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【超感想】『ロックマン11』8年ぶりの新作 原点回帰と新時代を上手くミックスした良作

2018年10月9日

引用元:『ロックマン11 運命の歯車』ジャケット

ロックマンシリーズ最新作!『ロックマン11』ついに発売と相成りました!
本当におめでとうございます!

無印のロックマン新作は8年ぶり。カプコン謹製で言えば実に22年ぶりと満に満を持しまくって出てきた新作です(※9と10の開発はインティクリエイツです)

9と10ではファミコンリスペクトのドットスタイルであったため、最新ハードのスペックを活かして作られたロックマンも8以来20年以上ぶりのことで、ゲームの歴史が1つ動いた瞬間と言えるのではないでしょうか。

しかしながら不安要素もありました。
元々ロックマンシリーズを開発していたスタッフの多くはカプコンを退社し、現在残っているスタッフがちゃんとしたロックマンを作れるのか…などですね。というのも、後続となる『ロックマンX』シリーズでは、作り方をよく分かっていないスタッフによる俗に言う駄遺産ゲーが連発された時期があったからです。

これすらももう15年以上前の記憶になりますが、我々に「カプコンはもうロックマンを作れないのでは」という深い傷跡を残した時期でもあります。9と10も良作だとは思っていますが、会社の方針的には「作りたい奴がいたから作らせてやった」というイメージはありました。

ですが、今回『11』はどことなくそうではない。
ここで気合いを入れ直し、このシリーズをもう1度カプコンの顔にして行こうという気概を感じられるプロモーションでした。

だからこそこのリブート作『ロックマン11』には期待したい。
そう思っている人がたくさんいるはずです。

気にはなっているが、何となく熱が冷めてしまって手が出し辛い、買おうか悩んでいる。そんな方々がのために、今回1通りゲームをクリア(オリジナルスペック)したロックマン歴20年以上の筆者が、今作の良いところと悪いところを赤裸々に描いて行こうと思います!

よろしければお付き合いくださいませ!

雰囲気を最優先したクラシックスタイル その内に光る確かな進化の形

『ロックマン11』は2018年の最新ハードを利用した美麗グラフィックや新要素が話題ですが、実際のところその中身は「古き良きロックマン」その物と言って相違ないと思います。

3D化に際してありがちな、現実的なモーションの導入による動きのヌメッと感やどことなく愚鈍に見える動きもなく、移動やジャンプの挙動、ステージのスクロールやSEと言った点は、馴染み深いテイストをキープしたまま作られています。プレイしていて、悪い意味で「最新ハードの動き」を感じることはほとんどありません。逆に言うと、全くロックマンに馴染みがない人には「なんでこんなカクカクしてるんだろう」と思われてしまうところがあるかもしれないというところ。

昔からのユーザーなら、プレイすると1発で「ロックマンやってるな」と思える作りになっています。

ですが、それだけなら最新ハードを使って作る意味がないですよね。ご安心ください、ロックマン11にはもちろん昔ながらのテイストから進化した部分もたくさんあります。それをこれ以降に1つずつご紹介して行きますね。

多彩な挙動が可能になった特殊武器

ロックマンと言えば8体のボスを倒してゲットできる特殊武器が大きな醍醐味の1つ。この特殊武器のバリエーションが大きく変化していると言えます。

従来ですと、着弾後の演出や跳んでいく弾の数の変化などに絞られ、攻撃の挙動自体はまっすぐ飛んでいくものが4種類あるとか、似たようなものが多くなりがちなところがありました。そのため、とても使い勝手が良い武器3種類くらいを使い回すことになり、空気化する特殊武器も出やすかったです。

今作では3D化に伴い、攻撃モーションの自由度が各段にアップ。
同じような動きをする特殊武器がほとんどありません。

結果として、状況に合わせて特殊武器を使い分ける楽しみが更に向上したと言えます。その分、武器エネルギーの管理がよりシビアになったとも言えるのですが、新たに追加された装備アイテムを使うことで快適にプレイすることが可能です。

一通りプレイした時に、役に立たなかった特殊武器がなかったなぁとは思いました。性能もうちょっとどうにかならんかったんですかという特殊武器は幾つかあるんですが(笑)それもご愛嬌でしょう。

圧倒的に使いやすくなったラッシュ

おなじみの移動サポートであるラッシュコイルとラッシュジェット周りが大きくレベルアップしています。

まず出現のスピード感が最高に良いんです。
一瞬で出て一瞬で去って行きます。妙な待ち時間がなくこれが爽快で使いやすい。ジェットを狙った高さに出すのも心なしか楽になったと感じます。高速に出したり引っ込めたりすることで、疑似的な足場としても使えるため、使いどころによってはアイテム2号のような空中プレイも可能に。

更に特殊武器扱いでありながらボタン1つにコイルとジェットを別々に設定できるので、いちいちメニュー画面を開く必要がありません。その間バスターを撃つことももちろん可能です。通常ロックマンにサポート特殊行動がついたというイメージ。

このボタン割り当て機能により、特殊武器使用中にラッシュを利用した瞬間に強制的に通常ロックマンに戻るという仕様になりました。これを逆に利用することで、一瞬だけ特殊武器を使用してラッシュを呼び出し、即座にロックバスターに撃ち替えるということも可能に。細かいことですがプレイ慣れしてくると使える小技ですね。

難点は後述する新要素「ダブルギアシステム」にもボタン割り当てが必要となるため、全ての要素を使いやすいようにボタン配置するのが極めて難しいというところ。やることが多いというのは、初心者さんにとっては難しいかもしれません。ただジェットやコイルは通常プレイだと使用推奨される場所があまり多くないので、慣れるまではお飾りでも良いのかも…。

爽快感のある新要素「ダブルギアシステム」

新要素の「ダブルギアシステム」は、周りのスピードをスローモーションにする「スピードギア」と一時的に攻撃力を大きく増強する「パワーギア」の2つを利用できるシステムです。パワー特殊武器に関しては攻撃モーションも大きく変化。『ロックマンXシリーズ』の特殊武器チャージショットのようなイメージです。

これもボタン1つで発動と解除が即座に行える仕様なため、一瞬だけパワーを使って攻撃してすぐ解除する、一瞬だけスピードを使って相手の攻撃を回避する、などのプレイが可能。チャージする手間なく好きな時に特殊武器チャージが撃てると考えると強いですよね。

これがなかなか絶妙なシステム。敵の動きやステージギミックの一部は「スピードギア」を使うことを前提に作られており、はっきり言って攻撃のスピードや激しさは過去最高クラスに厳しいです。しかし「スピードギア」はかなり極端に相手をスローにできる上、効果のない場面は存在しません。全てのボスをスローにできます。攻撃の始動だけでもスローにして備えておく、攻撃の隙間を見ておくなどの技術を覚えておけば、ほとんどの攻撃が問題なく回避できるようになります。

そのため「スピードギア」を上手く使うことで、ボス全体の難易度は控えめというところ。逆にスピードギアを縛ることで過去作以上の難易度でボス戦を楽しむこともできるため、ステージやボスの挙動を必要以上に簡略化せず、プレイスタイルによって細かい難易度調整ができる仕組みになっています。

「スピードギア」発動中はロックマンの動きも若干遅くなりますが、等速のまま動かせる装備アイテムもあり、遊び方は無限に拡がります。こういう新要素は失敗の種だったりすることも多いですが、今作ではかなり理想的に機能していると言って良いかと思います。

タイムアタックやノーダメプレイでは、いかにこのギアの切り替えを細やかに行えるかが攻略の鍵になりますし、やり込みプレイにおいても細かい修正点などを勘案する必要が出てくるのが面白いです。ラッシュの最適化も合わせて、やり込み勢にとってはより洗練されたクオリティだと言えるのではないでしょうか。

徹底された難易度調整で遊びやすく

ロックマンと言えば高難易度アクション。それくらい骨太なイメージが強い作品です。

今作ではオリジナルスペックと呼ばれる従来の作品難易度の他に、初めてロックマンをやる人向けの難易度、久々にロックマンをやる人向けの難易度が選択可能です。更に上のエキスパートという超難易度も用意されていて、難易度の細分化がかなり進められています。

ここまでは公式サイトなどでも確認できる情報ですが、実際プレイしてみると更に細かく調整が可能になっているのが分かります。その一部をこれより下でご紹介します。

アクション周りを強化する装備アイテム

その1つがロックマンの性能を強化する装備アイテムです。
のけぞりを小さくしたり、ロックバスターの弾を大きくしたりと基本スペックを上げるものの他、武器エネルギー回復周りの最適化や敵から回復アイテムが落ちやすくなるアイテムなどを購入し、自由に装備することが可能です。ステージ内での付け外しも可能なので臨機応変に切り替えられます。

購入と言っても拾えるネジ(通貨)の量と対比すると実質タダのような価格。難易度に関わらず使用が可能(エキスパートは未確認)なので、使うも使わないもプレイヤー次第というところ。

これらの装備アイテムは使った方がもちろん快適ですが、1つも使わなければファミコン当時のプレイ感をほぼそのまま維持して楽しむことが可能です。与えられているものなのだからと使うも良し、縛りプレイをしてみるも良し。細かい難易度調整をユーザーの気持ちのさじ加減で行うことができるようになっています。

無限に購入できる消費アイテム

装備アイテムと同様に、E缶やW缶、残機も購入で簡単に増やせてしまうのが特徴的。最初は上限6個ですが、最終的には最大9個所持が可能です。針での即死を回避するアイテムなども買えるため、実質的な難易度ダウンをプレイの途中で行うこともできるようなラインナップになっていると言えます。

なのでE缶をMAX所持することで、ほぼ全てのボスをゴリ押しで突破することもできるというわけです。これも難易度に関わらず購入できるため、例えばオリジナルスペックでクリアと言っても、E缶などを購入して使ったか否かで体験したゲーム性にはかなり差があると思います。

従来作品と同じようにステージ上に配置されているE缶や1UPもあり、これは逆に1度取ると復活することがありません。そのE缶だけを使ってプレイすることでファミコン当時の再現プレイが可能というわけです。アイテムが自由に買える分、ステージ部分については妥協なく難しい形に仕上がっていると言えます。

前述した「ダブルギアシステム」の利用もユーザーの手に委ねられている(無くてもクリア可能)こともあり、ユーザーの腕やこだわり次第で、なるべく多くの遊び方が成立するような配慮が為されています。
従来のユーザーが満足でき、新規ユーザーも楽しめるゲームを目指していることがしっかり伝わってくる作りです。シリーズ再始動への本気を感じますね。

公式タイムアタックなど進化したやり込み要素

ロックマンと言えばやり込みによるスーパープレイ。動画共有サイトが発展して以降、様々なプレイ動画がアップされるようになり、ネットユーザーを中心に盛り上がるを見せることが多々ありました。

今作ではゲーム内にあらかじめチャレンジモードを搭載。
通常のタイムアタックはもちろんのこと、少ないジャンプ回数や被ダメでクリアするモード、ボスラッシュトライアル、高難易度のチャレンジステージなど幅広いやり込み要素が用意されていて、それら全てが回線を通じてランキングされる仕組みになっています。

しかもこれらのリプレイ動画を全てゲーム内で確認することができるため、上位勢のプレイをいちいちネットで検索しなくても全てそのまま閲覧することが可能です。もちろん、自分のプレイを見直して修正箇所を探すこともできてしまいます。

シリーズ発売停止中の期間に変移したユーザーの楽しみ方をしっかり取り入れ、最新ハードだからこそ実現できる方法でやり込み要素を遊びやすく整えています。プレイ中に滅茶苦茶苦戦した部分を、上手い人がどうクリアしているかをチェックして「そんなクリアの仕方が!」という発見をするのも楽しいですよね。いつでも簡単にそれができるんです。

個人的には、特殊武器を駆使してステージ攻略を考えるようになったのが、他人のスーパープレイ動画を見始めてからなので、「これからロックマンをしっかり楽しんでみたい!」という人にとって、1ランク上のプレイ映像をすぐに確認できるというのは良いことだとも思いますね!

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ネットで話題に上がっている悪い点

以下ではネットで上がっている悪い点について、僕なりの回答をしたいと思います。
今作は今までプレイしてきた人と新規ユーザーとでかなり評価が分かれる部分があると思いますので、なるべく分かりやすく解説して行きたいと思います。

ボリューム不足は言うほどではない

ボリューム不足が話に上がっていますが、個人的には言うほどではないという印象。従来作品をプレイされている方なら、まぁこんなもんかと思えるくらいだと思います。しかし5000円のゲームとしてはエンディングまでの時間がかなり短いので、不満が上がるのも分かりますね。

購入したE缶を連打してクリアすれば、初見でも4時間もかからずクリアすることが可能だと思われるため、そういう楽しみ方をしている人達にとってはちょっと物足りないかなぁというところ。

ですが、元々ロックマンはやり込み前提で楽しむゲームであり、繰り返しプレイをしてプレイ時間を重ねるタイプのゲーム。慣れてくれば1時間程度でクリアできるようになるという爽快感も大きなポイントです。ボリューム不足を謳われる方々には、是非そちらの奥深さを体験してほしいとも思いますね。

付け加えておくと、ワイリーステージが短めなこともあり、従来作品と比較してもステージ数が「少ない方」なのは事実。ブルースやフォルテといったキャラクターも登場せず、ワイリーとの決戦だけを取り上げたシンプルな作りなため、従来ファンにはそちらで不満が出る可能性も。逆にこれは新規ユーザーを意識して「過去作前提の話にはしない」という結果だとは思います。

BGMは電子音中心でロック感は薄い

BGMに厳しい評価がついているのをよく見かけます。
しかしながら全体的に電子音中心の音使いでエグゼや流星に近いテイストなので、どことなく柔らかく優しい感じが漂う音楽性だと思います。時を超えた新作として、未来感を重視したこのスタイルも個人的にはアリだと思いますが、硬派さが望まれているであろう本家っぽさが薄いというのは否めないかなと…。

作品自体のテイストが全体的にポップでカジュアルなので、BGMもそれに沿った形だとは思います。ボイスもついているし、3Dも全体的にイラストを尊重した可愛いイメージ。無言で突き進む今までのロックマンから感じられたどことなく強く切ないイメージはあまりないのです。

その代償として音楽も耳馴染みが良すぎて「印象に残る曲」が減ってしまったという印象。
進化の結果なのかなぁとは思います。

あとはボイスやSEの聞こえを優先してBGMの音量やクオリティを下げるということが最近は当たり前なので、昔のようにBGMが際立ってる聞こえるという作品は減りました。よっぽど壮大な音使いの曲でないと曲単体を認識するのは結構難しい時代。優しい音使いの今作は、その波にあまり適合できなかったと言えるかもしれません。

ロックマンは元々BGMが強い作品だったのもあり、裏目を引いてしまった感じでしょう。
期待値が高すぎただけで、叩かれるほど酷いということはないですよ。良い曲もたくさんあります。

ステージの冗長さは試行錯誤で改善される

今作はとにかく1ステージが長く感じるのが特徴。
特殊ギミック+穴やトゲと行った即死の仕掛けとのギリギリのせめぎ合いが多く、しかもその先がかなり長いということが多いので余計そう感じるのではないかと思います。即死トラップのヒートアップでうなだれるなんてステージもそこそこあります。そのため、初期残機2で突入するとだいたいゲームオーバーでまた酷い目に遭います。長く感じます。

あと中ボスの挙動が特徴的で強力なものが多いのも初見は引っかかります。雑魚敵もガード状態が長かったり、チャージショット1撃で倒れないものが数多くいるため、至る所で足止めを喰らいやすいのもマイナスです。

ですが、これらはプレイして慣れてくるとあまり感じなくなります。
雑魚敵は特定の特殊武器利用でサクサク倒して行けますし、中ボスも弱点設定があり、それが分かれば何もさせることなく概ね5秒以内にどれも瞬殺できます。プレイを工夫して行くことで1ステージの長さが言うほどではないことにはだんだん気付けて行くのではないかと思います。

バスターだけで攻略するとイライラさせられること請け合いなので、挙動が多彩になった特殊武器を駆使しまくって進むことを心掛けることが大切!そうすれば想像以上のサクサク体験が待っているはずです。即死トラップの応酬を除けばですが!!

まとめ ~最新作として十分な良作~

長々と語ってきましたが、個人的にはスマートな作りの作品で好感触。
そのため、肯定的な意見多めでお届け致しました。

改善点、批判点などもあると思いますが、このご時世に2D横スクロールのゲームをド真面目に作って、(現状)賛が多めの賛否両論というだけでも十分なクオリティであるのではと思っています。

正直、完成してプレイするまで油断できないと心から思っていました。
それは、過去のカプコン謹製ロックマンが悲惨な末路を辿ったこともありますし、日本ゲーム業界全体のコンシューマ開発技術が落ちている、軽んじられている現代で、こんな2D横スクを馬鹿真面目に作るなんてことが本当にあるのだろうかという不安が拭えることは、どうしてもなかったのです。

ですが、今回カプコンは2018年にできる全力の『ロックマン』を見せてくれました。紛れもなく作品愛に溢れたスタッフによる、優れたアクションゲームとしてロックマンをリブートしてくれました。

最近は過去のゲームが再始動で復活するというパターンも少なくなく、僕が愛好しているゲームにも大復活を遂げてくれたものが他にもあります。ですが、そのほとんどがソシャゲ絡みの展開からによるもので、コンシューマで満足の行く作品を生み出すのにはまだまだ時間が必要そうだと感じています。

そんな中で『ロックマン』というシリーズを、"ファンが最も望む形で"もう一度という方向に舵取りしてくれたカプコン、そしてそれを考え得る限りベストな状態で生み出してくれた開発スタッフの方々に、最大限の賞賛を送りたいと僕は思います。

今後にも是非期待させてもらいたいという気持ちです。
僕が大好きな『Xシリーズ』や『エグゼシリーズ』も大復活させてほしいです。

『ロックマン11』はシリーズ全体に今一度良い流れを呼び込んでくれる作品になったと思います。
迷っている方は是非自分の手でプレイして、その面白さを値踏みして頂ければと思っております。

この記事がそれへの一助となりましたら幸いです。
お読み頂きありがとうございました。

  • この記事を書いた人

はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。美少女よりイケメンを好み、最近は主に女性向け作品の感想執筆を行っている。キャラの心情読解を得意とし、1人1人に公平に寄り添った感想で人気を博す。その熱量は初見やアニメオリジナル作品においても発揮され、某アニメでは監督から感謝のツイートを受け取ったことも。

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