたいと思います。

Valkyrieの想い

最後にValkyrieの3人を改めて。

原作ではアニメよりも心情描写が多いこともあり、3人の心情をより詳細に把握することができます。

これは他のストーリーにも言えることですが、その中でも「マリオネット」は沈黙から察さなければならない内容がかなり多い物語。その分、原作での心情加筆から分かることはより多い印象です。

特筆すべきは仁兎なずなのValkyrie及びお師さんへの想いでしょう。

原作を読むと、仁兎は現状や環境に反発しているのであって、ユニットやメンバーにネガティブなわけではないことがより明確に分かります。自ら進んで身を置いた場所のはずなのに、気付いたら自分が最も忌避した連中と同じ穴の狢になっていた。その事実が仁兎を苦しめました。

自分にも思い当たる節があるからこそ人は嫌悪します。「あいつらとは違う」という思い込みが、自らをがんじがらめにしてしまうことも少なくありません。

そしてそれは、斎宮宗にとっても同じことで。宗もまた過去の経験によって自らを縛り付けてしまっていたからこそ、見えていないものがたくさんありました。

彼らは決して人形と操り手ではなく、別々の感情を持った別々の人間です。影片を含め、それぞれが別の角度からValkyrieを大切に想っていて、メンバーを掛け替えのない存在だと認識していました。

その想いを共有することができていれば、きっと彼らの運命は全く違うものになっていただろう。奏でられるスワンソングは、全く別の音色を響かせただろう。そう思えてしまうからこそ、「マリオネット」はより悲痛さを増して心に届きます。

未来へと"動かす"こと

未来には新たな希望があったけれど、3人のValkyrieが戻ってくることはもうない。

大きな絶望を経験することでしか、彼らはそれを掴むことができませんでした。

仁兎があの時Valkyrieの脱退を選ばなければ、違う未来はあったのかもしれません。しかし原作で仁兎も影片と一緒に斎宮の介護に当たっていたことが分かりましたし、斎宮も全くコミュニケーションが取れない状態ではなかったことも語られています。

だから、彼らは3人でできることはやり尽くしていたと言って良い。別の可能性を模索するより他ない状況であったのは間違いないのです。

渉の助言を受けて、仁兎はその可能性を取ることを選びます。それが裏切り者として他の2人に蔑まれる立場に身を置くこと選択だとしても、彼は「何が一番3人のためになるのか」を優先して動きました。

最後に現代にて交わされたやり取りは、大変に歪ながらも彼らのリスタートを確かに感じさせるものでした。

それぞれがどこかで過去の自分たちへの執着や罪悪感を覚えながらも、今の相手の幸せを願っている。これで良い、こうなるしかなかったとどこかで納得しながらも、全てを受け入れることはできない。そんな不安定な感情の動きが、新たな交流となって体現されています。

止まった時間は動き出しました。それは理想とは程遠い形だったとは言え、動きさえすれば変えられるものもある。そんな未来へ可能性を託す物語として、「追憶」は描かれていました。

おわりに

アニメで見た物語ではあったものの、新しいものが数多見られた「マリオネット」。

扱われたタイミングや扱われ方が原作とアニメでは大きく異なったストーリーで、その差を本当に大きく感じられる読後感となりました。

1つの物語としての完成度・完結性もさることながら、作品単位で見れば世界観の大幅な拡張を果たした最初のイベントでもあったはずです。この作品はどうなっていくんだろう。リアルタイムで見届けた人たちは、そんな高揚感を覚えたに違いありません。

それを持って『あんスタ』にとって「マリオネット」が1つの記号的な意味を持つほどに支持されるストーリーである意味も、より深く理解することができました。これが「返礼祭」の後に展開されたこともまた見事な采配です。

長い長い『あんさんぶるスターズ!』の物語。ここに来て、ようやくその全体像を把握できた気がします。さらに深まる物語を、記事執筆と共に楽しみます。

それではまた次回の記事で。今回もお読み頂きありがとうございました。

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