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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 番外編① アニメにおける「転校生あんず」についての考察

2020年1月6日

明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!

『あんスタ』のアニメが終わって2週間経ちましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。僕は友人と「3クール目の感想書かないの?」「いやこの前最終回…え!?やってる!?」というやり取りをする夢を見ました。頭を抱えています。

アニメは終わりましたが、僕のアニメ関連の記事はもう少し続きます。番外編始まるよ!

今回は以前から「一度語ってほしい」と言われていた主人公のあんずさんについて取り上げて参ります。

アニメ2クールを経て、アニメの彼女にどのような印象を持ったのか。アニメ新規として明け透けに語って行こうと思います。お付き合い頂けると嬉しいです。

今回の記事は感想記事ではなく、考察記事となります。
一部アニメの内容に批判的な言い回しを用いる場合がございますので、その点ご留意の上お楽しみ下さいませ。

1クール目のあんずさん

まず始めに、僕は1話の記事であんずについて「ソシャゲの無口主人公のアニメ化に挑戦している」という感想を書きました。この点については、概ね想像通りの立ち回りを見せてくれたと思っています。

1クール目はほとんど台詞を与えられずに、少しの出番と酷い仕打ちを受けるネタキャラ枠…といったところ。この時点では一人立ちしたキャラクターとしては全く認識しておらず、物語上に存在する舞台装置の一環のような存在だと思って見ていました。

追憶と呼ばれる過去エピソードにおいても、その当時は学院に存在しなかったはずの彼女がナレーターを務めたことから、彼女が視聴者と目線を同じくする者として扱われているのは明らかでした(そういう意味でも早い段階で「マリオネット」を挟んだのには意味があった)

ですから、僕はあんずという存在は自分の分身のようなものであり、物語を見る上で彼女が必要かどうかは一旦保留にすると結論付けてこのアニメを楽しむことに決めていました。

しかしながら、そんな状態でも彼女の存在感が消失することはありませんでした。毎週のように酷い目に遭わされることで、視聴者を笑わせてくれていたからです。

これはアニメにおける絵的な味付けという意味もあったでしょうが、前半であんずという存在を視聴者にしっかり印象付ける意味もあったと思っています。「彼女がこのアニメには必要だ」という意思のようなものがあって印象的な出番が用意されることになったという感じでしょうか。

語られていない物語を担う存在

それが如実に表れたのが、1クール目最終話で英智が漏らした「彼女の存在があったからこそTrickstarはここまで来れた」といった内容の台詞です。

正直なところ、この英智の台詞はアニメ新規としてはかなり唐突さを感じるものでした。「そ、そうだったのか」という気持ちはどうしても拭えず、ここで"あんず"という存在について改めて認識を変更する必要が出てきました。

ストレートに批判してしまえば「いや、何かしてました?」と言われても仕方がないような流れでしたし、実際あそこでそう思った方も多いと思います。ですが、僕はここでこの台詞が挿入されたことは"敢えて"だと考えました。

言い換えると、このアニメの中では「あんずは裏で何かをしていたことになっている存在」だと位置付けたのです。

それはアニメ上では多く語られることはないが、『あんスタ』の世界では確かに存在していた物語で、映像外にそれらが渡っていることを意味しています。

アニメ単一の作品では視聴者がそこに勘付くのは極めて難しい着想ですが、『あんスタ』が原作アプリで数多の物語を展開している作品だと理解している視聴者なら、そこに至ることもできるでしょう。

そしてそこに気付いた視聴者の一部が「原作はどんな感じなんだろう?」と思ってくれれば勝ち…といった原作への導線を感じられます。

これらの点から1クール目時点ではあんずについて僕は「視聴者と目線を同じくしながらも、視聴者の知り得ない物語を知る者=原作への流入を目的に用意された存在」と解釈し、彼女を本格的に物語の一員として数えるようになりました。

ですが、この時点ではやはりキャラクターというよりも語り部のような存在という印象。まだ彼女について何かを語るほどの断定できない状態で2クール目に入ります。

アニメという媒体への配慮

余談ですが、ここまでの僕の考察を読むと「そこまでするなら、もういっそ彼女をキャラクターとして確立すべきだったのでは?」or「出さなければ良かったのでは?」と思う方も多いと思います。

確かに物語的なことを言うとそちらがベターだと思うのですが、そこはやはりアニメという今まで以上に不特定多数の人の目に触れるコンテンツだからこその難しさがあるのだと推察します。

この手の作品のアニメ化の場合、アニメの売上以上に「いかに作品の知名度を上げてコンテンツを大きくできるか」が重要視されると思われます。

こういったことを考える時、女性向けアニメの嗜好性を考えると女性キャラは出さない方が堅実です(※男性向けの男性キャラでも同様のことが起こります)それでも女性を登場させるのなら、相応の理由か許される役割を与えなければならないはずです。

それを考えると『あんスタ』はそもそも転校生(あんず)が存在する作品であり、後述しますが彼女自身にもキャラクターとして成立するだけの背景設定が存在しているようです。

この原作の都合上、彼女をなかったことにしてのアニメ化は原作との大幅な乖離を生むためベターではありませんし、かと言ってあまり出しゃばらせるとオリジナル要素が強まってしまう。尺的にも新規視聴者層的にもそれは好ましくない。

そういったバランスを考えた結果が、アニメでの"あんず"の立ち回りに影響していると考えています。

『あんスタ』でも一部の媒体では転校生を登場させないことを選んでいるものがあるそうですが、アニメの間口の広さを考えると「できるだけ原作の質感を大事にすること」の優先度は高まります。

こういった製作の都合も考慮すると、今までよりも妥当な判断であると納得できるかもしれません。

2クール目のあんずさん

ある程度あんずというキャラクターの方向性が定まってきた2クール目。ここに来て彼女にも大きな変化が現れます。

明らかな登場シーン及び台詞量の増加です。
言うまでもなく、気付いた方が大半だったでしょう。

1クール目を終えて、ここまでに登場したキャラクター達のことをより深く知りたいと思えるようになった僕にとって、分身たる彼女(異性ですが)が皆に話しかけてくれるようになったのは単純に嬉しかったのを覚えています。

この台詞量の増加は、1クールを経てあんずというキャラの立ち位置を、何となく視聴者が理解してくれただろうということを見込んで一歩踏み込んだのだと思います。個人的にはかなりスッと馴染むことができたため、アニメの狙いは成功しているのではないかなと感じています。

僕が2クール目から彼女について雑な突っ込みをよく入れるようになったのは「自分に近い目線の存在だから」と認識していたところが大きいです。彼女についてキャラクターを語るというより、面白おかしく自分語りしているようなイメージに近い執筆でした。

正確な情報を獲得できない唯一のキャラ

そして逆に、ここに来て「視聴者の知り得ない物語を知る者」としての側面もより強まって行くことになります。

彼女が会話するキャラの中には、アニメ上ではほぼ接点がなかったアイドル達も存在しています。つまりあんずには、我々の知らないどこかで彼らと交流する場があったということになります。

他のキャラクター達が劇中で語られる範囲の情報で一定の完結が見られたのもあり、そうではない彼女だけが極めて異質に映ります。

夢ノ咲学院には当代以前の物語が存在しているため、含みのある発言や行動についても「過去に何かあったのだろう」で済ませることができます。しかし、あんずは当代からの転校生。視聴者と同じタイミングで彼らと交流する他ないわけです。

アニメではその物語には触れられていないため、結果として「この作品には歯抜けになっているエピソードがある」ということを明確に提示してくる者として、彼女の存在はより際立ったと思います。

ですから、アニメだけで見た彼女は「知らないところで知らないことをしているキャラ=正確な情報を一切獲得できない唯一のキャラ」となりました。

それを加味するとひとまず「そういう存在なんだろう」と思う他ありませんでした。アプリの無口主人公キャラであればその役回りにも取り分け違和感がなかったため、そこに疑問を持つこともあまりありませんでした。

僕があんずについて深入りしなかったことには、自身がアニメ初見の男性といったパーソナルな理由もありますが、アニメの物語のみに注視した場合はこのような理由が挙げられます。

彼女の過去を知るキャラ

そんな2クール目のあんずさんですが、後半にて更なる変化を目の当たりにすることとなります。

三毛縞斑の登場です。ママだよー。
彼が「主人公であるあんずの過去に接点を持つ新キャラ」として登場したのです。

はっきり言って滅茶苦茶混乱しました。転校生で視聴者(ユーザー)の分身であるあんずには、明確な過去設定は存在していないと思っていたからです。

過去があるということは、当然その間もあるということ。斑の発言はあんずがキャラクターとして確立した設定を持っていることを示唆するものであり、僕にとっては今までのあんず観を一変させるような情報でした。

ここに来てようやく僕は「もしかして原作のあんずはキャラとして物語に参加しているのか?」という憶測を得るに至ります。そのことを全く考えていなかったこともあり、彼の登場以降は記事中であんずについて言及するのをより躊躇ってしまうようになりました。

僕の感想記事はあくまでアニメ内の台詞や描写から分かることを公平に扱うスタンスで書いており、最早知らないことだらけになってしまったあんずに触れるのはフェアではないと考えたからです。

その時期にTwitter上で公開している質問箱へ「あんずさんについてどう思いますか?」という質問が届くようになったのをキッカケにYoutubeで生放送を実施。そこであんずさんに軽く触れたことで「原作の彼女はこうです!」というメッセージを頂き、彼女の立ち位置を大まかに把握した次第です。

僕は原作ファンの方からメッセージを頂ける立場だったのでこの結論に至りましたが、その他の方がどう思ったのは分かりません。

ですが、斑をあの発言からスタートさせたのには「彼女はキャラクターとして重要な存在である」ということをアニメ内で提示しておきたい意図もあったと考えられ、総じてアニメから原作に入ってきた人が転校生に解釈違いを起こさないような工夫であったと思っています。

これらのアニメでのあんずの扱いによって、原作のあんずとの解釈違いを起こした原作ファンの方もいらっしゃるようなので何とも言えませんが…。全ての人を納得させるのは難しい…。

物語後半でより正確に近い情報を得たことにより、終盤では限られた範囲ではあんずの話も取り入れるようにしようと思い、記事内でも少しずつ彼女の話を挿入するように心掛けていきました。

元々あまりあんずに触れてこない記事群だったためバランスを見ながらではありましたが、その辺りも楽しんで頂けていたら嬉しく思います。

おわりに

2クール通して僕があんずに思っていたこと、その感情と考え方の変化について時系列順に記して参りました。

あんず推しの方々の求めていた内容かは分からないのですが、これが僕個人がアニメから抱いた彼女への印象の全てだと思ってもらえるとありがたいですね。

総じて、アニメから彼女の個性や個人的な部分を語るのは難しい。ただ、彼女が『あんさんぶるスターズ!』という物語には無くてはならない1人のキャラクターなんだと伝える工夫はアニメ内に施されていた…という感じでしょうか。

ですので、僕もまた彼女のことを自信を持って語ることはできません。でも最終的に、今後この作品に触れて行くに当たって注目してみたい興味の1つには昇華していたと感じます。

キャラクターについては、アニメだけでは分からなかったところが沢山あります。それは彼女に限った話ではありません。彼らと同様に「気になるところの多い存在」という位置に、彼女も落ち着いてくれたかなと思っています。

今後マイペースに『あんスタ』に触れて行くに当たって、少しずつあんずさんのことも楽しんで行きたいですね。それでは今回はこの辺りで。

お読み頂きありがとうございました。

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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