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こんなところに感想が…ツイてるわ『カメラを止めるな!』感想&解説!

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話題沸騰『カメラを止めるな!』

観て参りました。
シナリオライティングに勤しみ、数々の作品を見てきた僕のような捻じ曲がった見方をする人間をして

これは面白い!!

と手放しに絶賛できてしまう映画でした!
むしろ僕達のようなクリエイティブな人間ほど絶賛してしまう映画という感じ。

卓越されたその"創りの上手さ"から国内外で絶賛されている今作。

僕が見て感じた面白いところを、クリエイティブな観点を交えながら解説して行こうと思います!
よろしければお付き合いくださいませ!

※ご注意※
以下は作品の多大なネタバレを含みます。
この作品はできる限り予備知識を入れないまま観た方が楽しめる作品です。
以上を理解した上で、ここから先は自己判断でお読み進めくださいませ。

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作品あらすじ

とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。
​本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。
そんな中、撮影隊に本物のゾンビが襲いかかる!​
大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。

”37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイバル!”

……を撮ったヤツらの話。

(※公式サイトより抜粋)

映画を撮る映画を撮る映画という感じの今作。
正直この情報も知らないまま観た方が楽しめると思う。
僕はなーんも知らずに観に行きましたが、余計こんがらがって最高でした。

「気になるポイント」が見つけられるほど楽しめる

この映画は基本的にマニア&業界人ウケが半端ではない作品だと思います。
そもそも、こういう低予算で創られる映画を最初に観るのはそういう人達だけ。

その人達の絶賛があっての配給拡大ですので、映画やドラマを沢山見ている人ほど楽しみが拡がる映画です。
もう少し具体的に言うと、「作品がどうやって作られているのか」を気にする人ほど楽しめます。

「あるあるw」とか「そういうことかー!w」という部分が後半に溢れ返ってしまい本当に面白い。
そこの部分のリアリティが素晴らしい作品です。

逆にあまりそういう部分に関心が無い人が見ると「何て言って良いのやら…」となりがちだとも思います。
舞台裏の知識があるかないかで、後半の見え方がまるで違うでしょうし。

僕もクリエイティブな世界に属す一端の人間です。
なので、前半のどういうところが気になったのかを挙げながら解説して行こうと思います。

それは誰でも気になるだろ。
気にはなったが何が気になったか分からなかった。
そもそも気にしてなかった。

様々あると思いますが、そのモヤッと感の回答に繋がるように心がけて書いて参ります。
そうやって観る人もいるということを感じてもらえたら嬉しいです。

監督の罵声が具体的すぎる

いきなり監督役の監督の罵声から始まる映画なんですが。

役者に対する恫喝がやけに具体的なんですよ。
もう開幕この時点で気になりました。

背景を何も知らんのに、いきなりそんなこと言われてもこっちは分からんぞ…。

くらいに思ってました。

しかも女優役の子が怒られてガチでビビってるのを見て
「そうだそれだよ!なんでそれが本番でできない!?」
くらい言わないのか?という難癖まがいなことまで想像していたんですが。

そりゃそんなこと言えるわけがない。
だって恫喝自体が熱が入って出ちゃったアドリブなんだから。

「あの子芝居に嘘がないねん」
(普段は嘘しかないけど今は)嘘じゃないぜ。

もうこの時点で既に「してやられてる」というのが恥ずかしくもあり楽しくもあり…。

カメラが1つのみでやたら手ブレする

大分前の方で見てたので酔うかと思った。

開幕5分くらいで、カメラが1台しかないなということに気付く人も多いと思います。

ちなみに僕は上述した通り、この映画が「映画を撮る映画を撮る映画」(ややこしい)ということを知らずに観に行ったので、これが何を意味しているのか後半始まるまで明確になっていませんでした。

カメラマンも登場人物の1人なのか…
はたまた、観覧者がカメラマンという体の参加型映画なのか…

だいたいこの2択だろうとは思いながら観てました。
話の筋はゾンビ映画のまま終わる可能性も考えていたので、展開についてはいささか疑心暗鬼でしたね。
監督の超カメラ目線の「カメラはそのまま!」でやっぱ撮ってる奴がいるなとは思ってたんですが…(笑)

手ブレについても

この手作り感自体、そもそもこういう低予算映画だとよくあることなのか
それとも敢えてやっていることなのか

自分の中で定めかねているところはありました。

この辺りは逆に僕に知識がないから混乱してしまったところだと思います。
元々よくインディーズ映画などを見ている人は「明らかにおかしい」と思えたんだろうなぁと思います。

謎のリアリティを醸す会話シーン

「趣味は?」
「護身術とか」

意味不明なんですが謎のリアリティがあって面白かったあの会話。
前半見てる時は「おぉ、ここの緊迫感は真に迫る感じがあるな」と普通に楽しんでたのですが…。

まさか撮影(放送)トラブルを埋めるためのアドリブだったとは!!(笑)

映画としては、筋書きになかった「謎の異音とカンペ」にマジでビビるシーン。
(どうにかこの場を切り抜けないと…)という3人の気持ちが創り上げた緊迫感。

それが劇中劇的には「ゾンビが本当にいるかもしれない」という空気感を生むミラクルムーブに。
やはりリアルな緊張こそが本当のリアリティを生み出すという好例。
ハッハァー!そうだァー!これがリアルだァ!!

この現場のトラブルを切り抜けるために役者が身を挺して行ったことが、結果的に(その場限りの)最良の結果を生み出すというのが実に舞台的。
舞台関係者的には「あるある」。でも、できれば遭遇したくないやつですね。
それが楽しいところでもあるんですけど。

ここは本当に「マジかよ!!w良かったじゃん!!w」という感想。
もうひたすら笑ってしまった。

実際は、それすらも計算に入れて『カメラを止めるな!』という作品は撮られているのです。
つまりこれは「リアルな緊張が生み出すリアリティを意図的に再現して撮影された」映画。

創りに着目すればするほどに「してやられて」しまうんですよねぇ…。

何かと謎の多いカメラワークやシーン展開

これは恐らく観ている人の9割以上が気になる部分だと思います。

やたらと冗長だったり、意図的としか思えない役者を隠す動きとか。
場当たり的で役者が動き出してからカメラが動くシーンも多く、特に(劇中劇の)後半に連れて雑。
いつまでヒロインの泣き顔映すんだ?あと執拗なケツ。

割と「何してる映画これ???」と思ってしまうところも多くあり、疑問の嵐だったのではないでしょうか。

これも全て作為的に行われているものであったというのが面白い。

トラブルばかりでカメラマンが動きについて行けていないのも納得。
しかも後半でカメラマンが入れ替わってるのでより雑になってることについても説明されている。

観覧者のほぼ全員がなるほどそういうことだったのかと共感できるのがこの辺り。

モヤッとしていた部分に回答が返ってくる面白さ。
テレビ番組などで登壇者に自分の言いたいことを言ってもらえている時のような爽快感がありますよね。

悦に入りすぎてるメイク担当の女性

上手いんですけどね。
1人だけ浮いてるんですよ。上手すぎて。

これは何とも言えない違和感でした。
役者が作品から浮いているというのはどういう理由であっても良いことではないんですが。
この作品に関しては変ではなかったです。だから不思議でした。

気になってないと言ったら嘘ですが、特に何か言いたいわけでもない。
ただ「やたらと上手だなこの人」というのだけが残る。

恐らく劇中劇が違和感だらけなのにも関わらず、この人だけが「完璧に演じ切っている」ように見えたからでしょう。
他の人達がトラブルをクリアするという名目で動いている中、彼女だけが100%演技し続けていたわけです。

これも映画後半で「役に入り込みすぎて大変なことになるタイプの役者」であることが明言されたことによりバチッとハマります。
「あーだからか!」と思ってしまう。笑っちゃいますよね本当に。

それが確定したところから流れるように彼女がゾンビの死体を踏み付ける姿を俯瞰で流す。
これで「ね?すっごいでしょ?」というのを分かりやすく映画鑑賞者に見せてくるところまでセットでお見事でした。

「こんなところに斧が…ツイてるわ」

爆笑www

個人的にこの映画で最も好きな台詞!
記事のタイトルにもしてしまう!

前半でヒロインがこの台詞を言った時からちょっと笑ってました。
「なんだよ今の説明台詞は!www」と(笑)

こういうなんか困った時に出てしまう説明的な台詞に突っ込まざるにはいられない性質なので、そもそも好きなんです。
「きみは、ゆくえふめいになっていた マックじゃないか」
(※『カメラを止めるな!』とは一切関係ありません)

クスッとしていた僕を見た周りの人は「なんだこいつ」と思ったかもしれません。
あの時点ではゾンビ映画として見入ってる人も多かったと思うので(すんません)

だから「ヒロインに斧を持たせないと」という流れが出た時点で「あああwww」って感じ(日本語の崩壊)
「ということはあの謎の足だけ見えてた謎ゾンビもしかしてカンペ!?w」→カンペでしたという流れはもう声を抑えられなかった。

この台詞の素晴らしいところは「完全に必要ない」というところなんですよ。
もちろんあれはトラブルなので、彼女のアドリブという体の台詞です。

映画の見映え的には「置いてある斧を取る」というカンペ通りに動けば無言で問題なかったはず。
「都合の良い斧だな」と思う人はいるでしょうけど、ボロ小屋の入り口に使い古した斧があったとしてもまぁ不思議ではない。見入ってる人達にとっては尚更のことだと思います。

なのであの台詞が出ちゃったのは、完全に役者である彼女自身の不安の表れ。
あまりにも筋書きと違うから、全てが不自然なことだと思えてしまっている精神状況を示唆しています。

「これはトラブルだから仕方がない」と自分自身を落ち着けるために出てしまった言葉。
彼女が役者として洗練されておらず、ああいう場に慣れていないことを一言で示す台詞でもあります。

映画的にも一言で物凄く色んなことを表現しているキラーワードであり、決め所の1つと言って良いと思います。

映画後半でこの台詞が再登場した時には「言っちゃったw」という笑い声も館内に響いてて良かったですね。

そういうことを全部ひっくるめてあの台詞を『カメラを止めるな!』という作品の中に取り入れている。
いやーもう本当最高です。この台詞が個人的にはこの映画で最高です。

違和感に全て回答が返ってくる後半戦

挙げ出したらキリがないので上の範囲に納めさせて頂きました。

『カメラを止めるな!』はこういった劇中劇「ワンカットオブザデッド」でとにかく沢山の違和感を覚える作品です。
そして、それに対し後半の製作シーンで全て回答してきます。

本当に"全て"回答してきます。

少なくとも僕が覚えた違和感には全て理想的と言って良い回答が返ってきました。

マニアや業界人というのは、良い映画を絶賛するのも好きですが、悪い映画の悪いところを指摘するのも同じくらい好きです。
劇中劇はそういう指摘したいところが詰まりまくった作品と言えます。

別に粗探しをしていなくとも、自然と気になってしまうようになっている人も多い業界。

それを見越して想像して、敢えて気になるように創られたのが前半の劇中劇です。
「ここ気になったでしょ~?」とニヤニヤしながら近付いてくる上田慎一郎監督の姿が目に浮かぶようです。

色んな作品を観たり創ったりして、気になってしまうところが多くなればなるほど術中にハマっていく。
監督の掌の上にいることを痛感させられる。

「負けた負けた!お前の勝ちだよ」と謎上から目線で言いたくなってしまうほどその部分がよく煮詰められています。

しかも後半戦のリアリティがすごい!
映画を面白くするためのわざとらしい展開は最小限に「実際にありそうな話」だけで笑いを積み重ねて行くのが『カメラを止めるな!』の本当に素晴らしいところ。

実際に舞台や映画を創り上げる際の問題点や物理的トラブルを軸に、起こってもおかしくないことだけで展開。
それを、冷静に見れば滅茶苦茶な方法で何とかクリアして行く姿は美しくもあり滑稽でもある。
笑っちゃいけないんだろうけど、つい笑ってしまう。正に「シリアスな笑い」です。

これほど洗練された"創り"で勝負している映画はなかなか見ることができないのではないでしょうか。

笑いだけじゃない!真に迫った映画制作の在り様

僕は映画はほぼ経験がないんですが舞台の経験はあります。

『カメラを止めるな!』は映画を撮る映画を撮る映画ですが、リアルタイムワンカットものということで本質的には舞台裏を描いた作品と言っても良いと思っています。

映画は中小劇団系の舞台よりも「大人の事情」が絡みやすい世界で、人間関係のしがらみも大きいもの。
そういった物創りの大変さを前面に押し出しながら、ヤバい雰囲気を残したまま本番を迎えてしまう。

やり辛い役者を上手く使わないといけない難しさ。
クライアントは絶対、あまり強く言って参加者にそっぽを向かれたら最後という雇われ監督の苦悩。

生きて行くのに現実的な選択をした仕事人、映画監督の父。
そのうだつの上がらなさに辟易するドリーマー、監督志望の娘。

など、人間関係や家族問題も短い時間の中で取り上げます。
遊びと誤解されやすいクリエイティブな仕事の本質的な難しさとも向き合っていると思います。

37分の映画を実質的に2回流す都合上、こういう部分に時間を割くことができません。
ですが、これらの問題を過不足なく残りの時間で配置しながら、懸命に提起し切っています。

その解決を劇中劇のトラブルを解決しながら同時に行っていくというのがまたにくい創りです。

創っている最中に色々トラブルがあっても、最後までやり遂げることでその達成感から解決が促されることもあります。
これは参加者が一同に会してリアルタイム進行する舞台ならではの魅力であり、この動きまたリアルです。

仕事としての映画創りの難しさを第一に、舞台的な面白さも謳っているという作品創りと向き合うにも優れた作品です。

最後に皆が笑い合いながら、やり切った笑顔でエンディングを迎えて行くという清々しさ。
他ではなかなか感じることができない独特な一体感を鑑賞者も感じるのではないかと思います。

普通の人が観てどう思うのか…という話

『カメラを止めるな!』は今なお口コミから大きく広まっている最中です。
映画ファンではなく「流行っているから」という理由で観ている人もたくさんいるのではないかと思います。

個人的に気になるのが「その人達どう思ってるんだろう」ということ。

作品鑑賞の世界はジャンル問わず、1度その世界に入ってしまうと戻れないものです。
見方を覚えてしまうと忘れられないのが普通。

なので、どっぷり浸かれば浸かるほど、そうでなかった頃の見方が分からなくなるのです。

例えばゾンビ映画なんて1本も観たことないよという人は前半を観てどう思うのか、とか。
他のゾンビものを観たことがある人からすればチープ極まりない創りですが、それも分からないでしょう。

カメラが1台なことについても、最後まで気付かずに観ている人も一定数いると思っています。

映画創りや舞台裏のことなんて興味もなかった人達もいるでしょう。
そういう人達は、後半を観ても実感が全く湧かないかもしれません。

マニアや業界人がどう楽しんでいるかは想像に難くない作品です。
ですが、そういうことに疎い人、詳しくない人が観た時に果たしてどんな感想になるのか、非常に気になるところです。

ただこういうブログとかレビューとか書く人は概ね「普通じゃない人」ですからね…。
詳しく知る手段もまぁ…ないんですが…。

実際のところ「なんかよく分かんないけど面白かった!」で良い作品だとも思います。
そして、もしこの記事を読んでいる人の中にそういう方々がいらっしゃったら、これだけは伝えておきたい。

映画はもちろんフィクションですが、その中身は限りなくリアルに近いものです。
あれは誇張してあのような面白さになっているのではなく、実際にやっていてもああいう面白いことは頻発します。

『カメラを止めるな!』で感じた面白さと難しさ、大変さをリアルで共有しながら現場の人達は頑張っています。

もし映画を面白いなと感じたのなら、それはその現場の面白さを間違いなく疑似体験できていると言えます。
その気持ちは1つ胸に残しておくと、今後の作品鑑賞がまた楽しくなるはずですよ!

まとめ

『カメラを止めるな!』はゾンビホラーの皮を被ったコメディ作品です。

コメディでありながら、作品創りの本質的な部分に切り込んだ意欲作。
しかもその練り込み方があまりにも緻密で分かりやすく、素晴らしい。

間違いなく邦画の歴史に名を刻む1作になるでしょう。

中を知っているからこそ存分に楽しめた人もいると思います。
中を知らないからこそ革新的な体験になった人もいると思います。

ですがこの作品が面白いという事実は、誰が見ても変わらない。
そう断言しても良い作品です。

人の数だけ気になったところがあり、そしてそれに回答が返ってくる楽しみがある。
見え方は人それぞれですが、感じるものには共通した面白さがある。そんな作品です。

この記事は創作者としての観点も持つ僕が、どう見たのかという内容を中心に執筆させて頂きました。
「なるほど~そういう見方もあるのか」という点が1つでも見つかったのなら嬉しく思います。

この記事を読んでいる人達は、恐らく映画を観て来た人がほとんどかとは思いますが。
まだ観ていない方は是非劇場に足を運んでみてください!
それでは!

 

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