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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 第10話 "人間"天祥院英智の過去 今に繋がるエレメント

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いよいよ2桁話数。1クール目も終盤に差し掛かってきました。
つまりこのブログも10記事目ということ。結構書き連ねてきました。今後ともよろしくお願い致します。

10話はDDD本戦の途中ながらサブシナリオを挟む大胆な構成で勝負。「エレメント」という副題がついたこのエピソードは、原作ファンの間でも人気の高いエピソードだと聞いています。

1年前、まだアイドルとしては一生徒に過ぎなかった天祥院英智がフィーチャーされた、今後のメインシナリオの受け取り方に大きく影響しそうなお話。

その前編となる今回は、「マリオネット」同様に過去の関係性が丁寧に描かれた一話だと解釈しました。

大きな動きの前に、各キャラクターの立ち位置や思惑を紐解いて行こうと思います。是非お付き合い下さいませ。

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天祥院英智の心中

「エレメント」の肝となるのは、天祥院英智の過去の考えと想い、それに伴った今に繋がっていく行動です。今回はまずその部分をしっかり読み取って行きましょう。

開幕では、僅かながら蓮巳と英智との関係性が語られました。
幼馴染という間柄でありながら、その始まりは家系の結び付きによるビジネス的なもの。英智は蓮巳とさほど深い関係ではないことを言葉でチラつかせてはいましたが、描かれた距離感を見るに、この頃から親密であるのは間違いなさそうです。

出自や現在の思想を考えるに、英智は友人関係に対する自己ハードルが高いタイプかもしれません。自分の信頼と相手の信頼がイコールで成立しないことを、少年ながらに知りすぎてしまっている可能性がありますね。

蓮巳と英智の間では、学院の体制に対する論争が起きていました。
どちらも現在の学院の状況を良しとはしておらず、それを変えて行きたいという想いは同じ。方法論まで共有されていますが、その目指す先は少し違えているというところ。

蓮巳が時間をかけて学院生の支持を集め、少しずつ内部を改革していくことを考えているのに対し、英智は大きな衝撃によって学院生の心を動かし、一気に現体制を転覆させることを是としているようです。

片や政治的、片やビジネス的、と言いましょうか。
2人のキャラクターの立ち位置や生い立ちによる考え方の差が描かれていると思います。病によって生い先の保証がない英智は、なおさら短期決戦にこだわる境遇にあると言えます。

今回は、この蓮巳と英智の掲げた学院改革のための一矢、「奇人擁立計画」(※この記事での便宜上の呼称)が大きなポイントとなりました。

「五奇人」の擁立を目指した真意

10話に至るまで、幾度となくキーとなった奇人という存在。
彼らの存在は『あんスタ』を語る上で無くてはならないものでしたが、その立場「五奇人」が生み出されたのは1年前。英智と蓮巳の手によるものだったということが初めて明かされました。

3話頃の朔間零の語り口では相当昔からいるような雰囲気だったのに、実は1年しか経っていなかった衝撃たるや。どうもこの作品は「実際の100年分くらいの歴史が1年に濃縮されている」ようです。何となく察していたとは言え、真実が明らかになってくるに連れてなかなかに高く飛んでいる設定だと思わされます。

この奇人擁立計画、蓮巳と英智は互いに必要なものだと認識し動いていたはずです。だからこそ擁立が実現しました。しかし序盤の会話から考えるに、2人の主たる目的は全く異なっていたと考えています。

その英智サイドの考えを中心に展開されたのがこの「エレメント(前編)」です。

英智は、この時点で個に活躍が集中する夢ノ咲学院の状況を快く思っていないようで、これは現在まで地続きになっている彼の根本的思想です。

にも関わらず、あえて彼はその象徴たる奇人を擁立するという選択を取りました。これはつまり、擁立する奇人達を"打倒すべき存在"として活用することを考えたということでしょう。

体制を変えるには、現体制の理不尽を象徴する存在が必要です。
実際の歴史に則って語れば、多くの"革命"が起きた中世ヨーロッパの絶対王政は「倒すべき相手が明確なシステム」です。この分かりやすい体制が存在していたからこそ、民衆は1つの志を持って事を起こせたと考えられます。

夢ノ咲学院では、この王に近しい象徴が存在していなかったため、ただ体制への不満を持って「何となく堕落する」ことが正当化されてしまっているようでした。英智はその鬱屈した生徒達の奥底にある負の感情を「革命への意志」と紐つけ、爆発させることを狙ったようです。

彼がそのために必要だと感じたのが、"奇人"という絶対的個。
短絡的かつ受動的な意識の低い生徒達でも「あいつらがいるせいで俺達は何もできない」と分かりやすくヘイトを向けられるような存在でした。

奇人に最大限のヘイトを集めた上で、彼らを打倒してその権威を失墜させる。それは体制へのアンチテーゼを意味します。

これにより生徒達の負の感情は、体制を倒した者への正の感情となって爆発。現体制は崩壊して、晴れて新体制が実績を持って認められる。9話までは総合して考えると、英智の思惑はこれであると断定して良いでしょう。

だからこそ彼は完璧な三奇人ではなく、弱点が存在する五奇人の擁立を旨とした。そうすれば三奇人は倒せなくとも、残り2人を倒すことで体裁上は三奇人も同時に倒した"ことにできる"から。

現に、当初予定されていた三奇人は体制崩壊後も三奇人として在り続けていることを考えれば、あの3人には他の追随を許さない圧倒的なものがあると解釈すべき。英智はそういう実力差も織り込んで、プランを練っていたということでしょう。

英智は文字通り「革命」を起こそうというのです。
彼にはその覚悟があったし、そのために無関係の誰かを持ち上げて傷つける覚悟まで持っていた。それは「マリオネット」での彼の行動を見れば明らかです。

その結果得たものが、新体制=生徒会中心のドリフェスなのであれば、Trickstarの地道な活動を「革命ごっこ」と揶揄したのも頷けるというもの。

彼は"革命"という言葉を至極本質的に突き詰めて行動している男だったことが、今回でより深く理解できました。並々ならぬ意志が感じられます。

蓮巳と英智の関係から見る紅月の在り方

蓮巳がこの英智の思想と違う考えで動いていたと僕が考えるのは、そちらの方が「マリオネット」で鬼龍が斎宮に語っていた内容と辻褄が合うためです。

そもそも紅月は蓮巳の考えに賛同した3人のユニットとして始まっているはずです。これは9話の冒頭の紅月の会話から読み取ることが可能です。

この10話で蓮巳は英智と結託して奇人の擁立を進め、実行に移しています。だからこそ紅月は"蓮巳の思想を適えるために"あのメンバーで体制下のユニットとして始まったと考えるのが自然です。

しかし、その時点で蓮巳は英智の本当の考えに気付いていなかったのでしょう。蓋を開けてみれば英智の思惑通りに事が進み、蓮巳の思想とズレが生じたと考えられます。

とは言え、蓮巳は計画の中心人物であるため「思っていた結果と違った」などという理由で退くことは許されません。何より彼自身がそれを許さないタイプの人間でしょう。そして鬼龍と神崎もその蓮巳を見捨てることは選ばなかった。

なし崩し的に紅月は独裁を敷く生徒会傘下のユニットとしての活動を余儀なくされてしまった。今でも生徒会傘下のユニットとして活動はしているものの、その内情は穏やかなものではない。

これらは全て憶測ですが、こう考えると9話までで彼らに対して抱いていた違和感のほぼ全てが払拭されるため、とりあえず今後はそういう目線で紅月のことを見て行こうと思っています。どこかでズレを感じたら、また修正して記事にしたためて参ります。

日々樹渉への強い憧れ

どういった経緯かは全く分かりませんが、英智は日々樹渉に並々ならぬ憧れを抱いているようです。「君の心に僕という存在を刻み込んでみせるよ…(迫真)」

7話では姫宮に「なんであんな奴をfineに…」などと言われていましたが、英智が渉を招き入れたと言うより、渉の横に並び立つのが英智の目標だったという方が正確だった様子。

正直なところ、英智が"誰かへの憧れ"といった類の情熱を活力に行動していたことはかなり意外でした。どれかと言うと使命感や理想を重んじるキャラだと思っていたので。

個が重んじられる体制に否定的な彼が、特定の個人に情熱を燃やすという構図には、複雑な感情の動きがありそうでドキドキしますね。

現状では、まず日々樹渉の情報がストイックな(?)演劇狂い変態仮面であること以外全く公開されていないこともあり、現段階では「引っかかっている」以上の感想を言うことができません。

この理由が後編で語られるのか、はたまた先に持ち越されるのかは定かではありませんが、英智というキャラを知る上で非常に重要な部分だと思いますので、注視して行きたいと思います。

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善良な苦労人 青葉つむぎ

「エレメント」におけるもう1人の重要人物が、蓮巳の図書委員仲間である青葉つむぎです。青葉という名字には身構えてしまうところがあるな(※菱田監督の別名義の1つは青葉譲です)

この項では彼のキャラクター性と、彼を通して見えた英智の考えを同時に紐解いて行きましょう。

つむぎは一言で言えば苦労人タイプ。
人のことを考えすぎてしまうが故に、何かと押し付けられてしまう境遇にある人間だと見えます。

こういうタイプには断るのが下手で嫌々引き受け続けてしまう人と、自分から率先して他人の力になり続ける奉仕人がいますが、彼は見たところ後者に当たるようです。

顔が広く学院内で随一の人脈を抱えているのも、様々な人の力になり続けてきた結果でしょう。彼はそれを求めて動いたわけではなくとも、手元にはそういった善良な結びつきが多く残っていたのです。

だからこそ、彼は自身の善性を利用しようとする悪意の存在を見極める必要があります。

つむぎの周りに集まる多くの人は、彼を「頼り甲斐がある良い奴」と思っているはずですが、その中の何割かは必ず「あいつは頼めば何でもやってくれる都合の良い奴」という考えを持って近づいてきます。時にはそれは意図的な悪意であるし、時にそれは無自覚な悪意でもあります。

彼はそういった悪意から自分を守る術を身につけないと、いつかキャパシティを超えた人助けを強要され、傷ついてしまう運命にあると思われます。良い人ほど損をする。世知辛い。

しかし「親が自己破産したり離婚したり再婚したり」と、大人の顔色を窺わないと生きてこれない境遇にあったようで、そのせいで子供の頃とは随分性格が変わってしまったよう。「そうならざるを得なかった」側面もあるようなので、彼自身がその事実をどう受け止めているかは気になりますね。

英智にとって「利用価値のある」存在

今回の英智は、つむぎを都合良く利用しようとしている側の人間と考えられます。現在のfineは過去のfineとは全く違う顔触れで、つむぎも違うユニットを組んでいることを考えれば、後編では何かしらの決別が待っていると想定できるからです。

英智は前半でつむぎに対し「君の人脈には大きな利用価値がある」という酷く失礼な物言いをしていますが、つむぎは(引っ掛かりは覚えながらも)それすらもスルーして英智と親睦を深める選択を取りました。

英智はこの時、自身の発言を持って「つむぎがどこまで他人を尊重するか」を確かめていたのかもしれません。普通ならさほど仲良くない相手から言われたら即距離を置くレベルの発言でさえ、彼は受け流すほどの器量を持っていた。これは英智にとって僥倖だったと言えるでしょう。

英智は実に友人然とした態度と物言いでつむぎとの関係性を深めて行きますが、どうにも裏があるようにしか見えません。

つむぎをfineに誘ったのも、彼の人脈に「まだまだ利用価値がある」と踏んでのことだと感じられます。

実際「青葉つむぎが中にいる」というだけで彼を中心としたネットワーク下でfineは話題になりますし、彼の人間性を持ってすれば第一印象すら良い状態でスタートできる。朔間零の油断も誘えるし、五奇人の2人は彼が推薦した彼の知り合いなわけだから、計画も水面下でより完璧に進行できる。

ビジネスライクに考えれば、つむぎのような人間は広報的な意味で最も味方につけておくべき人間で、アイドルとしての力量以上の価値があります。しかも、手近に置いておけば簡単にコントロールが可能な「良い人」ともなれば尚のこと最高の人材です。

英智はこのような理由から、現時点ではつむぎと打算的に親交を深めているに過ぎないと考えます。アニメの画面作りからは、彼を純粋な友人として扱っているようには見えませんでした。こういうところは「さすが大財閥の御曹司」といったところでしょうか。悲しい高校生だ。

エレメントはこの英智とつむぎ、2人の不穏な関係性が尾を引く物語であると考えています。後編では何か良くないことが起きると思うので、ドキドキしながらその結末を見届けようと思います。

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その他の登場人物所感

では最後に、今回登場したその他の登場人物の中から、取り分け気になった部分を一言ずつ残して行きましょう。

逆先夏目

どうやって隠されているか分からないレベルに広大な隠し部屋を占拠して魔術の鍛錬に勤しむ五奇人(暫定)の1人。確か2話くらいで地面に魔法陣描いてた人(だと思う)が満を持して登場。

1人だけ違うアニメの話をしている。
と言うか今回ライブシーンが一切なかったので、この回だけ見ると「魔術学院のアニメだったか」と錯覚しかねない内容に。

親に女装させられていた黒歴史を持つ彼は、現在進行形で大人になった時の黒歴史を生み出していそうな男の子。親は占い師だそうなので、ちょっと偏屈な家庭で育っているのかも?

でも行動の割に、発言や性格は歳相応な真っ当さを持っているように見えるのがギャップポイント。

それ以外パーソナルなことは不明ですが、現在つむぎと行動を共にしている辺り同じユニットを組んでいると想定できるので、後編ではもう少し彼のことが分かるのかもしれません。

朔間零

誰だオメー。
ちょっといかついカヅキ先輩みたいになってんぞ。

1年前はあまり日本におらず、留学経験が豊富な様子。
上海で毒されて一人称が我輩になってしまった…?

冗談はさておき、実は五奇人の存在が1人ずつ露わになっていくに連れ、他の奇人が性格や行動から"奇人"を感じるのに対し、朔間だけがキャラクターで"奇人"を演出しているように見えるのが少し気になっていました。

今回を見て「もしかして五奇人に抜擢されたから"奇人"感を出すようになったのか?」と思わされ、勝手ながら妙に納得してしまったところがあります。

しかしそうだとしたらちょっと真面目が過ぎないか???でもだからこそ留学とかさせてもらえるのかもしれないし、あんなでも全体的に人徳があって信頼されている感じだし、確かに根は良い人だし…という具合にキャラが広がっていく。

少しの登場でしたが、今回でイマイチ謎だった朔間零という人間の本質に少し近付けた気がします。いや、そうだと決まったわけではないのですが…。

氷鷹北斗

「理解している!(理解したとは言っていない)」

「マリオネット」で壮絶な棒読みを披露してくれた北斗くんの在りし日の姿が公開です。まだまだ自分を客観視する能力がないようです。

あの日々樹渉が真顔で「帰れ」と言わんばかりの説教を喰らわせるほどに演技の才能がない模様。親が女優なのにあんまりすぎる。それであの天然返しっぷりと来たら、何とも言えない愛らしさである。

しかし何だかんだ言って演劇部に入部して王子様役を任される他、渉の寵愛を受けるまでに関係性が成長、そしてあんなにやる気に満ち溢れていた北斗が渉のことを「できれば俺の人生に関わってほしくない相手」と言い捨てるほどの何かが起きていくと思うと、その幕間で何があったのかに俄然興味が湧いてしまう一幕でした。

そんな色々を経験しても演劇部を辞めずに在籍し続けている辺りに、氷鷹北斗のこだわりと言うか執着のようなものを感じなくもありません。両親共に天賦の才を持つ者である彼には、簡単に決められないことも沢山あるはずですし。

次に彼の話が見えるのは12話でしょうか。
今回の一瞬の登場が、彼の物語の解釈にどう影響するかが、楽しみです。

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おわりに

「エレメント(前編)」語って参りました。
同じ過去回想だった「マリオネット」に比べると、後編で何が起きるのかの想像がし辛く、サブタイトルの意味も現状では察せない状態。その分、後編で展開される物語に期待が高まります。

ブラックボックスなところが多かったボスキャラ天祥院英智の悪ではない部分を知れる重要なストーリーでありながら、同時に彼の悪性がより深くドス黒いものであることも見えてくるという、心がチクチクする物語。

後編では彼の理路整然としたえげつなさがより炸裂するのか、ここまでの英智をミスリードにした全く違う人間性が見られるのか、現時点では分かりません。しかし、そのどちらであっても味わい深い内容になりそうです。

抱えるものが多いキャラがどんな複雑な心の動きを見せてくれるのかは、僕が物語を楽しむ上で大きなウェイトを置いている部分でもあります。個人的にもこの「エレメント」が迎える結末は、『あんスタ』を楽しむ上で1つのターニングポイントとなりそうです。

過去編はより丁寧に人間関係が描写されている印象があるので、この記事もなるべく丁寧に書いて行きたいと思います。是非次週の感想をお待ち下さい。

お読み頂きありがとうございました。

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