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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編②「メインストーリー 一部」(後編)

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アプリ『あんさんぶるスターズ!』タイトル画面より

『あんさんぶるスターズ!!』リリースおめでとうございます!僕もちまちまと楽しませて頂いております。

大きく成長したアイドル達の物語が展開され始めたわけですが、その裏で僕は『ズ!』のストーリーを少しずつ追いかけて行こうと思います。今後ともよろしくお願いします。

前記事
キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 アプリ編①「メインストーリー 一部」(前編)

2つ目の記事は「メインストーリー 一部」の後編。
生徒会長 天祥院英智の登場~DDDの終了までを、アニメの内容と照らし合わせながら紐解いて行きましょう。

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陰鬱ながらも嫌な感じがない

夢ノ咲学院の体質とTrickstarの革命、『あんスタ』全体を取り巻く1つめの大きな動乱が描かれる「一部」の後半。

前編の記事では、「一部(前半)」の内容では原作とアニメの間で大きく印象が変化したキャラはいないと記載しました。後編についてもその点は同様で、基本的には既知の情報の範囲でサクサクと読み進めることができました。

その中で後半はTrickstarの空中分解など、より厳しく熾烈な内容にスポットが当たります。そのため、殺伐とした世界観や全体的に理屈っぽい台詞回しなど、この作品が絶大な支持を集めることになった要因であろう超個性が、より強調されて目と頭に飛び込んできます。

特に英智に掌握されかけたTrickstarの面々の自問自答、立場を考えた上での冷静な葛藤はなかなかに強烈。ここまで自分で自分を苦しめるキャラばかりの作品はあまりないのでは?と思えるほど、全員が理路整然と論破するように自分を追いつめていきます。

天真爛漫キャラとして「なんかよく分かんないけど、俺は嫌なんだよなぁ」で済ませそうなスバルでさえ、「そんな細かく分析して自己嫌悪したら本当に病んでしまうぞ…」と声をかけたくなるほど陰鬱としている徹底ぶり。圧巻です。

ただ、口で全てを語ってくれるおかげで、読んでいる側は彼らがどのような思考によって病んでいるのかが齟齬なく理解できるようになっています。(言い回しは理屈っぽいながらも)物語や感情の動き自体は非常に分かりやすいのです。

含みや匂わせで「結局何なんだよ」と思わせられたり焦らされるような要素が少なく、まとう空気が暗いにも関わらず不思議とあまり嫌な感じがない。これも、鬱要素のオンパレードでありながら読者を放さずに展開できる由縁だろうと思いました。

前半の陰鬱要素はRa*bitsの敗北など仕組みの欠陥によるものですが、後半は完全な人間関係トラブルが主題です。いよいよ原作版『あんスタ』の濃厚さに触れ始めたかなと思い始めた感じですね。

"革命"の構造がより分かりやすく

前項を踏まえた上で、アニメと原作で感じ方の違った部分に触れて行きます。

まず最も大きなポイントとなるのは、天祥院英智の立ち回りと夢ノ咲学院の体制でしょう。

アニメはこの「一部」の合間に「マリオネット」や「エレメント」と言った追憶シリーズを挟む構成だったことで、一部終盤を迎える前に英智の本質を知ることができていました。

原作ではそれは語られることはなく、英智はドライな皇帝としての一面のみが強調されています。と言うより、アニメでは「一部」の英智にも人間味を感じられる要素が足されていたとする方が正しいですね。

さらに本来のSSの出場権(最も出資額の多い生徒の所属するユニットが出場できる)など、アニメでは深く語られなかった全く夢のない設定などが存在していることにより、Trickstarが金や権力と言った社会性の闇と戦っていることがより分かりやすく明示されています。

アニメではあくまで同じ夢ノ咲のアイドルとしてTrickstarとfine(英智)の対決を描いていましたが、原作では英智のバックに付くもっと大きな存在が"敵"であると感じられる構成です。

その他にも、アニメでは会話が削られがちだった紅月メンバーの体制への疑問(特に神崎の英智への不信感)など、表には見えない闇を穿った発言は多いです。アニメでは後半で判明した設定が早々に語られる部分も踏まえると、学院全体の混迷を「一部」内で概ね把握できます。

英智を「悪人ではない」と強調する台詞も多く、佐賀美と椚のような体制に属する者が英智に振り回される描写なども散りばめられています。このことからも、英智を個人として悪者にする意図がないことも伝わります。

総じて原作の「一部」では、Trickstarは一貫して学院の体制そのものと戦っているのだと思えるような展開と台詞回し。文字通り「革命」を起こす彼らの物語であることがストレートに表現されていました。

これは長文で細かく説明台詞を挿入できる文章媒体だからこそできていることで、映像表現で伝えるのは難しいと思える部分も多いです。アニメは公開されたストーリーを踏まえたベストな映像の見せ方を追求した形であり、原作と印象を違えたというような評価をするべきではないだろうと僕は思っています。

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アニメと印象の違う関係性

では続いて個別のキャラクターについてです。

衣更真緒の葛藤

アニメと原作の違いという観点で「一部」を見た時、僕が最も注目したいと思ったのは衣更真緒です。

前編の記事でも書きましたが、原作の初期はアニメよりもTrickstarの仲がかなりチグハグに感じられました。アニメのTrickstarが仲良し度7/10から始まっているとしたら、原作は3/10からスタートしたイメージです。

その問題点の1つとなっていたのが真緒の存在でした。彼は1人だけクラスも違い、生徒会とTrickstarの両方に所属していることもあり、3人と距離感があります。

アニメ序盤の真緒は、その辺りも自分で折り合いをつけて活動しているように見えていましたが、実際は彼自身がそれを「ダブルスパイ」と揶揄しているように、その立場にかなり心を痛めていたのが分かりました。

この事実はTrickstarの空中分解の発端が実は真緒にあり、それが真面目な北斗をより強く縛り付けるジレンマとなる…という結果を生んでいます。人間関係の混迷がより濃く描かれていると言えるでしょう。

アニメと比較すると、原作の真緒からは歳相応の精神的な未熟さが垣間見えます。そしてアニメではその未熟さが概ねカットされていたようですね。

アニメではDDDを北斗、サマーライブを真、オータムライブを真緒、SSをスバルと、大きなステージでそれぞれ1人ずつを掘り下げる構成で話が組まれていたので、DDD時点で衣更真緒に対して不完全燃焼部分が出ないようにするための調整かもしれません。アニメでは、2~3ヶ月真緒がメインの話がないままになってしまうので。

アニメの「オータムライブ」を見れば、真緒が心から達観・諦観して歩み続けてきたわけでは決してないことは分かります。理解の過程に若干差はあるものの、最終的な衣更真緒のキャラ理解を違えていることはないのではないかと思っています。

Trickstarと厄介な先輩たち

続いて注目したいのは、スバルがこの時点で千秋に頂いている感情についてです。想像していた以上に煙たがられている。

 

アニメも序盤すぎてここの関係性にあまり目を配れていない時期でしたが、こんな言われようだったか?ギスギスしている。

まぁこの2人の関係性自体は今回さほど物語に影響はない(どう思われていても千秋の行動と発言には変化がないので)のですが、全体を見ると全く無意味とも言えません。

この時点ではTrickstarの面々には、それぞれ「理解できない感性を持った目上の存在がいる」ことになるからです。

スバル→千秋
北斗→渉
真→瀬名
真緒→蓮巳

と、それぞれが頭を悩ませられる先輩(真緒は立場的に)と相対していて、その存在が彼らが乗り越えなければいけない問題とリンクしている対比構造が取られています。

彼らとのコミュニケーションを通してTrickstarは空中分解を乗り越えて、再び結成に至ることができています。

皆が自分の持っていないものを持ち、それでいて近しい価値観を理解する目上に諭されて本当の自分の在り方に気付く。それが「一部」後半の肝だと分かります。

 

愛の形は人それぞれ。
遠くから見ないと愛だと気付かないこともあるものなのよ。

先生コンビと学院の体制

最後に拾っておきたいのは佐賀美と椚の先生コンビの立ち回りです。

特に椚はアニメでは出番らしい出番がほとんどなかったので、アニメ新規からすると「一部」の時点で彼の人間らしいところがたくさん見えること自体が既に新鮮でした。

彼らの過去の話は「三部」で見ることができるようですが、「一部」の時点では体制側の人間として活躍してくれています。

堅苦しい体制の象徴のようでありながら英智に翻弄される椚と、その体制の綻びその物を象徴するかのような佐賀美のデコボココンビ。体制側であるはずの生徒会と先生達もまた価値観を違える者同士であり、大人もまた完璧な人材ではない。

だからこそ、そこにつけ入る隙がある。
Trickstarのような存在が英雄となり得たのは、腐敗した人間味のない価値観を振るうのもまた人間の思考であるからでしょう。

生徒会が生徒達の実質的な実権を握っているとは言え、その大元には必ず大人の陰があり、大元の運営者が存在する。そして一見完璧に見える論理にも、それを生み出した"人間のエゴ"が眠っている。

打ち破るべきはそのエゴその物であり、それを振るう人ではない。罪を憎んで人を憎まず、と言ったところでしょうか。それが明確であれば、誰もが悪者ではない物語は自ずと生まれるものだと思います。

この構造が早い段階で提示されていることもまた、『あんスタ』が人間同士のアンサンブルを楽しむ作品であることを理解しやすくしてくれているはずです。

この「一部」で、やりたいことの方向性を明確にするための工夫を、先生コンビから見て取ることができました。

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おわりに

「一部」は既知の物語ではありましたが、原作にはやはり「全ての原点」としての持ち味がたくさん眠っているなと思いました。

始まったばかりの手探り感を感じる瞬間もあれば、逆に「この作品では絶対にこれをやりたい」というギラギラとした意志を見せてくる場面もあり、この作品と物語に期待を寄せてプレイし続けた人が数多いたのも頷けます。

しかしながらその真髄はやはり、作品が軌道に乗ってきてからの物語により濃密に現れるもの。

今後は公開順に主要なストーリーを追いながら、『あんスタ』が辿った軌跡や奇跡を追体験させてもらえればと思います。

よろしければ今後の感想記事にもお付き合いくださいませ。それでは。

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