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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編⑫「幕開け!夢ノ咲サーカス」

投稿日:2020年5月30日 更新日:

アプリ『あんさんぶるスターズ!』タイトル画面より

12記事目。ついに1ダース。アニメ1クール分程度の記事を積み重ねてきましたね。ではここで一旦時を戻そう。

今回取り上げるのは「幕開け!夢ノ咲サーカス」です。
そろそろfineがメインの話について書きたいなぁと思っていたので、気持ちのタイミング的にもベストでした。

アニメでは中核のキャラクターとして天祥院英智個人がかなり掘り下げられたと思いますが、fineというユニット単位で考えると、あまり目立った活躍がなかったように思います。

というわけでまずは最初期のイベントストーリーから、彼らの関係性を紐解いて行きましょう。お付き合いくださいませ。

王者たる活躍を見せるfine

「夢ノ咲サーカス」はfine(主に英智と桃李)を中心に据えた内容。
2winkとfineという組み合わせなど、アニメでもあまり見られなかった関係性が紡がれるストーリーでした。

皇帝をリーダーに持つ学院最強のアイドルでありながら、ストーリー上の役回りとしてはTrickstarに打破されるラスボス枠。作品によっては「設定上は強い」で終わらせられてしまうことも多いポジションに座っている彼らが、文字通り"最強"を体現する物語でした。

今回開催されたドリフェス「サーカス」は、学院内だけでなく外部を巻き込んだ大規模なもの。その中でも「興業」として成立している辺り、最大規模のものだと考えられます。ドリフェスの位置付けを考えると、SSに匹敵するほど重要度の高い存在なのではないでしょうか。

DDDでは辛酸を舐めたものの、学院最強のアイドルとしてより高みを目指すために努力するfine。革命からまた新たな境地へと至った英智をはじめ、自分の無力さを嘆いて(まだまだ文句を垂れつつも)努力を怠らなくなった桃李の姿が印象的です。

それを見守る弓弦や渉を含めてサーカスで彼らが体現したパフォーマンスは、この作品が単純なTrickstarのサクセスストーリーではないことを明示してくるかのようでした。

新たな局面へと向かいながらも、王者としての余裕に満ち溢れた堂々たる活躍を見せてくれたfine。アニメでは見られなかった活躍が見られて、今後への期待も高まりました。

姫宮桃李を取り巻く者

キャラクターとして最も注目しておきたいのは、やはりfineの天使 姫宮桃李でしょう。

DDDでTrickstarに敗れたことで精神面での変化・成長が見られるようになり、それが行動にも表れるように。彼については、その部分がまず大きく取り上げられるストーリーでした。この点はアニメでも十分に読み取れる彼のキャラクター性だったと思います。

それとは別にこのストーリーを読んでより深まったのは、桃李と英智の関係性です。アニメにおいても桃李→英智の矢印は大きい感情を伴うものでしたが、一方で英智が彼のことをどう思っているかは詳細に語られませんでした。

英智が桃李からの好意を大切なものだと思っていることは伝わってきていたものの、どの程度の受け止め方をしているのかは不明な状態だったと思います。それが最序盤にしてかなり細かく分かったのは少し驚きでした。もう少し後で語られることだと思っていたので。

桃李からの好意を最大限の厚意で受け止め、彼の理想に沿った存在であろうと努力する。まだまだ幼い桃李のために、憧れの存在である自分はそのイメージを決して崩してはいけないと考える。そんな天祥院英智という個人の健気な感情が垣間見える一幕です。

原作ではこの時点では英智の過去が判明していないこともあり、彼はドライな皇帝としての一面のみが強調されたキャラクターだったはず。だからこそ桃李の好意を真摯に受け止める彼の姿は、その奥底にある人間性を想像するヒントになっていたのではないかと思います。

英智のために努力する桃李のために、英智は最良の皇帝としての自分を演じ続ける。英智は桃李のために。桃李は英智のために。その循環によって彼らの関係性は成立しています。

それはいつかどこかで崩れてしまうかもしれない危うさを孕むものではありますが、アニメの「スターライトフェスティバル」を見る限り、その関係が辿り着く先に光があるようです。そこに至るまでの経緯を、順番に見させてもらいましょう。

転校生との関係性

次に原作での桃李のキャラクターを語る上で外せないのは、転校生(あんず)との関係性です。

アニメではあんずがTrickstarの女神として描かれていた都合上、他キャラとの絡みが原作よりも希薄です。桃李はその煽りをかなり大きく受けたキャラクターの1人だと思います。

と言うのも、原作の桃李はあんずとの距離の近さによってキャラの魅力が表現されている印象があるからです。

口も態度も悪いけれど、根はすごく優しくて無垢な男の子。根元がただひたすらに幼いだけであって、彼自身が持っている人間性は紛れもなく"光"である。英智という目上の存在以外に好意を向ける対象が存在することで、彼の根本的な"心"がより伝わりやすい形になっているのです。

アニメはその辺りをニュアンスで表現していましたし、普通に見ていれば彼が悪人でないことは分かります。しかしこれほどまでに直接的な愛情表現があると、感じ方はかなり変わるというもの。まぁとにかく可愛いんだよな色んな意味で。どんどん好きになってしまうよ。

桃李は人間性が混迷している『あんスタ』のキャラの中ではキャラクター性がまっすぐで、比較的には直情的で分かりやすいキャラだと感じています。隠しているものはまだまだあるにしても、人間性に裏表がない分スッと入ってきます。

だからアニメの時点から見えているものに違いはありません。ただあんずとのやり取りによって拡張された部分のおかげで、よりその魅力をストレートに感じられるようになったという感じです。

アニメに増して何もかも悪辣なのに、アニメ以上に可愛くて愛らしい存在に見える。あまりにも愛を感じさせられるギャップとバランスです。改めてこのキャラクター創りの奥深さには舌を巻いてしまいますね。

冷静に考えると1つ年上の女の子へのアプローチとしては完全にセクハラの類いだが、『あんスタ』の1年生対あんずは総じて扱いが7歳児なので許される。そうなのだろう多分。

天祥院英智

では桃李と紐付ける形で英智も詳細に。

今回のストーリーでは病弱で長い練習期間が取れないはずの英智が、どのようにしてトップアイドルに君臨したのか。その方法論と熱意の一端も語られました。

膨大な資料と映像を見聞きし、その内容を余すことなく記憶してコピーするという離れ業。イメージの中だけでアイドルとしての自分を昇華させる技術を、彼は身に付けていました。肉体の弱さを頭脳でカバーする、その発想が必要だった英智だけにできるアイドルとしての在り方でしょう。

実際、見て想像しただけで動けること自体が、アイドルとして天性の才能なのは間違いありません。ですが彼はそれに甘えることもなければ、自らの境遇に言い訳することもない。ただ自分が持ち得る才能と状況を最大限理解して利用することで、必要な場面で理想的なパフォーマンスを体現しています。

改めて英智のストイックさをここで再認識。正直なところ、病弱すぎる彼がセンターとして活躍できる理由があるのかはアニメ視聴中から気になっていたので、それが早い段階で回収されたのは良かったです。疑問点に余念を残さない語り口、さすがです。

英智と「皇帝」

そして今回欠かしてはならない活躍と言えば、ライオンに皇帝論を"分からせる"その振る舞い。

正に最強。圧倒的な威光。そもそもライオンが脱走するという分かりやすすぎる展開でもう笑っていたのに、そこからの英智はあまりにも卑怯。

しかしその一方で、作品的にも非常に大事なシーンであったと思います。

ストーリー序盤にあった桃李に関する会話の中で、彼にとって「夢ノ咲学院の生徒会長であり皇帝」という立場は努力して被るものであることが示唆されていました。「エレメント」を知っているかどうかでこの部分の印象は大きく変わるでしょう。

そして晃牙との会話から、彼はライオンと向き合った際に明確に死の恐怖を感じていたことが分かります。つまり英智は恐れれば襲われると考え、平静を装うためにライオンの前で「皇帝」を演じたのです。

このことから英智の中で「皇帝」は、自分の感情から切り離したもう1つの人格として扱われているのが分かります。「皇帝」のスイッチを入れることで、彼はあらゆる障害に立ち向かう勇気と行動力を得られるというわけです。

ライオンに語り聞かせる皇帝論は、自らの境遇と矜持を憂う彼の気持ちも含まれていたと思います。「百獣の王」という概念を前にして、自らの選択と生き方の行く末を自問自答する英智の姿がありました。

表面的な部分だけをさらうと相当にトンチキな内容ですが、その奥底には今後の天祥院英智を深めるための極めて重要なポイントが存在していました。桃李の前でそれに徹することを含めて、fineとの本質的な関係の発展の素地となるシーンだったと思います。

その「皇帝」と切り離して、「英智」として考えられる場所だからこそ彼はfineを愛しているし、その中で「皇帝」を全肯定する桃李もまた特別な存在なのだと思います。

「サーカス」に臨む英智の振る舞いと台詞はいつもより少しだけ晴れやかで、彼が普段隠してしまっている感情の大きさを感じさせます。夢ノ咲学院の頂点に立つユニットとしての矜持が見られたことも含めて、彼にとってもまた重要なストーリーでした。

今回活躍したキャラクター達

ではその他の気になったキャラクターについても、少しずつ触れて行きましょう。

日々樹渉

サーカスだから大活躍かと思いきや、今回は存外に補佐的な立ち回り。

奇人の1人でありながら皇帝と行動を共にする矛盾について触れられていましたが、英智との深い関係性はアニメでそこそこに掘り下げられていたこともあり、今回は既知の情報の範囲に留まったと思います。

特筆すべきは、やはり英智が落下しそうになった時に見せた驚きと焦りの表情。そしてその後に見せた謎の身体能力でしょうね。本当に人間か?

アニメでは英智を中心に関係性の鍵を握る活躍が多く、何かと存在感を見せてくれていた渉。その一方で実はパーソナリティが全く不明なまま。徐々に楽しんで行けたらと思っています。

伏見弓弦

桃李への発言の中にそれとなく攻撃的な言い回しを混ぜたり、安直に言えば少し腹黒っぽさが垣間見える弓弦。

アニメでは「仕える者」としての一面が強調されてた印象ですが、原作では「桃李の教育係」としての活躍も随所に見られます。桃李の暴言をある程度までは良しとしていながらも、お目付け役としての威圧感を醸すことも忘れてはいない、という感じでしょうか。

桃李との関係性はあくまで幼馴染だと語られています。
ですがその関係性には家柄の絡みもあり、アニメで語られた茨との過去も含めるとキャラクター性の混迷が見られます。

必要な情報だけ開示されて投げ飛ばされてしまっているイメージで、実際かなり"謎"だらけの存在。少しずつ、その正体をつまびらかにして見てあげたいところです。

衣更真緒

お客さんのことを「有象無象」と言ってはいけません!

2wink

表題キャラではありますが、少し先のストーリーを読んでいることもあって、今回改めて語ることは少ない印象。

夢ノ咲学院に入る前、幼い頃からサーカスの修練を積んでいた2人。アイドルとしては1年生ですが、パフォーマーとしては学院屈指の玄人存在なのかもしれません。

そういう設定としてしまえばそれだけのこととは言え、『あんさんぶるスターズ!』的には「どうして幼少期からそんなことをしなければならなかったのか」には思いを馳せておきたいところです。

また今回はゆうたの方から「兄貴を調教~」という言葉が出てきたのも捨て置けません。弟→兄のアプローチが存在していることは、まだあまり語られていなかったと思います。

冗談をあまり言わなさそうなゆうたの発言なのも相まって、無意味ではない気がしてしまいますね。うーん不穏(全てに疑心暗鬼)

おわりに

執筆リクエストが後から来たことで過去に戻っての執筆となりましたが、この「幕開け!夢ノ咲サーカス」は心から読んで良かったと思えるストーリーでした。コメディとシリアスのバランスという点では、ここまでで一番お気に入りのストーリーになりました。

また今回で初めて分かった設定もかなり多く、やはり日日日先生が書いたストーリーは全て読んだ上で感想を書かないといけないなと思わされた次第です。全てのストーリーの記事が書けるわけではありませんが、今後は当該ストーリーには全てに目を通して行こうと思います。

長い戦いですが、1つ読むたびにこう…掻き立てられるものがあるんですよね。血の通った"人間"の物語、味わい深いです。今後とも自分が楽しみ、楽しませる記事をお届けします。よろしくお願いします。

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