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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編⑭「雪花*流星のストリートライブ」

投稿日:2020年6月18日 更新日:

アプリ『あんさんぶるスターズ!』タイトル画面より

2015年もいよいよ終盤。
14番目に執筆するのは「雪花*流星のストリートライブ」です。

この年のストーリーでは恐らく最も執筆要望が多く来ていたもので、特に2winkPからの熱いメッセージが多い印象でした。

しかしイベントの表題キャラクターは高峯翠。流星隊の物語であることを匂わせているところが、僕の中で認識のズレとなっていたように思います。

その疑問を抱きながら実際に読んでみると、その理由も納得というところ。

『あんスタ』の深淵を色濃く覗くことができた、このストーリーの感想をしたためて参ります。よろしければお付き合いください。

成長した漢 南雲鉄虎

「ストリートライブ」で主に活躍したのはやはり流星隊の面々。流星隊はここまで取り上げたストーリーでも出番が多い方で、2015年だけでもユニット単位の掘り下げはかなり進められている印象です。

今回の内容はその総まとめ的な位置付けで、物語の根幹に存在するのは流星隊だったように思います。

特に成長を描かれる機会が多かった南雲鉄虎について、ここまでの到達点の描写が色濃く為された印象。彼は部活周りでの登場もあり、初年では活躍の機会に恵まれていますね。

紅月に加入する夢に破れて、なし崩し的に入隊した流星隊ではブラックのポジションを与えられた鉄虎。そんな理想と現実のギャップから自分を責め、環境を嫌い、不貞腐れることしかできない期間が長くありました。

そこから彼は「ヒーローショウ」などの機会を経て自分を見つめ直し、だんだんと今の立場の良さを理解できるようになりました。それは転じて、今の自分の良いところを自覚することにも繋がったでしょう。

理想を全く実現できないどうしようもない自分を、もどかしく感じるのは当たり前です。けれど、その中には今の自分にしか引き出せない輝きが存在しているのもまた事実です。

その輝きが思っているよりも儚く乏しいものならば、もっと自分と向き合って成長して行けば良い。それが理想の自分に近づくとことなのだと、鉄虎はそう思えるようになったのです。

最初はどんな人でも「自分は他の人よりも優れている」と思っているし、思いたいものです。だからこそ「そうではない」ことを自覚するのは大変に難しい。薄々そうだと感づいていても、それを心から自分で認めて噛み締めることは誰もにできることではありません。

だからこそ、自分の弱さを自覚できる者は人より優れた価値観と能力を得られる可能性があるし、元々のポテンシャル以上の存在へと自分を成長させる資格を持ちます。

人は成長すれば、考え方も変化する。昨日とは全く違うになることもできる。そんな可能性を鉄虎は見せてくれていると思います。

守沢千秋の考え

そんな鉄虎の変化の影には、彼を見守るリーダー 守沢千秋の姿が。

ブラックの地位に納得していないであろう彼に、今回はレッドを担当してみないかと持ちかけました。

昔の鉄虎なら、何も迷うことなくその提案を受け入れてセンターに立ったに違いありません。ですが今の鉄虎は逆に迷うことなく、その提案を飲まずに"自分"を受け入れられる男へと成長していました。

自らのことを太陽の黒点に過ぎないと恥じた鉄虎は、ここに来てその事実を「今はまだその程度だ」とし、前向きに自分を断じました。冷静に自身の立ち位置を見極めた上で、より高みを目指す努力をすることに決めたのです。

千秋もまた過去に何かを抱える男として、自身の弱点と向き合う時期があったのでしょう。今もその最中かもしれません。

だからただ単純に鉄虎の気持ちを汲んで"甘え"を許したわけではないと思います。「今の南雲になら、この問いかけをしてみても良い」と、そう思えたから彼と向き合うことを選んだはずです。

それによって得られた結果は、鉄虎の確固たる成長を意味していました。千秋にとってはほほえましくもあり、頼もしくもあるものだったことでしょう。リーダーたる自身の成果として、安堵を感じている面もあるのかもしれません。

これまでの内容から察するに、流星隊の1年生メンバーは何らかの理由で自己肯定が低く、そこから抜け出したいともがき苦しんでいる男の子たちばかりだと思っています。それぞれが乗り越えなければならない壁の前に立っているはずです。

の壁を乗り越えたアイドルの第1号として、南雲鉄虎は「ストリートライブ」で輝きを見せてくれました。他のメンバーも、それに続いていくことに期待しようと思います。

そして千秋はきっと、そういうメンバーを意識して集めて今の流星隊を作り上げています。

それがどんな意味と理由を持つものなのかも、今後の流星隊を見て行く上でのポイントだと思っています。アニメの「スーパーノヴァ」の時にも感じた、千秋の過去に眠るものの正体を知る日が楽しみです。

すれ違う2wink

「ストリートライブ」で最注目しておきたいキャラクターは、多くのメッセージを頂いていた通り2winkの葵兄弟でした。

確かに彼らは物語進行の中心にいたわけではなく、イベントのトップを張るべきではなかったのだろうと思います。そういう意味で流星隊の翠が表題キャラとなったのは納得です。

しかし、サイドで展開された彼らのエピソードはあまりにも痛烈で。流星隊が発展とすれば、2winkはここが始まりでした。その内容が言葉を失うものであった2winkの方に衝撃を受けた方が多いのも、また納得できます。

過去に読んだストーリーにおける葵兄弟の関係性は、弟のゆうたが兄のひなたの独善さに苦言を呈すようなものがほとんどです。何だかんだ信頼関係はありつつも、今は兄のやり方に賛同できない弟がいる。そんな2人に見えていました。

だんだんと弟の反発は強くなっていき、一心同体の2人として振る舞う2winkの活動にも支障が出かねない状況に。

それを知ってか知らずか、のらりくらりと受け流し続けてしまう兄の姿がありました。裏を読まずに内容と台詞だけで想像を及ばせれば、そうにしか見えないと言っても過言ではないような関係性だったと思います。

周りにとっても自分にとっても仲良し兄弟のはずが、周りも自分も気付いた時にはどこかギクシャクした2人に。こんな未来を誰が望んだというのでしょう。

しかしそうなったのにはもっと根深い理由があることが、この「ストリートライブ」では判明します。

兄と弟、想い合う2人の残酷なすれ違いがあったのです。

今回でその中身が、初めて紐解かれることになりました。

ぶつかり合うことの意味

葵兄弟にはまず、生い立ちに複雑な事情がありました。

実の父親に「双子」であることを気持ち悪がられるという、あまりにも乗り越え難い感情を幼少期にぶつけられていたとのこと。育ての親を「父親らしきひと」と呼んでいたり、曲芸でお金を稼がざるを得なかったこともこの辺りの事情が関係しているのでしょう。

その悪感情をぶつけられたひなたは、「2人が別の人間だと分かるようになれば良いのだ」と思い至ってしまいます。

それから彼は努めて弟と違ったことをし、違ったものを好きになるよう生きてきたわけです。ひなたの思惑通りならば、それで全ては解決する。そのはずでした。

ところが、実際にそうなることはありません。そしてその決意の障害となったのは、他でもない弟のゆうた本人なのでした。

彼は兄と離れることを決して望んでおらず、ひなたの想いに反して彼の後追いを続けます。2人で1つの双子で有り続けることを、ゆうたは望んだのです。

兄が自分と違う方向を向くのなら、自分がその方向に合わせる。兄が自分から離れて行こうとするのなら、その兄を追いかけて捕まえる。それが葵ゆうた"個人"が持つ意志に他なりませんでした。

それにどれだけ兄が困らせられたことでしょう。そしてその兄に、どれだけ弟が困らせられたことでしょう。

彼らは昔の自分たちが大好きでした。
何も考えずに「2人で1つ」でいられた頃の自分たちが2人とも大好きで、それを壊すことを2人とも望んではいなかった。

ひなたはそれを壊すことで、せめて大好きな弟に大好きなままでいてもらうことを選びました。ゆうたはそれで壊れて行く兄を見るくらいなら、一緒に壊れていく未来を選びました。

互いが持っていた大切な過去の思い出。その幻想に対する想いの向け方を、彼らは違えてしまっていました。

どちらの感情も正しく真っ当で、間違いではありません。何故ならこの問題は、彼らをそうさせてしまった人間に問題があるものだから。その解決を彼らだけで果たすことは、絶対にできないものだからです。

どちらも望むものは同じなのに、お互いの望みを共有することはできない。彼らが兄であり弟であり、立場も境遇も全く同じではない"個人"である以上、互いを想う気持ちは絶対に同じにはならない。にも関わらず、彼らはまだ「2人で1つ」でいられてしまったから、その齟齬に苦しむことになったのです。

だから彼らはすれ違い続けて、この時に初めてぶつかり合うことができました。鉄虎が言うように、「もっと早く話し合えていればこうはならなかった」のかもしれません。それも正しい理屈です。でも、彼らはこうならないと話し合うことができない関係だったのもまた事実だと思います。

それは彼らがもう2人だけの葵兄弟ではなく、夢ノ咲学院のアイドルとしてここに在るようになったから。

違った友人を持ち、違った感性を育む"個人"としての道を彼らは歩き始めたことで、彼らの想いは何時しかぶつかるようになりました。そして人にはぶつかるようになって初めて、話し合いが可能になることもたくさんあります。

互いが互いを想い続けているだけでは見えなかった世界が、今の彼らには見えています。そうなって初めて分かったことを持って、彼らは「これまでの自分達」をぶつけ合うことができるようになったのだと思います。

どうしても「2人で1つ」を望んだ弟は、アイドルを始めたことで"個性"の必要性を知りました。その弟を大事に尊重し続けた兄は、初めて弟が自分から離れて行く感覚を知りました。

全く違った感性を得たことで、彼らはようやく壊れて行くだけのものを繋ぎ止める生き方から、解脱するチャンスを掴んだのです。

昔の葵兄弟を取り戻すことは、きっともうできないのでしょう。けれど、その幻影を追いかける必要もまた無くなりつつあります。

今回の件で昔よりももっと仲の良い2人を目指すことが、彼らはこの時ようやくできるようになったはずです。

この「ストリートライブ」がようやくスタートライン。
自己満足の想いを乗り越えて、互いが互いを本当の意味で理解し合える"想い合い"を。

まだ双子の感情はぐちゃぐちゃとしたまま未解決な状態です。けれど、この日その先端を見つけることはできたと思います。ここからあとは、それを丁寧にほどいて行けば良いだけです。

その未来が行き着き先を、今後のストーリーで是非とも見せて頂きましょう。

今回活躍したキャラクター達

では今回活躍したその他のキャラクターを見て行きましょう。

高峯翠

表題キャラの割に本筋にはあまり絡んできていない少年。

どちらかと言うと「こじらせていた部分がよりこじれた」という感じで、余計にネガティブに落ちて行ってしまった印象。そういう意味では新境地を開いたと言えなくもない。

実際カードイラストも決してポジティブな印象を持つものではありません。今回は鉄虎など他のキャラクターが活躍したことによって、相対的にネガティブ部分で目立ってしまった形。活躍した、とは言えないかもしれませんね。

翠についてはアニメの「スーパーノヴァ」で中学時代の同級生とのエピソードが拾われていたと記憶しているので、より深みを見せてくれるのはもう少し先だと思っています。

その時が来るまでは、彼の何とも言えない弱々しさを楽しむフェイズ。落ちれば落ちるほど、上がる時に味が出る。そういうタイプのキャラですからね。

仙石忍

今回も個人的な活躍はあまりなかった忍くん。

しかしながら、ゆうたと行動を共にするキャラクターとして葵兄弟の関係性部分に一枚噛んでおり、物語的には重要な役割を果たしたキャラクター。

葵兄弟のターニングポイントには「全く異なったタイプの同級生と友人関係を築いている」ことが大きく関わっています。鉄虎と忍はその点で対比的に葵兄弟の違いを伝える活躍をしてくれていたのです。

ただ彼自身があまり事の重大さを理解していない感じなことや、最後の兄弟の会話に参入しなかった(鉄虎は入っていた)ことなどが、この物語における彼の役回りと少しリンクしているのにクスッと来てしまうなぁと。

流星隊の中でもイマイチよく分からないままよく分かっていない男の子。だんだんイメージが「いてくれると和むマスコット」で固まりつつある都合上、そろそろ一発カッコいいところを見せてほしい思いも募ります。

深海奏汰

死にかけの魚。
これでもかなり人間っぽくはなった(千秋談)

千秋との深い関係性を匂わせまくるのは相変わらずですが、今回も詳しいことは分からず。

奏汰はひらがなばかりで間の抜けた台詞を展開するのが特徴的ながら、先輩としての威厳(?)はそこはかとなく感じるのが面白いところです。

余裕がある…と言うと語弊があるかもしれませんが、常に一定のテンションで慌てず騒がずに。それでいて意外と的確な言葉を相手にかけることができるので、謎の説得力を持っているなと感じます。言霊が宿っているという感じでしょうか。

何も考えていなさそうで、決してそういうわけではない。むしろ何かをよく考えているようにさえ感じる。

その辺りのキャラクター性が、千秋の過去や他の奇人たちと良好な関係性を築けるところに関係しているのだと思っています。

伏見弓弦

絵が壊滅的に下手。唯一の弱点?

今回はその絵の下手さとゆるキャラがリンクしたことで、翠とあまりにも数奇な縁を結ぶことになった彼。恐らく夢ノ咲学院史を洗っても他に類を見ないであろう特殊な関係では?

今度この関係が掘り返されることはあるのか…何かに絡んでくるものなのか…。到底想像できませんが、妄想の範囲で楽しむには面白い関係性であるのも事実ですね。

前半では意味深な台詞を並べていたり、後半で「趣味を仕事にすると逃げ場がなくなる」という切実な想いを吐露している姿が見受けられます。

「ストリートライブ」は時期的にはSSを間近に控えた物語になります。この時点ではまだ存在していないストーリーですが、SSへの伏線としての描写ではないかと思います。アニメから入っていると、既にここで憶測を巡らせることができますね。

状況を鑑みるに、裏で色々とやってくれていたのだろうと思いますしね。学院を挙げてのTrickstarの援護。あの詳細を見るのも、今後の楽しみの1つです。

ところで流星隊をパーティーに連れて行くと、本当に桃李は喜ぶのだろうか。桃李がそういうキャラなのか、弓弦がその辺りを誤認しているのか、単純に同級生が多いから楽しいのか。細かいことながら気になるポイントでした。

おわりに

「雪花*流星のストリートライブ」もまた、深い関係性の描写が魅力的なストーリー。

どんどん温まってきたなと感じるような深淵が見えてきたと思います。

でもまだまだ手探りな時期には変わりません。この時点でこれだけ深みを見せてくれているわけなので、今後はどんどん深く深く入っていくのは確実です。と期待して行きたいです。

アニメ視聴時から考えると「2winkの葵兄弟は原作を読むと印象が大きく変わるだろう」と言われてもう9ヶ月近く経つと思いますが、ついにその1ページ目に辿り着いたかと思うと感慨深いものがあります。

去年以前に頂いていたメッセージに書かれていたことは意外と覚えていて、その1つ1つが明らかになっていくのは原作を読み進めることへのモチベーションにもなっています。

新しいことが判明していくこと自体も楽しんでいますが、「ここを知ってほしい」と言われていた部分を知れるのはまた違った喜びがありますね。

そういう機会もどんどん増えて行くでしょう。マイペースな更新にはなると思いますが、今後ともお付き合い頂ければ幸いです。

ではまた次の記事でお会い致しましょう。それでは。

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