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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 第11話 革命のfine 孤独な皇帝の誕生

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11話!「エレメント(後編)」です!

天祥院英智の過去と青葉つむぎや五奇人の関係が描かれた前編。そこから現在に繋がる大きな動乱が描かれるのがこの後編です。

悪役としての印象が強かった英智が見せた人間としての一面。
この11話では彼は革命家になり、そして皇帝の道を進みます。

その反応から原作ファン人気の高さも伺える「エレメント」の行き着く先は、関係性が複雑に入り乱れる痛烈な物語でした。

前置きもそこそこに、僕なりにエモーショナルな記事を書かせて頂きましょう。お付き合いよろしくお願い致します。

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"革命家"天祥院英智の在り方

今回は10話の記事で書いたキャラの関係性を基に、ストーリーを頭から順番に紐解いて行こうと思います。

fineを結成した英智は一躍スターへの階段を登り始め、チャンスを独占していた五奇人を超越する存在として注目を集めていました。

同時期に生徒会長にも就任。
学院の最高権力を手に入れ、演者としても為政者としても、生徒達の心と行動を掌握できる人間になりました。

人を動かす才能と自分で行動する才能は全く別のものではありますが、やはりリーダーに座る人間には、プレイヤーとしての能力も求められてしまうもの。プレイヤーはリーダーの苦悩を理解しませんが、リーダーはプレイヤーの希望を理解しなければならないのが現実です。

英智は自分がそのどちらについても優秀であると演出することで、学院生から強烈な支持を獲得するに至ります。

その状態でドリフェスの開催や明確な採点システムの導入により、五奇人への心的印象の一極化を是正。努力が確実に評価される土壌を作り出し、鬱屈した生徒たちの心に火を付けて回ります。

曖昧な評価システムでは、メディアや体制側の印象操作により「特定の個人を召し上げる」ことは簡単です。現実でも度々話題になる、芸能人のゴリ押し起用などはその範疇だと言えるでしょう。

そうなれば他の生徒達が「どうせ五奇人しか評価されない」と判断し、不満を持ってやる気を失っていくのは自明。英智はそれを根本的に立て替え、民主主義的解決が可能な夢ノ咲学院を誕生させたのです。

そしてそれらの計画を円滑に遂行するためには、悪役として矢面に立ってもらう存在が必要。そのために擁立されのが五奇人でした。ここは僕の前回の読みがバッチリ当たっていたようで良かったですね。

指示を出さずとも他人を動かせる環境に

しかしそれこそが英智のさらなる深い思惑でした。
彼はその採点システムをの仕組みを自分に有利なように作り替えていたようです。一見公平であるかのように見せかけつつ、自分達が頂点に立つためのシステムを整えていたということでしょう。

これはつむぎの「点数操作をしている」と取れる何気ない一言でしか表現されていないため、どのようなことを行っているかは分かりません。ですが、中盤で「熱心なfineシンパ」が存在していることが語られており、Valkyrieの音響トラブルも彼らが故意に起こしたものであったことが確定しました。

そのような背景を鑑みると、英智はどうとでも内政をコントロールできる状態にあるようです。それも自分達から指示を出さず、シンパの勝手な忖度によって実現可能。泥を被らずに理想に向かって邁進できる、正に理想的な環境です。

もちろんその環境を維持するためには、元より「fineが学院生の心を惹きつけるほどに優秀なユニットであること」は絶対条件になります。立場を利用した露骨な印象操作はすぐにバレ、信頼を失うのに繋がるでしょう。

だから英智は確実にfineが学院生に認められる存在として君臨できるよう、あらゆる手段を講じて最高のメンバーを揃えようとしていたのだと思います。そしてそれには、自分の存在を陰に隠す意味も込められていました。

結成後も金と権力で繋がっているだけの歪なビジネス関係であったとしても、ステージ上で輝きさえすれば人は付いてくる。その他のことについては、信頼した外野の忖度により勝手に都合よく補完される。

その状態で五奇人を打倒してしまえば、学院内での絶対的立場を欲しいままにできる。英智は必要なことを過不足なく行い、効率的に計画を前に進めます。

ビジネスの渦中にいる天祥院の御曹司らしい大胆な割り切り。他の生徒達との生き様の違いを、如実な能力差として体現しているよう感じられます。

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青葉つむぎの歪んだ価値観

その傍らに立つのは青葉つむぎです。
五奇人の擁立、fineの結成の立役者となった彼は、今でも皇帝となりつつある英智の側近として在りました。対外的には、つむぎがfineのリーダーとして扱われていたようです。

今回はこのつむぎの人間性の歪みも大きなポイントとなるストーリーだったと思います。

前回の記事で彼の印象について書きました。
不幸な境遇の中で、他人のために尽くすことを選ばざるを得なかった少年。善意に振り切った立ち回りを見せる彼は、痛々しくも健気な人間であるという認識でした。

ですが、今回でその印象は一部改めなければなりませんでした。
何故なら彼は、英智が自分を利用していると理解していながら、英智に協力することを選んでいたからです。

それどころか、彼は英智がどのような思惑で動き、他人を貶め虐げていたことまで理解していながらも、それを止めることはせず英智に協力し続けました。何かトラブルが起きた際に、率先して自分を切り捨てろという旨の言葉まで吐くほど、英智のことを信頼しているようでした。

それは、彼が英智の計画の行き着く先を予見できていたからです。悪いことが起こっても、結果としてより多くの人が幸せになる未来を実現することができる。それが理解できるから、他人がどう思ったとしても最後まで自分は英智の味方でい続けようと考えていました。

不幸の有無より「幸せの総数」を優先

これだけ見ると彼は英智の思想に心酔し、信者となってしまっていると解釈するのが無難ですが、どうも彼はそうでもないようです。

それは夏目との会話シーンから読み取ることができます。
つむぎは夏目に敵意を向けられ、軽蔑されながらも彼のことを心から心配しているように見えました。

普通に考えればあり得ません。
そもそも夏目を五奇人に推薦したのはつむぎなのだから、現状に際して彼は罪悪感を覚えなければならない立場です。感情的に処理すれば、自ら進んで顔向けすること自体避けようとするはずです。

でも彼はそうしませんでした。夏目との再会を素直に喜び、彼の敵意を受け流し、その場しのぎの方法で解決しようと提案します。

Valkyrieのトラブルについても「止める理由がなかった」という弁でかわし、「fineのための動いた皆は満足している」と付け加えてまとめました。

これの情報を総合すると、どうもつむぎは一貫して「他人の幸せを実現する」ために行動しているようです。そしてその過程で誰かが傷付いたとしても「幸せになる人がいるのならその方が良い」と考えていると解釈できます。

確かにValkyrie視点で見ればあのトラブルは凄惨な結末を迎えました。それを知っている我々は、つむぎが酷く冷淡な人間であるように感じることができます。

ですが人数比で見れば、Valkyrieが負けることによって喜ぶ人間の方が学院内には圧倒的に多かったのは間違いありません。幸せの総数を優先するのであれば、つむぎには「止める理由がない」わけです。

彼は、一般人を超越した奉仕の精神を深いところで理解しすぎてしまっていて、しかも自身の価値基準にストイックであることも分かりました。

僕の想像以上に業が深いキャラだと、再認識しました。

"全の幸せ"と"個の幸せ"の両立

つむぎの歪みはこの範囲に留まりません。
上記した英智への見解と、他人へと奉仕精神をリンクして考えると、さらに彼の人間性の歪みが見えてきます。

まず「より多くの幸せを叶えるためなら、他の誰かが不幸になっても仕方がない」という達観は、場面場面で区切って考えられるべきです。

1つ1つに出来事について「どちらが幸せの総数が多いか」を考えて選択しないと、幸せの総数理論は成立しません。「長い目で見て行けば、必ず幸せになる人を増やせる」という過信は、より不幸な者を増やす結果に繋がりかねないわけギャンブルに身を投じるのと同じだからです。

ですから"全の幸せ"を考えるなら、英智のような革命的な行動に乗っかることは得策ではない。10話で奇人擁立について反感を抱いている生徒が噴出した時、つむぎは「逆に空気が悪くなっているのでは…」と心配していたように、英智の理想とつむぎの思想は噛み合っていないはずです。

にも関わらずつむぎは英智と一緒にいることを選んだ。
これを僕は、友人たる英智の幸せ="個の幸せ"を叶えるために彼と共にいることを選んだと解釈しています。

思想的には"全の幸せ"を重んじているはずなのに、深い友人の"個の幸せ"を決して軽んじることができない。これは人間として凄まじい歪みです。

しかもつむぎは、先の先を見通して「個人の本当の考え」を理解できる聡明さまで持ち合わせていました。

僕は、英智は計画の全容をつむぎに語っていないと考えています。でもつむぎは今までの行動と結果から、英智の理想を細かいところまで正しく紐解いているように見受けられます。だとしたら、それは彼の理解力による結果と考えるべきでしょう。

そして、理解できてしまうからこそ不幸なのです。
より多くの人に幸福を齎そうとすれば、人よりも事象で物事を判断しなければならない。ですがつむぎは"他人の考え"をあまりにも深く理解できすぎてしまう。

こうなると彼は、接している人間全てが望むものを理解してしまえるし、それを叶えるために自分を犠牲にすることをやめることができない。

表向きはより多くの人の幸福を。
自分の見える範囲では全ての人の幸福を。

一見、素晴らしい思想を持っていると思えますが、こんな矛盾を孕んだ行いは人間の続けられるものではない。いつしか心が壊れてしまいます。否、心が壊れているからこそ、彼はそれを続けられるのかもしれません。

「嫌なことが有りすぎて、もう傷付く部分が残ってねぇのか?」
「痛みすら感じないって死んでるのと同じだぞ」

朔間がかけたこの言葉に、彼は何を思ったことでしょう。
実際彼は、本当に人間としての心を失っているとしか思えません。それに本人が気付く日が来るのでしょうか。

でも、だからこそつむぎは、孤独な天祥院英智最大の理解者になれた…かもしれなかったのでしょうね。

"全の幸福"を重んじる彼が、それより優先しても良いと思える"個"が、英智の中にはあったわけですから。

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奇人達の物語

今回は五奇人と英智の戦いについても軽く解説されました。

前回の記事で、三奇人全員を倒す必要がないように打倒できる相手を増やしたと書きましたが、英智は五奇人全員の打倒に挑戦し、絶対的な立場に立とうとしていたことが明かされました。これは読み違いですね。

しかし、どうも朔間零に関してだけは直接対決を避けたようです。

海外の姉妹校で問題を発生させ、朔間が夢ノ咲学院の情勢を理解できない状態を作り出す。その隙に朔間がどうしようもできないところまで学院の現状を作り変え、彼を爪弾きにした…と言ったところでしょうか。

革命が起きようというその過渡期に"現場にいなかった"朔間は、逃げ出したと捉えられて支持を失った可能性もありますね。

もしその実力を考慮して、英智が彼との真向対決を避けたのだとしたら、『あんスタ』で朔間零という存在が持つマンパワーは、僕が思っている以上に凄まじいものなのかもしれないなと感じています。

今までの語りを見るに、夢ノ咲学院でも特別中の特別と扱われているのは間違いなく、顔も広く影響力も計り知れないものがあるのでしょう。

彼の全容は依然全く分からないし、そもそもなんで異常すぎるキャラ変を起こしているのかがあまりにも気になりすぎますが、今後はより朔間零という存在を意識してストーリーを見て行こうかなと思いました。

独自の世界を見る男 日々樹渉

「名前を呼んでくれた…」
どういうことなんだ…。

英智との関係性はさらに混迷を極めますが、10話で英智が目指していた「日々樹渉に認知される」という大きな目的の1つは果たせたようです。

渉もまた聡明な男で、英智の自分に対する憧れにも気付いていたし、それを考慮に入れた登場順を仕組んでいることも分かった上で英智に会いに来ました。英智の計画を「出来の悪い脚本」と言い切る豪胆さも持ち合わせています。

渉が「自分の役回りが見えにくかった」と言っていたのは、実力的に自分が最後に回るのがおかしいと思ったのか、そもそも自分が奇人に選ばれたことに違和感があったのか、はたまたその他の理由なのか…。英智を認識していることを考えると、奇人選定で何かを悟っていると考えるのが自然かも?

全体的に奇人達がfineを目の敵にしている中で、渉だけは見ている世界が異なっているように感じられます。後に渉は新fineとして英智と共に歩んでいることを考えると、英智個人へ何かしら興味関心を持っているとすべきでしょう。

それは、かねてより深い関係にあったらしい夏目の期待に応えるよりも英智の脚本に沿うことを選ぶほどでした。

「自分達の幸福のために、無数の他者を踏み躙ってしまえば、私達は本当に怪物になってしまいますよ」

これは英智を評価した上で、夏目を諭す意味の台詞だったのか、はたまた英智を怪物と見なして夏目に「同じ闇に落ちるな」と伝えようとしたのか、現段階では判断不能です。

しかし、渉がより広い視野で"世界"を捉えて判断しているのは間違いないと思いました。そしてそれは朔間零と共有された思想でもあるようです。(英智に向けた敵意を加味すると)朔間と渉が同じ方向を向いているかまでは分かりませんが…。

結局彼のことは何も分からず仕舞いに変わりはなかったのですが、ヒントは沢山貰ったと思います。抽象的な台詞での活躍ではなく、行動で彼が魅せてくれる話が見たいですね。

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"友達"

心温まる(?)奇人達の関係性を楽しんだ後、いよいよ始まる五奇人の終焉。

その始まりは決して穏やかなものではありませんでした。契約書を手に、不安そうな顔で英智に駆け寄るのは青葉つむぎです。

「この契約書だと、俺も今回のライブでお役御免ってなってるんですけど…」
「質問の意味が分からないな…?」

そう、これはfineのラストライブでもある。
fineの契約は、五奇人の打倒と共に解消される手はずになっていたようです。だから、このライブを機にfineは事実上の解散。どこまでついて行くと誓ったつむぎと英智の物語もここで終わりを迎えるのです。

そのことを、つむぎが良しとするわけがありません。

「俺が傍にいたのは、契約書を交わしていたからじゃないんですよ!?」
「報酬を期待して、僕の"友達"でいてくれたんでしょう…?」

突き放すように告げられる残酷な言葉。
ですがこの時の英智は、決してつむぎを邪険にはしませんでした。ただ、契約の通りにつむぎを"解放する"といった思いを込めて、つむぎに言葉をかけて行きます。

本当に悲しいのは、英智がここでつむぎのことを"友達"と言ったことでしょう。

英智が最初からずっとつむぎを利用するために付き合い続けていたのだとしたら、ここで英智は「協力してくれた」などの言い方をしたと思います。けれど彼は"友達"と言ってしまった。

これは英智にとって"友達"が、何かしらの利益やメリットが存在してこそ成り立つ関係であることを示唆していると感じました。

その生まれ持った境遇から、無償の関係性というものの存在を理解することができないのでしょう。今の英智は"友情"を本質的に解せない、"友達"すらも利害関係の上に成り立つものであるという認識の、悲しい高校生だったのです。

けれどつむぎは違いました。
英智の幸福を考えて、それが皆の幸福に繋がると信じて、本当に彼の思想と理想を理解して、それでも彼と一緒にいることを選んでいました。

だから契約書なんて必要なかったし、報酬も必要としていなかった。それはつむぎが英智のことを本当に"友達"だと思っていたから。"全の幸福"以上に、彼の"個の幸福"を叶えたいと、本気で思える相手だったからです。

厳しい家庭環境にあったつむぎにとって、無償で心を許せる相手は特別な存在であり、最高の"友達"だったのかもしれません。

一方で、英智もつむぎのことを"友達"だと思っていたけれど、"友達"だからこそ利害関係が無くなれば手放さなければならないと思ってしまっていた。つむぎの気持ちに応える術を、英智は全く持ち合わせていませんでした。

「僕達も使命を果たそう。物語は感動のフィナーレを迎えるんだ」

「…その後は…どうなるんですか?」

互いが互いを"友達"だと認識しているのに、その価値観の基準の違いですれ違ってしまった。つむぎは英智にとって最高の"理解者"で、最高の"協力者"でもありました。その関係性が心地よく、2人にとって理想的な関係だったのだと思います。

でも…

「――この後僕達がどうなるかなんて、僕の方が聞きたいくらいだよ」

そうだからこそ、彼らは本当の"友達"になることができなかった。

お互いがお互いを"友達"だと思っていたのに、そのズレは絶対に無くならないものでした。

「僕がここまで辿り着けたのは…」
「いつもさりげなく、君が支えてくれていたからなんだね…」

"友達"とは、何の見返りもなく共にいられる存在。
利害の一致があったとしても、それを互いに望まずとも一緒にいて楽しい相手。「ずっとこの時間が続いたら良いのに」と思えるような、明確な区切りを望まない人達のことです。

つむぎは少なからず、英智にその思いを向けていたはず。そして英智も同じ思いを持っていたはず。

「あぁ…お願いだから…そんな顔しないで…」

それでも英智はその気持ちに応えられない。
たとえ、英智自身がつむぎと共にいることを望んだとしても、英智は「ここから始まる"何の見返りもない戦い"に、つむぎを巻き込むことは許されない」と考えてしまう少年でした。

心を通わせ"横に並び"共に歩むことができるのが"友達"。
しかし英智はつむぎの前を行くことを選び、つむぎは後ろをついて行くことを選んだ。そしてそういった上下を有する関係には、必ず終わりが来てしまう。

思想と理想による結び付きが無ければ、彼らはこんな悲劇を迎えることなく、普通の友達だったのかもしれません。でも現実はそうではない。それがあったから、彼らは結び付いて行動を共にしたのですから。

――では、英智の横に並び立てる者がいたとしたらそれは誰だったのか。

「……お前、とっくの昔にこっち側だよ。お前はさ…」

考えるまでもありません。
行動やその存在感で絶対的"個"として君臨し、多くの人達を惹きつける存在。同じような才覚と魅力、スター性を持つ人間。それこそが英智にとって「横に並び同じものを共有できたかもしれない人間」です。

「掛け替えのない親友になるかもしれなかった連中を、踏み躙って殺しちまったんだ」

しかし、夢ノ咲学院にいたその素質のあった人間は、他でもない英智によって"奇人"として擁立され、彼の理想と思想を叶えるために、その尊厳と立場を奪われました。

天祥院英智は高校生活で"今までにない関係性"を得るチャンスを、気付かぬうちに自ら破壊してしまっていたと言えます。

何より痛烈なのは、英智が倒すために結び付けた"五奇人"という枠組みの中で、彼らは確かな友情を育んでいたこと。そしてその枠の中に英智が入ることはもうできないということです。

元から彼は思想と理想に生きるつもりだったのだと思いますが、本当はそれ以外の選択も存在していたはずです。もっとより良い関係性を築いて、友人と仲間と理解者を得て、違う方向から学院を変えて行くこともきっとできたはず。

その可能性の全てを彼は自分自身で無きものにして、結果「孤独な皇帝」として理想に殉ずることを選んだ。誰にも本心を理解されず、誰も本当の意味で横に並び立つことのない、虚無との戦いに身を投じたのです。

「――可哀想に…」

かくしてfineは五奇人を打倒し、天祥院英智は絶対的な"皇帝"として夢ノ咲学院に君臨することとなりました。

親友になれるかもしれなかった人達と敵対して踏み台にし、最大の理解者をも切り捨て、ただ独りで夢ノ咲学院の未来を背負うことを決めてしまった。もう彼は後に引くことはできない。

それでも…彼の孤独の先に、本当に彼のことを想ってくれる人の存在があることを願っていますし、それに彼が気付ける日が来ることを祈っています。

 

「つむぎ、僕達はちっぽけな幸せを噛み締めるだけで、満足すべきだったのかな…?」

「普通の高校生みたいにさ…」

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おわりに

やはり、ライブに乗せてキャラの最も深い心情が語られる演出のエモさは作品を超えますね。菱田監督ありがとう。今回の記事の後半は、脳内で曲が流れるような展開を意識して書いてみました。楽しんで頂けていたら幸いです。

エレメントはTrickstarを中心とした若さ溢れる物語から一変、諦めや達観、それに伴う使命感といった価値観を中心とした、アダルティな雰囲気が魅力の物語でした。

キャラクターの信念や行動が錯綜する展開や関係性の拡大はもちろんのこと、台詞1つ1つの重みや含み、言葉回しの美しさもここまでのストーリーとは一線を画します。

その凝縮された語り口は、正に圧巻の一言。
原作屈指の名エピソードと言われるのも納得です。

このエレメントを踏まえて見て行くと、現在に至る三奇人の関係性や英智の立ち位置もかなり変わって見えてきます。奇人として新fineに加入した日々樹渉の存在が、それだけで英智にとって救いなのではないかと思えるようにもなりました。

他にも裏で五奇人のハッピーエンドを目指して動いていた夏目の活躍や、エレメントを経験したつむぎと夏目がユニットを組んでいること、細かいところでは心を折られたはずの斎宮宗が、深海奏汰と奇人の終焉を見届けていたのも気になります。

総じてこのエピソードが残して行ったものの数は半端なものではなく、これに「エレメント」という副題が付いているセンスもまた素晴らしい。

DDDも皇帝を打倒する物語から様変わりし、決勝戦は全く違う見え方になることでしょう。楽しみです。

今回はいつも以上にこの感想記事を楽しみにしてくれている方が多そうだったので、少し気合を入れました。 毎回こうとは限りませんが、今後ともお付き合い頂けたら幸いです。お読み頂きありがとうございました。

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