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キンプリオタクの『あんスタ』ミリしら感想 第6話 糸を切られたマリオネット それぞれの決心

更新日:

やってきました6話です。

魅力的なトリオの関係性を描いたマリオネット(前編)から、その結末が描かれる(後編)へ。僕の記事へのアクセス数やTwitterのRT数からもこのエピソードの注目度の高さが窺えましたね。ありがとうございます。

前編で丁寧に絆を見せてくれたキャラクター達が、別離を選んでしまうほどの苦難が待ち受けていることが確定的であるこの後編。その内容への期待は、初見なりに高いものでした。

今回もそれぞれのキャラクターに即して感想を書いていこうと思います。よろしければお付き合いくださいませ。

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成功に縋ったValkyrieの末路

前編から半年一気に時間が飛び、学院の状況が一変しているところから物語はスタート。

生徒会が仕組んだドリフェスが学院内での一大コンテンツになり、そこで結果を残したユニットこそが覇権を握るという体制主義のような形に。4話までで語られた学院の現状に近い状況になりました。

ドリフェスへの参加を選ばず自分達の道を突き進んでいたValkyrieは、自ずと時代の波に乗り遅れることに。

結果を残している者は当然、その結果を残せている環境に固執するもの。新しい風に対し「どうせ上手く行くわけがない」と判断するし、実際に上手く行かないものの方が多いです。

しかしながら、その中の1つが"上手く行ってしまった"際に、過去の成功者はその波に必然的に乗り遅れてしまう。勢いが出てきても「一過性のものだろう」と思うし、それが確たる存在であると気付いた時にはもう手遅れ…というのが世の常。盛者必衰、諸行無常とはこうして起こります。

そして"時代遅れ"になった者への世間の風当たりは凄惨なもので、一度そのレッテルを張られたものが再び這い上がるのは難しい。新しいことを始めても「終わった奴が何か始めた」「必死だな」と思われるし、同じことを繰り返していれば「ダサい」「馬鹿だ」と罵られる。

その状況を抜け出そうともがく間、ユニットメンバーに方向性の違いが生じ、それが軋轢に発展。チームの絆を崩壊させるというところまでが負のテンプレート。Valkyrieは正にその渦中にあると言えました。

今回はValkyrieの3人、それぞれの"もがき"が争点となる一回だったと思っています。それぞれのキャラの思いの交錯を見て行きましょう。

鬼龍と斎宮

前編では話半分で提示されただけの鬼龍と斎宮の2人の関係性が後編では掘り下げられました。

幼い頃から守り守られの関係性を築き、強い信頼で結ばれた2人。斎宮がイジメに遭っていたという過去も、彼が自分独りの世界に固執して他者と横並びになろうとしないことへの理由付けになっています。わずかな時間で斎宮宗というキャラをより味わい深くする一幕でした。

「こうして動けない僕を見つけて語りかけてくれただけで、大分救われなくもないよ」

らしくないことを言う。
だからこそ鬼龍は斎宮にとって全ての本音を曝け出せる相手…という感じがしてエモみがあるというところ。

そんな鬼龍はこの半年の間に生徒会側への参入を決定。
図らずも斎宮とは違う道を歩むことに。この段階で紅月はもう始動しているのでしょうか。

過去に強く深い関係を構築し、それがこういった形で現在に至るまでしっかり育まれている2人である上に、鬼龍は既に"悪意ある連中"の存在に気付いているにも関わらず、生徒会を裏切ることはしませんでした。ここから、鬼龍にも並々ならぬ事情があることが窺えます。

鬼龍は1話から少しずつ登場。目立った活躍は今のところないながらも、確実に今後への布石を打ってくれています。『あんスタ』はこういった関係性を利用した話の拡げ方が非常に丁寧な作品。彼がメインの話が来た時に、この会話は大きな意味を持つことでしょう。

斎宮はこの時、鬼龍に心配されたことでドリフェスへの参加を決意したように見え、彼と対等な位置に並んでいたいという気持ちが強いのかなと思いました。

鬼龍に心配されないためにValkyrieとしてドリフェスで結果を残すことを選んだのだとしたら、この後に訪れる苦難はより一層悲劇的なものであると言えますね。

勝ちに固執する斎宮の齎した歪み

ドリフェスに参加を決めたValkyrieは、いよいよもって方向性の違いに悩まされることに。

"やるからには勝たねばならない"

その思いに取り憑かれてしまったのは斎宮でした。
今までは無戦だからこそ無敗だったValkyrieでしたが、ドリフェスに出場して敗北を喫したら名実ともに「逃げていただけ」になってしまう。

だからこそ絶対に勝たなければならなかった。その気持ちの大半は自身の世界観を守りたいことだったとしても、その先にはValkyrieを構成する仁兎と影片の名誉を守りたいという気持ちも存在したであろうことは、前編を見ていれば明らかです。

でもマリオネットたる扱いを元から良しとしていなかった仁兎には、残酷なことにその気持ちは正しく伝わりませんでした。完璧なステージをした結果「お師さんのプライドを満足させる以上の意味」を感じることができていなかったということは、そういうことでしょう。

そして画面端では仁兎と同じく苦い顔をしていた影片の心の内が、今回では全く語られなかったのは気がかりです。語られないということは、仁兎とはまた違った価値観で斎宮と接していた可能性が高いからです。

特に彼は前編で、仁兎をリスペクトし斎宮に対し全幅の信頼と尊敬のまなざしを向ける少年として描かれました。影片は仁兎と同じマリオネットの立場にあっても、人間としての立ち位置はかなり違ったところにあったと言えます。

影片については今回ほぼ台詞が与えられていませんでしたが、だからこそ醸し出せる存在感がありました。斎宮を中心とした三者の方向性の違いは、今後も尾を引いていくのだろうと感じました。

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求められているからこその世界観

いよいよ始まるValkyrie初のドリフェス。
練習に練習を重ね、今まで以上に完璧を突き詰めた世界観を体現するステージとなるはずでした。

しかし、彼らに向けられた観客の目線は熱意あるものではなく、果てしなく冷ややかなものでした。

Valkyrieは学院で頂点を極め今までドリフェスに参加していなかったことにより、自らを求めてやってくる者の前でのパフォーマンスに慣れ切ってしまっていました。でも今回は"そうではない観客"を前にしたステージ。

彼らは斎宮宗の構成する世界観の上に立つ者であり、その独自性が評価されていたユニットと解釈しています。独自の世界観を持った表現は、それを受け入れてくれる者の前では極上の存在となり得ますが、そうではない者にとってはただの"痛い連中"になり下がるリスクを孕んでいます。

観客がさして興味のない人達に求めるものは「何となく楽しませてくれるステージ」であり、それを度外視して自分達の世界を体現することだけに執心するパフォーマーに心を動かされることはありません。

まして知名度を持ちながら"過去の人"のレッテルを張られているValkyrieに対しては、尚のことその評価は厳しいものになるでしょう。

4話でTrickstarが紅月に勝利できたのは、ひとえにこの興味のない観客の心を掴むことにパフォーマンスを全振りできたから。ドリフェスで強者の間を潜るにはこの発想が必須であるように見えます。

朔間が斎宮と同じ五奇人でかつ友人であるのならば、Valkyrieの敗走はTrickstarの勝利に繋がるものだったのかもしれません。

そしてそんな状況に追い打ちをかけるように訪れたのが例のトラブル。アイキャッチ明けから6話の肝とも言うべき展開です。

トラブルが気付かせた真実

音響トラブルにより、パフォーマンスの中断を余儀なくされるValkyrie。

照明含め何から何まで落ちていたのでどう見てもトラブルなのですが、台詞上は通してあくまで「音響トラブル」と言い張っていたことを考えると、照明落ちはもしやアニメ的な見栄えの問題による変更かな?と思いました。

通常のステージングであれば、音が止まれば間違いなくトラブルと判断されるものの、独自の世界観を守ってきたことで「演出」の可能性が残ってしまうという裏目。だからこそValkyrieの世界観を守るために歌を歌わなければならないと仁兎は考えたのでしょう。

完璧主義者である斎宮はこういったイレギュラーケースに柔軟な対応ができるとは思えませんし、実力を考えてもここは否応なく仁兎が先陣を切らなければなりませんでした。

しかしながら彼は長い間歌を歌うことを許されておらず、声変わりの影響で録音された音源通りの歌を歌うことができません。

そして何より「Valkyrie(斎宮)の世界」の上で踊るマリオネットでしかなかった彼は「勝手が許されない」立場にあったことも大きな災いに。

結果として、仁兎が咄嗟の判断で歌を歌う勇気を持てないのは致し方ないと言え、ここで彼が一歩前に踏み出せなかったことは責められる要素ではないと思います。

縦の繋がりでトップダウンを決め込んでいる集団は、上の指示が仰げないトラブルへの対応力がないというのもよくある話。Valkyrieの関係性は、社会的組織の縮図のような要素が多分に盛り込まれているなぁと感じます。

不確かな影片の想い

そんな状況を打破したのは、もう1人のマリオネット 影片みかでした。

仁兎はその彼の行動を「マリオネットの束縛から脱したかった」という意思表示と受け取り、志を同じくする者として彼の想いに便乗することを決めました。

それを見た斎宮も管理と統制「失敗させないことを愛情」として歩んできた自らの行いを恥じ、彼がValkyrieの在り方を見詰め直すキッカケとなる…といった流れでした。

でも何となくですが、影片はやはり「ここでそんなに難しいことは考えていなかったのでは…」というのが個人的な感想です。

彼はただ単純に「Valkyrieを守りたかった」から、その想いだけで前のめりに行動したのであって、それ以上の考えはないように見えました。斎宮から逃れたいとかそういう気持ちを持っているようには、少なくともこのエピソードを見ている限りはとても思えませんでした。

そしてそれを観客席後方で見ていた蓮巳だけが感じ取っていたように思います。「人数合わせなど1人もいなかった」という発言はつまり「ユニットにとって必要だった」という意味。あの時影片が"今のValkyrie"を守ったことを蓮巳は評価したのだろうと感じました。

斎宮にとってValkyrieは自身の分身その物であり、変わるとか変わらないとかいう評価軸の上に立っていません。それについて仁兎は変わることを望んだのに対し、影片は変わらないことを望んだのではないか、というのが私見です。

問題は仁兎が影片の想いを履き違えるのは致し方ないとしても、斎宮さえも仁兎の方の考えに傾倒していたということ。影片と斎宮の関係は今後どうなっていくのでしょうか。

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天祥院英智の謀略

Valkyrieにとって一つの大きな成長の場となるはずだったこのドリフェスは、1人の男の策略によって大きな一波乱を生むことに。

天祥院英智その人である。
お前はロクな死に方をしないぞ!!!

自分の世界を前座に使われ、他人の世界の一部とされたことにショックを受けた斎宮は、再起不能なまでのダメージを受けてしまった…のでしょう。

前半に遡ると彼は、鬼龍との会話でドリフェスのことをイジメッ子と重ねている部分があり、彼らのことを自身を貶めようと集団で襲い掛かってくる存在と認識していたようです。

廊下で倒れていた理由は定かではありませんが、あの夢をこのタイミングで見たというのも含めて、彼が現状にトラウマを刺激されていたと考えて良いと思います。

ですからイジメッ子たる彼らの世界の一部に、絶対的であった自らの世界が利用されてしまったことは、斎宮宗の人間性を全否定されかねないものであったはずです。

そのダメージが我々の想像を絶するものであったことは間違いありません。引き篭もりになり、天祥院英智に恨み言を吐き続けるのも無理はない。彼はトラブルが作為的なものであったことも、あの一言で察したのだろうと思います。

…と、僕は思うのですが、あの一瞬で何が起こったのかを読み解ける人(特に初見)がどれほどいるのかは正直分かりません。自分を上げるようで恐縮ですが、普通に見ていたら「急にどうした?」と言われても仕方がないかもなぁとは思いました。

あの数秒にここまでの情報を盛り込み「ちゃんと見ていればあの一瞬と一言で全て察せるだろう?」と言わんばかりの暴力的な映像構成は、菱田監督の手癖かもしれませんね。キンでプリではよくある。久々に菱田正和の話をした気がする。

人を貶めるのに長けたしたたかな頭

天祥院英智がどういったキャラなのかは未だ分からないままですが、ドリフェスの仕組みがこの時点で固まっているのだとしたら彼の思惑は感じ取ることができます。

本来であれば、ドリフェスは実力のある者からステージに立つ仕組みなため、確実に勝ちたいのであればそのルールに則って自分達を前に置けば良かっただけのこと。

天祥院英智はそれをせずにあえて奇人達を前に出すことで、彼らを強者として認めたように大衆に見せかけたと思われます。

そしてその状況下で自ユニットfineが完全に人気を獲得することで「奇人の時代は終わった」と明示、自分達が絶対的な覇者となったことを誇示することに成功。これで晴れて生徒会による絶対主義が確立されるという流れ。

精神的な脆さがあった斎宮を完全に排除すべく、彼が最も屈辱を背負うであろう世界観崩しと乗っ取りを徹底した可能性もあります。だとすれば自身を悪者にせず他人を貶めることに長けた、非常にしたたかな頭の持ち主だなと判断しました。

今後彼が本性を現してくるのが楽しみです!

日々樹渉の導き 仁兎の決心

魔のドリフェスからさらに月日が流れ仁兎は3年生に。
Valkyrieは斎宮が再起不能になったことで無期限活動停止状態。

ひきこもりになった斎宮の世話を焼く影片に対し、新しいフィールドで彼の帰りを待つ仁兎。行動の差がここでも垣間見えましたね。

そして現れた日々樹渉!
お前が噂には聞いていた『あんスタ』のヒビキワタルか!(※『キンプリ』にも響ワタルが登場します)なんか見た目もちょっとシャ○○に似てるな!

「君も好きなんだろう僕のことが?」とか言い出しそうな軽快なキャラクター。お姫様だと思っていたら変態だった。五(三)奇人の1人でありながら「あの頃の英智は…」と生徒会長との個人的な繋がりも示唆していたのもポイント。

アーティスティックな気質なのは斎宮と共通しているようですが、自ユニットがValkyrieと同じように前座にされたことについて特別な感慨があるようにも見えません。存在の軸が他者評価ではなく自己評価にあるタイプのキャラなようです(憶測)だから王子様役が酷い棒読みだったのかもしれない。

個人的にもかなり好きなタイプのキャラなので、彼がメインで活躍する話も是非見てみたいと思います!

斎宮が引き篭もって以来、糸を切られたマリオネット状態だった仁兎を奮い立たせ、Ra*bits結成を促した日々樹。その先には斎宮を救いたいという想いがあるようです。

「たとえ笑顔の仮面でもねぇ、それを見て他人が笑うこともあります。宗は貴方の笑顔が世界で一番愛らしくて、大好きだと言っていました」

最終的に仁兎に行動を決心させたのはこの言葉だったように見えました。つまり仁兎はこの時点では斎宮を救うために動き、Valkyrieを取り戻すことが動機の根底にあったと考えられます。

Ra*bitsの結成はValkyrieを救うため。
そのために彼はキャラを変え自分で動き、笑顔の仮面を被って活動することを決めたのかもしれません。

でも仁兎はそのユニットで(現段階では3人ユニットだったかのような話になっているが…)4人の下級生を導く側になり、兄ちゃんになり、慕われる存在になっています。

Ra*bitsとしてデビューし、斎宮と同じようにリーダーとなった彼の今の気持ちが向いている先は、結成当時とは違っているのだろうとも感じます。これはきっとRa*bitsの物語が改めて語られる回が来た時に分かることでしょう。

ひとまずマリオネットにおけるValkyrieの物語は、一旦ここで幕引き。今後への期待が高まります。

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おわりに

2話に渡って非常に濃密な人間関係が描かれ、次回以降への伏線も張りまくった見応えのあるエピソードでした。

アプリではメインストーリーではないシナリオとのことですが、早い段階で持ってきたのは英断だったと言えるのではないでしょうか。

初見的に言うと、4話まで提示されたドリフェスの仕組みをより深いところから知ることができる話でしたし、生徒会による絶対主義の形成が語られる話でもあったため、この作品の設定や世界観をしっかり固めることができたように思います。

話でしか聞けなかった奇人が2人登場し、話半分でとりあえず置かれてしまったRa*bitsの掘り下げと布石打ち、鬼龍や蓮巳といった紅月の過去や関係性、天祥院英智の謀略と、4話までに登場した設定の多くが活かされて発展するエピソードだったと言え、とにかく発見が多い2回に。

もちろん主題であるValkyrieの話も今後続きがあるのでしょうし、影片の心内や仁兎との休止中の関係などは結局よく分からないままだったなど、気になる点は多いです。

4話で1つの完結を迎えたことで、5話や6話はそこまでで存在する設定を活かし、「今後より面白くなるだろう」という期待を持たせる必要がある重要な回でした。

そういう意味でも、主題の話が分かりやすく悲劇的にまとまっており、そこまでの設定だけで過不足なく理解できるこのマリオネットという話が拡げた作品感は大きいと思います。

話が面白かっただけでなく、今後より見てみたいなぁと思うものが増えた良質なエピソード。正に「今見れて良かったな」と思えるような物語でした。

7話はタイトル的に天祥院英智の話かな?と思っているので、そちらも楽しみです。今後ともよろしくお願いします。

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