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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編⑬「スカウト!熱血硬派」

投稿日:2020年6月9日 更新日:

アプリ『あんさんぶるスターズ!』タイトル画面より

今回は「スカウト!熱血硬派」です。
部活を軸に据えたストーリーの感想を書くのはこれが初めてですね。

部活動はアニメでも存在はほのめかされていたものの、その中の関係性が取り上げられたケースは極わずかでした。

この「熱血硬派」は『ズ!!』突入前の無料公開キャンペーンにて公開されていたストーリーで、部活動系の中でも印象的なものとして扱われていたことが分かります。

アイドル活動と離れた日常のようで、全く無関係というわけでもない。そんないつもと少し雰囲気のストーリーを読み解いていきます。よろしければお付き合いくださいませ。

部活動を取り巻く物語

「熱血硬派」はトップ絵通りに鬼龍紅郎、そして彼が所属する空手部をメインに据えた物語。

同じく空手部で彼を尊敬する南雲鉄虎との兼ね合いで流星隊もユニット単位で登場。その中で千秋が部長を務めるバスケ部もフィーチャーされるなど、芋づる式に関連するキャラクターが活躍しました。

空手部→鉄虎→流星隊→千秋→バスケ部と、普段はほぼ絡みがないであろうメンバーが(こちらが納得できる流れで)畳みかけるように話に噛んでくるのが魅力的です。

その中身は学園ドラマに出演する鬼龍に皆で演技指導(?)を行うというドンチャン騒ぎで、普段のストーリーとは全く異なった雰囲気に。珍しく外部から仕事のオファーを受ける話でもあるなど、アニメ含むここまででは見られなかった一面がよく見える内容だったと思います。

生真面目な鬼龍と、一度始めたら止まらない千秋に半ば付き合わされる形で徹夜を強いられる鉄虎と翠。さして関与の薄い分「付き合いきれない」と帰っていくTrickstarの2人など、立場の差が行動に現れているのも面白いですね。

基本的に『あんスタ』は、常に何かに実直に挑むキャラの姿がメインに取り上げられています。特にTrickstarであるスバルと真緒は、ラフな立ち位置からライトに絡んできて雑に去っていくことがあまり無い立場。今回は学生としてのスバルと真緒を見れたようで微笑ましく思えてしまいました。

全体通して和やかな空気に包まれたストーリーでしたが、完全なオフとはまた異なった空気感。真面目ではあるけれど温度差がある。そんな部活動ならではの語り口が印象的な物語だったと思います。

漢の中の漢 鬼龍紅郎

今回メインで扱っておきたいのはもちろん、我らが大将 鬼龍紅郎です。

アニメでは様々なエピソードで少しずつ印象的な活躍を見せてくれながらも、彼自身の個性やプライベートな事情などは一切語られることなく終わってしまったキャラの1人でもあります。印象には残ったが、よく分かっていないというイメージでした。

キャラとしては、粗暴な見た目に対して裁縫が得意であったり「暴力では何も解決できない」と言い切ったりするところがあり、外と中のギャップで魅力を演出するキャラなのは間違いないと言ったところでした。

この「熱血硬派」で確実になったのは、想像以上にギャップポイントが多すぎるということでしょう。

「THE 応援団長!衣装がよく似合う!」と声高に言いたくなるのに、実際は大きな声を出すのが苦手だったり、緊張(?)で演技が滅茶苦茶なりがちだったり。アイドルなのに意外と自己表現が苦手に見えるのが面白いところ。

今回の彼を見ていると、紅月の活動は「自分のスタイルに合っているからできる」のであって、元々人前に立つのが得意でもないし器用でもないのかもしれないなと思わされます。

にも関わらずその振る舞いは常に落ち着いていて、自分のミスに激しく動じることもない。"泰然自若"の四文字がよく似合いすぎる漢らしさ。それを常に維持できる人間で、人格の乱れがあまり感じられません。

確かにギャップは存在しているのですが、そのギャップがキャラを乱すものではないことが特徴的です。

あくまで表面的な"鬼龍紅郎"はそのままに、「意外とそんな一面もあるんですね」と声をかけたくなるようなリアリティがあるのです。媚びてない。そこが良い!

それはきっと彼が自分自身に正直に生きていて、目の前のものに常に実直に向き合っているからそう見えるのでしょう。

「男なのに」とか「こんな見た目で」とか気にしてそうな要素が多いのに、ありふれたコンプレックスのようなものを感じないんですよね。自分を構成する要素をしっかり受け入れ、ありのままの自分で生きていることに屈託がない気がします。そういう生き方ってなかなかできるものではないですよね。

そんな彼だからこそ苦手分野だったはずの演技も、努力で自分のものにできてしまう。自分に憂いがない(あってもそれを表に出さない)からこそ、何事も正面突破で攻略できる。そんな漢の中の漢です。

もちろん彼にも抱えている悩みや乗り越えるべき壁はあるはずです。でも、きっとそういうものも誰にも頼らずに自分で解決できてしまうんだろう。そんな幻想を抱かせるような存在で、鉄虎が強い憧れを抱くのも理解できます。

正に男が憧れるカッコイイ"漢"を地で行く存在。
それも形式的なキャラ付けではなく、説得力のある内面からそれを分からせてくるキャラクター。

要素だけ見れば"よくいる"熱血系のキャラなのですが、その内側は一筋縄ではありません。この一歩踏み込んだ深みが、やはり『あんさんぶるスターズ!』らしさだなぁと改めて感じさせてくれるキャラクターです。

妹との関係性

他エピソードでも存在は語られていましたが、このストーリーで妹が初めて物語に登場しました。

妹がアイドルに憧れていたからという、非常にばっくりとした理由でアイドルを志した鬼龍。シスコンここに極まれりと最初は思ったものです。

ですがその裏には、受験期に母親を亡くしてしまったという非常にショッキングな事実がありました。

今回はギャップだらけで完全にオモシロ男と化した鬼龍のギャップを楽しんで終わりだと油断していたので、あまりの唐突な告白に「待て待て待て」と声が出てしまいました。すぐ何事もなかったかのように元の話に戻るし。振れ幅よ。

当時の感情の逃げ口として、妹のことを利用したという鬼龍。それについて「自分が兄の人生を変えてしまった」と責任を感じる妹。

その言葉通りに、外野から彼らの行動を片付けるのは簡単なことです。しかし彼ら兄妹はその行動を互いに相手を想い合うための出来事として記憶していました。それだけでも彼らの関係性が極めて良好なものであることが伝わります。

若い彼らです。物事を始める・決めるキッカケなんてものは、そんな高尚であるわけがありません。一時の感情で人生を決めかねない重大な決断をしてしまうのが普通でしょう。それが家族との別れともなれば尚更のことのはず。

だからこそ、その決断が迎えた結果だけが重要だと思います。

鬼龍は(自分の中では)満足な動機ではないにせよ、夢ノ咲学院で掛け替えのない仲間を得て、アイドルとして情熱を燃やせるようになりました。それはその決断が間違いでなかったことの証明に他なりません。

彼は今では「妹のため」だけにアイドルをしているわけではないですし、ましてや微塵たりとも「妹のせいでこうなった」だなんて思っていないでしょう。

だから妹さんもそれを気に病む必要はないのです。鬼龍の中に妹さんを想う気持ちは当然あるでしょうし、それは今のモチベーションの1つでもあるはずです。妹さんにとっては自責の念に駆られる内容であっても、鬼龍にとっては自分意志です。

相手に強制されて動いたことと、相手のことを想って自分から動いたことは似て全く非なるもの。自分の愛する存在のために動けることは本人とっては純粋な喜びで、それが鬼龍の心に影を落とすことはありません。

同様に、鬼龍が持つ「妹を逃げ道にした」という自責もまた、彼女を傷つけるものではないでしょう。

けれど、当人たちはそんな簡単に割り切れるわけないですよね。互いのことを大切に思っているが故に、いつまででもその責任を感じ続けることになる。相手のことを想う自分の気持ちで自分を縛り続けることになるのかもしれません。それは幸福とも言えるし不幸とも言えることです。

ただ、互いが互いに対して、それを分かった上で責任を感じて向き合っている。この事実がまた、鬼龍兄妹の絆の強さを確固たるものしてくれていると感じます。

母親を亡くした3年ほど前に彼らの身に何があったのかはまだ分かりませんが、それが分かった時にはもっと深まるのかもしれません。この先を見るのを楽しみに待ちたいと思います。

今回活躍したキャラクター達

ではその他のキャラについても少しずつピックアップして行きましょう。

南雲鉄虎

空手部メインのストーリーですが、今回は千秋と鬼龍を引き合わせる役割に徹した印象。

個人的に目立ったところはないものの、鬼龍を大将に持ち、千秋をユニットリーダーに持つ彼は今回のストーリーで最も中立的な存在。

2人の良いところと悪いところを知っている彼のおかげで物語が出来上がっている、という意味で非常に重要な存在でした。

今回は、熱い(暑い?)先輩2人から得られる情報や経験を蓄える時間になりましたね。次の活躍に期待です。

守沢千秋

テンションがアレな割に、実は発言の内容が普通だということに最近気付いた。

と言うか薄々気付いていたことが今回で明確になった感じです。アニメでは表面的な要素に合った台詞が抜かれていたので主に"そういうキャラ"でしたが、原作は笑顔で普通のことを言うシーンが圧倒的に多いのです。

そして今回で鬼龍との間にプライベートな関係が明らかになったことで、やはり過去は今とは違うタイプの人間だったんだろうなと思わされました。翠が「昔の守沢に似てる」と言われていたのが彼を知る上でキーになりそうですね。

流星隊は激重エピ多めと聞いている理由が少しずつ見えてきたかな…というところ。さてさて…。

高峯翠

巻き込まれマン。
バスケ部で流星隊というだけで、はっきり言って無関係なのに何故か最後まで付き合わされてしまった。今回の完全なる被害者。

いつもはネガティブすぎるきらいがある彼も、今回ばかりは100:0で許される。よく寝てね。

衣更真緒

アニメではスバルと千秋の関係性が中心に扱われていましたが、実は彼もバスケ部員。千秋とまともに会話をしているところを見たのは初めてだったように思います。

絶妙なバランス感覚によって集団の中での自分のベストな立ち位置を見極められる真緒と、意外と周りのことをよく見て分析できる千秋。

案外、通じ合うところがあるのかもしれません。

真緒のことはアニメの「オータムライブ」で少し深めていますが、原作ではまだまだ先の話。2人の濃い関係性が見えるとしたら、だいぶ先かな?待ちましょう追いましょう。

明星スバル

特に何もしていない。
のであえて言うことはない。

のですが、アニメ新規としては完全なる脇に回ることが珍しい存在という印象なので、今回の扱いは割と新鮮でした。

こういうところが見えるのも、多重展開が行われている原作の良いところですね。

おわりに

「スカウト!熱血硬派」は、また今までにないスタイルの物語。「アイドル活動ではないが本気である」という理由から、より彼らの「性格的な部分」が表出して見られるのが魅力的だと思いました。

元々キャラの数が多くユニットを押さえるだけでも大変なのに、その彼らが学生として部活動と学年クラスで異なったコミュニティと関係性を築いているなんて混迷の極みと言って過言でない状態。初めて知った時は「一体何の意味が…」と思ったものです。

けれどそこには、その関係性が存在している意味、そこでしか見られない姿をしっかりと演出する必要性も考えられた物語が存在していました。そこまで綿密に考えられた作品なのだとまた認識を新たにすることができましたね。

原作の読み方も理解できてきたところで、2015年もあとわずか。いよいよ最初の年末の大物に迫っていきましょう。

それではまた次の記事で。よろしくお願い致します。

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