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キンプリオタクの『A3!』ミリしら感想 第13話 「波乱の秋」発足 異なる動機を持つ者たち

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間を挟んでお久しぶりです。
『A3!』秋組冬組の物語の感想も書かせて頂きます。

アニメとしては「13話」からのスタートで別アニメ扱いでもありませんし、当然と言えるでしょうか。また3ヶ月間、よろしくお願い致します。

1クール目は全ての始まりで安定感があった春組、フレッシュなメンバーの交流が魅力だった夏組と、若々しい空気が続く物語でした。

秋組冬組は、過去2組と異なった質感の作風になることが予想されます。

季節で分かれている以上、その季節の雰囲気も取り入れた作風になっていくはず。そんな新しい秋の物語を読み解いて行きましょう。

個性豊かな秋組

全てはやはりオーディションから。
節目節目で座組の変更という観念を利用し一気に新キャラを展開、6話ごとに全く毛色の違うストーリーで演劇の魅力を教えてくれるのがアニメ『A3!』最大の魅力です。

秋組も新たに5人のメンバーがMANKAIカンパニーに加わり、全く新しい物語を紡いでくれることとなりました。

今回は年少組とで統一されていた夏組と打って変わって年齢はバラバラのメンバー。未成年の学生から30代までざっくばらんに。その開きは春組よりも大きく、今のところ年齢差では3つの座組の中で最大となりました。

特に今回は年齢だけでなく人間性の開きも大きく、特に演劇自体に全く興味がない(やる気を持っていない)キャラクターが登場するのは今回が初めてです。その他にも全体的に見て、かなり曲者が多い印象を受けています。

春組と夏組は初回だけでも何となくその人となりを察することができたり、どういう理由でMANKAIカンパニーに参加しようと思ったのかに想像が及ぶストレートなキャラが中心でした。

その点で秋組は何を考えているのか全く分からないキャラが多く、その動機も表面的な部分からは全く想像できないキャラクターばかりです。特に借金取りとして物語の中枢にいた古市左京が、ごく当たり前のように参加してくるのには驚きました(12話で伏線があったとは言え)

13話の段階で秋組の全体像を把握するのは難しいですし、何をテーマとした座組なのかも今のところ分かっていません。一見チグハグに見える各キャラクターの個性が見えてきた時、その内情を知ることができるでしょう。

今の段階ではまずは様子見。何の統一感もない彼らだからこそ、演劇を通してまとまって行く快感も強く大きく表現してくれそうで楽しみです。

摂津万里の人間性

今回フィーチャーされたキャラクターは、2人組(?)のヤンキーの片割れである摂津万里くんです。彼がまず取り上げられたということは、秋組の中心人物は彼であるということでしょうか。

上記した「特に演劇自体に全く興味がないキャラクター」がこの万里であり、真澄よりもダウナーで天馬よりも態度がデカい。キャラとしてのスタートは考え得る中でも最悪級と言ったところ。

演技についても小器用にこなすことができ、秋組の若手メンバーの中では初期能力も高め。故にその歪んだ性格がまた鼻についてくるキャラクターです。

小器用なのは演技だけでなく、今までの人生のあらゆることを大した努力もせずに成功させてきたという過去が語られています。何事にも本気になることなく人並み以上の成果を出せることから、逆に人生に退屈を覚えてしまっている悲しい少年。それが摂津万里でした。

こういった表現活動は、スポーツや勉強などとはまた異なった素養が必要な分野です。例えば東大生だからと言って、必ずしも芸術にも長けているわけではありません。

しかしその中で万里は、表現技術についても人並み以上のことをこなせる万能な才覚を持つ少年でした。演技でさえ今までの延長でこなせる範囲内の活動であり、全く興味がないながらも成果を出すことはできてしまう。それがそのまま、演劇を軽んじる価値観にまで繋がっています。

演劇がモチーフの作品でここまで清々しく演技を馬鹿にしているキャラを見られるとは思っておらず、その在り様は実にセンセーショナル。確かに中心人物に座るにふさわしい逸材と言えるのかもしれません。

ですが演技については「小器用な人間ほど最初は上手く見える」ものの「それが必ずしも真の技術や魅力に繋がっていくわけではない」ことが、既に夏組の物語の中でも触れられています。

追求すればするほどにそのポテンシャルが仇となり、途中で大きな壁にぶち当たることも少なくありません。彼に期待するのは、そういった突き詰めることに苦しむ姿でしょう。

「できるはずなのに」「できていたはずなのに」
そういった焦りと絶望の表現を担当させるのにこれ以上のキャラはおらず、同時にそこからの大きな成長を見せてくれるのもまた彼のようなキャラクターです。

演劇は陰鬱とした感情を煮詰めて表現するのにこの上ない存在ですし、それら含めて清濁併せ呑んだ先のカタルシスにも独特の味わいが生まれます。OP前では少し雰囲気の違う姿を見せてくれていますし、その変化を楽しめそうです。

兵頭十座への執着のみが動機

万里がMANKAIカンパニーへの参加を決めた背景には、より厳ついヤンキーである兵頭十座の姿がありました。

何事も卒なくこなしてきた万里を、喧嘩という分野において一撃で再起不能にした十座。その圧倒的敗北の味は、万里に十座への酷い執着を植え付けました。人生で敗北を味わったことがないからこそ、その個人への執着は何倍にも大きくなります。

その十座が演劇に目覚めて喧嘩に応じなくなったことから、万里は仕方なく同じ舞台の上で彼を打ち負かすことを選びます。つまりあくまで万里は、演技ではなく兵頭十座を理由に座組に参加することを決めたのです。重いなァ!感情がよォ!!

人に執着して演劇を始めるという点では真澄にも同じ傾向がありましたが、少なくとも彼は演劇に対しては真摯でした。動機はどうであれ、目の前のことに真剣に臨めば人は成長できるもの。それがあるかないかには雲泥の差があります。

少なくとも今の万里にはその真摯さがなく、その眼中には100%十座への執着しかないように思います。それがどう物語に影響するのかが、秋組を紐解く上で最も重要な要素の1つになりそうです。

2人の関係性自体は決して珍しいものではありませんが、演劇を通してこれを解決するとなると話が変わります。あまり他では見られない構造のストーリーになることが予見され、先の展開が混迷を極めて行くような気がしています。

何より、こういう関係性は個人的にも好みの域なのでワクワクが止まらない。彼らだけでも秋組はかなり楽しめそう。テンションが上がっています。

今回活躍したキャラクター達

それでは1つの始まりということで、その他の秋組メンバーの第一印象も順番に見て行きましょう。

兵頭十座

お前、大和アレクサンダーか!?
おっといかんいかん(?)

最強のヤンキー。喧嘩をさせたら誰よりも強いという、一見すると演劇からはかなりかけ離れたところにいる少年。しかし芸能界を見ればアウトローな雰囲気を持った役者は数多くいて、一定の需要があるのもまた事実です。

万里に「ヤンキーとチンピラ以外の役できんのかよ?w」と言われていますが、逆にそういう荒くれ者を真に迫った芝居で魅せられる役者ほど貴重だったりします。演劇は役割分担が大事な活動ですから、全てを上手にできる必要はないのです。最初は得意分野を活かすことが大事です。

とは言え演技幅は広いに越したことはありません。そもそも彼は芝居のイロハも分かっておらず、不器用でセンスがあるようにも見えません。「役を演じる」以前にやるべきことがたくさんあるでしょう。とりあえずオーディションの「ありがとう!!」の言い方に人間味が表れててとても良かった。

小器用にこなせる万里とは対照的な芝居人となりそうですが、不器用でも熱意があれば独自の輝きを放つことができます。最初から上手いことと上手くなれることは違うというのは、春組夏組の物語でも感じられていたことです。

下手なところから努力を積み重ねて上達する。その過程に大きな差はないとは言え、最終的な輝き方は持っている要素によって1人1人違ってくるもの。彼がどのような未来を描いてくれるのかが楽しみです。

後半では夏組の椋と親戚?関係であることも明かされ、彼が舞台に興味を持ったのは夏組の芝居を付き合いで観に来たことがキッカケのようです。

自分と全く違った自分になれる。椋を見て演劇のそんなところに魅力を感じたとしたら、十座は「自分を変えたい」という気持ちを人一倍強く持っている少年と取ることもできます。その辺りの人間性も要チェックですね。

七尾太一

一成とノリ被りが激しい少年。
幸くんを女の子と思い込んで惚れ込んでいたものの、真実を知り開幕1分であえなく撃沈。別に男同士でも良いのよ。

一成に比べて諸々の反応が正直なので、感情に従順なだけで「何か理由が合って努めてそのキャラを演じている」タイプではなさそう?な気もします。

反面、天馬と顔見知りであったり、演技未経験とは思えないセンスを持っていたり、「劇団あるあるの泥沼恋愛劇」という幻想(真実)の存在を知っていたり、とにかく"何か"を匂わせまくってくるのが気になるところ。

今のところ明確に分かっていることはありませんが、徐々にパーソナルな部分も分かってくるでしょう。何かと落ち着いた(荒んだ?)空気が強い秋組の中で唯一のフレッシュ枠。どんな振り回され方をしてくれるころやら、です。

伏見臣

カメラマンとしてちょくちょく話に参加していた彼が、いよいよ持って舞台の上に。

「役者になるのが俺の夢に"なった"」と言っているように、心情の変化があったことを感じさせます。当面は、MANKAIカンパニーと絡んだことで色々と感じるものがあったと解釈しておきましょう。

現在登場しているキャラクターの中でも圧倒的に落ち着き払っていて、恐らくだが確実にオカン枠。大学3年生ということなので、歳不相応に落ち着いてるキャラクターという感じでしょうか。

感情的になりがちな年下3人とヤクザという文面にするとかなりしんどい4人の調整役で、何かと苦労しそうなポジションに座ってしまった臣さん。ただその態度とは裏腹に、胸に秘めた熱いものがありそうです。

天馬によく通る声を評価されていましたが、その発声からもやる気とか前のめりな気持ちを感じることができて大変に印象が良いですね。芝居を通して、色々な顔を見せてみてほしいです。

古市左京

「ずっと昔からMANKAIカンパニーを見守っていた人」と監督に評された時に流れたダイジェストが、とてもそうは見えないシーンばかりで笑ってしまった。

実際、過去のMANKAIカンパニーと何かしらの縁がある人物であることは示唆されていましたが、ここに来て役者という形で物語に大胆参戦。役者経験はオーディションでの言葉以上に豊富そうです。はてさてどうなることやらという感じ。

職業はヤクザで態度もヤクザですが、物分かりは良く対応は真っ当な大人。

特に役者として門を叩いた以上は「監督の決定が最優先」という思いを強く持っていて、変に偉ぶったり借金取りとしての顔を覗かせようとはしません。

流石は序列に厳しい世界で生き抜いてきた青年という感じ。組織を回す上で必要なことをよく理解してくれていますし、今後の運営に関していづみの大きな助けとなってくれるように思います。

問題児たるヤンキー2人の(色んな意味で)格上存在で、彼らを諫める役割も担当。力を持つ者はより強い力を持つ者が説き伏せるのが手っ取り早く、秋組の活動においては肝心なところを締めてくれるキャラになりそうです。

臣さんがオカンなら左京さんは親父…?いやまぁ今それを語るのは早計ですね。あくまで13話時点での役割の話なので。

左京は誰とどのような関係を築いて行くのかが何とも見えてこないキャラクターでもあり、それ故に秋組全体の方向性を決定付ける鍵を握っているような気がします。

MANKAIカンパニー全体で見ても、今のところ最年長。意外なキャラとの意外な絡みに期待したいところです。

皇天馬

すごく使い勝手の良い説明マンと化した。

おわりに

春組→夏組は始まりの物語としてしっかりバトンパスが行われていて、分かりやすく繋がりを持っていた印象でした。新たに始まった秋組はここまでの流れからガラッと変わり、全く違った質感の物語が展開される予感がしています。

春組、夏組のメンバーが演劇を始めた理由は、割と誰でも理解しやすいオーソドックスな内容でした。実際に近しい理由で演劇を始めたことがある人も多いようなキャラが多かったと思います。

しかし実際にはそれが全てではありません。演劇を始める理由は、本当に様々な内容があって良いものです。

どんな立場の人でも、どんな生い立ちの人でも、自分にしかできない表現を身一つで突き詰めることができる。それが芝居の大きな魅力だと思います。

秋組は、それを少しだけマイノリティな視点から感じさせてくれる内容になって行きそうです。

演劇の根源的な魅力を多面的に感じさせてくれる『A3!』。その新しい可能性に期待しながら感想をしたためさせて頂きます。今後ともよろしければこの感想群もご贔屓に。それではまた次回の更新で。

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